戯れ言たれる侏儒
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胸部誘導でのST上昇を見たら、緊急手術を考慮
2011年10月21日に行われた第52回日本脈管学会総会のシンポジウム「大動脈解離の最前線」で、「初診時心電図からみた血栓閉塞型Stanford A 型大動脈解離の手術適応」の内容を報告。
 
初診時の心電図で胸部誘導でのST上昇例が見られた症例では、左右冠動脈周囲に及ぶ広範囲な解離の可能性があり、緊急手術を考慮すべきとの結論を得た。
 
急性大動脈解離の手術適応
偽腔開存型の急性A型解離は、発症後の致死率は1時間あたり1%から2%と報告されており、緊急手術が必須となる。
しかし、早期血栓閉塞型では、保存的(内科)治療の成績が比較的良好であり、手術適応には未だ議論の余地がある。
日本循環器学会のガイドライ ン(2006年)では、「循環の破綻(大動脈弁閉鎖不全、心タンポナーデ)、上行大動脈径50mm以上、血腫厚>11mm、上行大動脈にulcer like projection(ULP)のある症例が高危険群」とされており、心電図所見に関しては言及されていない。
しかし、急性A型大動脈解離に伴う心筋虚血 は、急性期の予後を左右する重要な因子である。
 
今回、血栓閉塞型A型大動脈解離での虚血心電図変化の意義を、手術所見および治療成績より検討した。
対象は早期血栓閉塞型A型大動脈解離の24人(平均年齢67歳)で、上行大動脈の最大短径は44±2mm(最小38 mm 、最大57 mm)であった。
 
初診時の虚血性心電図変化と治療
(1)心電図:虚血性のST、T変化は12人(50%)で見られた。内訳は、ST上昇が8人(胸部誘導5人、四肢誘導3人)、ST低下が1人(V3,4)、陰性T波が3人であった。なお、ST上昇の8人中4人ではCT前に冠動脈造影が施行されていた。
(2)治療成績:虚血性変化のなかった12人中、上行大動脈径が45mm以上であった4人で手術を行った。
虚血性変化があった12人では、6人が手術、6人が保存的治療となった。胸部誘導でST上昇があった5人中3人で手術が行われたが、2人では術前状態 不良のため保存的治療となった。
うち1人は第10病日に腸管および下肢虚血で死亡した。四肢誘導でのST上昇(3人)と胸部誘導でのST低下(1人)は保 存的に治療した。陰性T波の3人では、上行大動脈径が45mm以上の2人で手術を行った。
24人中23人が生存、退院した。
解離腔拡大による遠隔期手術例 はなかった。
 
手術所見と心電図変化との関連
手術が行われた10人で、解離による内膜破綻部位(エントリー)、冠動脈周囲への解離進展の有無に関して、術中所見と心電図所見との相関を検討した。
10人中4人で上行または弓部大動脈に解離によるエントリーがあり、うち3人は胸部誘導でのST上昇例であった。
この3人では、左右冠動脈周囲に及ぶ上行大動脈の解離が見られ、上行大動脈の解離は全周性から4/5周と広範囲であった。
一方、右冠動脈周囲のみ への解離進展は3人で、解離の範囲は大動脈前壁寄りの2/3周から1/2周であり、後壁側の解離はなかった。
うち2人には陰性T波が認められた。
 
以上より、胸部誘導でのST上昇は、左右冠動脈周囲に及ぶ広範な解離の存在を示唆するものと考えられた。
 
心電図変化と心筋障害
初診時の血清クレアチニンホスホキナーゼ(CPK)値は、胸部誘導でのST上昇例では2425±1576 U/Lと、非虚血例の106±18 U/Lと比べて有意に高値であった()。
 
 
 
初診時のCPK値は、胸部誘導でのST上昇例では2425±1576 U/Lと、非虚血例の106±18 U/Lと比べて有意に高かった。
 
胸部誘導でのST上昇は入院後早期に消失したが、2人には前壁中隔梗塞が残存した。
 
初診時心電図の虚血性変化は手術適応の指標
急性大動脈解離発症時における虚血性心電図変化は、冠状動脈への解離の直接進展を除けば、偽腔による冠動脈の圧迫に起因する。
「初発症状が急性心筋梗塞様であった症例の死亡率は36%と高かった」との報告もあり、初診時心電図での虚血性変化は手術適応の指標となり得る。
 
本検討の早期血栓閉塞型解離では、血栓の形成に伴って偽腔の内圧が減少するため、心電図上の虚血性変化は一過性となり得る。
しかし、胸部誘導でのST上昇は左冠動脈主幹部の圧迫を示すものであり、術中所見を考慮すると、可能な限り緊急手術を選択すべきと考える。
 
出典
http://www.m3.com/academy/report/article/146397/
 
<自遊時間>
クラシック音楽評論の第一人者で文化勲章受章者の吉田秀和氏が98歳で逝去されたというニュースがあった。

吉田秀和 - Wikipedia
吉田秀和さん死去:音楽表現に論理的視点 詩情豊かな文体

ピアニストのグレン・グールドをいち早く評価するなど先駆的な評論は世界でも知られ、初来日公演を「ひび割れた骨董(こっとう)品」と批判された名ピアニストのホロビッツが「吉田を満足させる」と、再来日公演を決めたことも知られている。

白水社 : 吉田秀和全集
天野祐吉氏の「いい言葉は遠くまで届く」という寄稿文が面白い。

asahi.com(朝日新聞社):97歳、音楽批評への挑戦 吉田秀和さん「永遠 ...

吉田秀和 1993年4月20日、朝日新聞「音楽展望」

心に沁みる吉田秀和氏コラム(2011.4.12) 朝日新聞 読後雑記帳 ...

きまぐれな日々 大岡昇平没後20年と吉田秀和、加藤周一のこと
 
日経新聞・朝刊 2012.5.28
■知的で気高い文章は、文学的にも高い価値があり、音楽と一般の人々を結びつけてくれた。(中村紘子)
吉田秀和氏の文章は音楽の深い知識に裏打ちされながら美しさを感じさせ、人間論に及ぶなどスケールが大きかった。
■評論やエッセイの対象は芸術全般に及んだ。
大学で仏文科に進んだのは中原中也に言われたからといい、詩人の友人も多く、言葉に敏感なのは当然だったといえる。
 
クラシックファンなら知らぬ人がいないという音楽評論家。
以前、鎌倉の自宅で音楽を聴く光景が雑誌に載っていたが、ありきたりのドイツ製のスピーカー(ELAC社製)がポツンと置いてあった。
聴診器も同じで、「耳」さえ良ければ 「弘法筆を選ばず」ということがよくわかった瞬間だった。
「朝日新聞に残された良いところは、加藤周一と吉田秀和の文章を読めることだけだ」と言った人がいたそうだ。
ご両人とも世を去られた。
さて朝日新聞にはいったい何が残っているだろうか。
「週刊朝日」の司馬遼太郎あたりか?。

いずれにしろ音楽評論界にあっては「巨星墜つ」という感あり。


<きょうの一曲> 交響曲第2番ハ短調 最終楽章
Mahler - Symphony No 2 'Resurrection' Final Part
http://www.youtube.com/watch?v=cIkCcJIqUeI&feature=related
交響曲第2番 (マーラー) - Wikipedia
(歌詞が紹介されています)
 
 
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早期からの被覆内膜が良好な例あり、過度に恐れるべきではない
2011年10月8日に行われた第25回日本心臓血管内視鏡学会で、SES (sirolimus-eluting stent)留置後、長期にわたり抗血小板薬2剤を中止したにも関わらず、ステント血栓症に至らなかった1例について報告した。
ステント血栓症の発症には多くの因子が関与しており、薬剤溶出性ステント(drug-eluting stent:DES)留置後だとしても過度に恐れるべきではないと考えられる
 
DES後のDAPTいつまで?
2004年にDES留置後の遅発性ステント血栓症(very late stent thrombosis:VLST)4例の報告がLancetにおいて発表され、ベアメタルステント(bare metal stent:BMS)ではさほど目立たなかったLST(late stent thrombosis)がDES特有のものとして注目されるようになった。
ステント血栓症に関与する因子は様々であるが、LSTは新生内膜の被覆遅延に加え、いくつかの因子が重なることで発症する事象であり、病理学的検討でも同被覆遅延がLSTに最も影響を与える因子とされている。
一方、DES留置後の内皮機能障害はBMSと比較して強く出現すると言われており、被覆遅延に内皮機能障害が加わり、LSTの発症率が高まる可能性が考えられている
 
DES留置後の抗血小板薬2剤併用(dual antiplatelet therapy:DAPT)の至適継続期間に関しては、報告が散見されるものの施設間較差が存在し、頻度の決して高くはないLST、VLSTを恐れて漫然とDAPTが継続されている現状が続いている。
この理由としては、DAPTを中止する明確な基準がないためで、冠動脈造影以外に抗血小板薬を単剤にする根拠があった方が望ましいと考えられる。
 
今回、我々はDES留置後、時期尚早、かつ長期にわたっての抗血小板薬2剤中止にも関わらず、ステント血栓症に至らなかった1例を経験したので報告する。
 
早期にDAPTを中止も、問題なかった1例
症例は48歳、男性。冠危険因子は高血圧症、脂質異常症、境界型糖尿病、喫煙。
不安定狭心症の診断にて入院、左回旋枝遠位部に対してSES(sirolimus-eluting stent)3.5/18 mmを留置した。
冠危険因子のコントロールを含め経過は良好であったが、4カ月後より抗血小板薬2剤を含む全薬剤を怠薬。
22カ月後、胸痛は再燃し、不安定狭心症の診断にて再入院。
 
これまでの経過から、左回旋枝のVLSTを最も疑ったが、造影上再狭窄や血栓像は認められず、前回軽度であった右冠動脈遠位部が高度狭窄へと進行していた。
経時的に施行した血管内視鏡所見では、初期に認めた黄色プラークは新生内膜でほぼ完全に被覆され(ストラットの露出はなし)、赤色血栓も消失していた。
 
しかし、血管内視鏡はマクロな観察に過ぎず、新生内膜の機能面の評価までは限界があるため、3カ月後の 冠動脈造影の際にSES前後の内皮機能評価としてアセチルコリン負荷試験を施行した。
SES両端に血管収縮反応は認められず、SES内の構造物は十分な内皮機能を有した新生内膜であると判断し、確信をもってアスピリン単剤へと変更した。
現在もイベントは起こさず、良好な経過を辿っている。
 
早期からの被覆内膜が良好
本症例の新生内膜の被覆時期に関しては定かではないが、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後4カ月で抗血小板薬2剤の中止後に血栓症が生じていないことを踏まえると、比較的早期からある程度成熟した新生内膜でストラットが被覆されていた可能性が高い。
血管内視鏡を用いたSES留置6カ月後の観察では、13 %の症例で早期からの完全被覆が認められており、本例のように早期から被覆する例もあり得る。
 
次に、早期から新生内膜が被覆した理由としては、初期に血管内超音波検査(IVUS)を用いてステントの血管壁への良好な圧着を確認したこと、ステント長が短かったことが挙げられる。
それを裏付けるものとして、初期のIVUSによるステント拡張が良好なほど慢性期の被覆が良いという報告、糖尿病症例においてステント被覆度が高かったという報告がある。
本例は境界型だが、糖尿病と似た病態であり、被覆促進に 影響を与えた可能性も考えられる。
 
一般的に、DES留置後の内皮機能障害はBMSと比較し程度が強いと言われているが、内膜被覆度と内皮機能との関連は明らかではなかった。
最近の報告では、ZES(zotarolims eluting stent)留置3カ月後にOCT (optical coherence tomography)における内膜被覆度と良好な内皮機能は相関することが示された。
本例でも、早期からの被覆内膜が良好な内皮機能を有した成熟したものであったため、血栓症を回避できたと考えられる。
 
当院での方針
当院におけるDES留置後の抗血小板療法に関する基準は、フォローアップで施行した血管内視鏡、OCT 上ストラットが露出していればDAPT継続、明らかに被覆良好ならばアスピリン単剤へ変更としている。
被覆が中等度の場合、血管内イメージングのみから内 膜の機能面を判断することは困難であり、症例に応じてアセチルコリン負荷による内皮機能検査を併用し、内皮機能良好であればアスピリン単剤、不良ならば DAPT継続と判断している。
 
出典
http://www.m3.com/academy/report/article/144199/
 
http://medshare.m3.com/document/150134
(「資料を見る」をクリックすると、発表時のスライドを見ることが出来ます)

以下学会発表より引用
 
ステント血栓症に関与する因子
①患者背景因子
急性冠症候群
低心機能
糖尿病
腎機能障害
アスピリン抵抗性
抗血小板薬中止
脱水などの易血栓性

②DES由来
内膜被服遅延
内皮機能障害
ポリマーヘの過敏反応
遅発性ステント圧着不良

③病変由来
分岐部病変
びまん性病変
ステントフラクチャー
再狭窄病変

④PCI手技由来
ステント不完全拡張
ステントアンダーサイズ
オーバーラップ部
ステント長

 
<番外編>
生体吸収性スキャフォールドを少しまとめてみました。
生体吸収性スキャフォールド(BVS)
 

 

 
 
2012.5.27 17:54撮影
昨日、我が子夫婦が健康維持のためにとプレゼントしてくれた自転車です。
早速近くの公園まで出かけて撮影。

この次は車椅子のプレゼント。
 
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CABGが主に適用の「左主幹部狭窄」で行えるか
済生会横浜市東部病院の村松俊哉氏は(2011年)9月24日のコントロバーシーに登壇し、一般的にPCIの適用は難しいと見られてきた冠動脈の左主幹部(LMT)狭窄にも症例の選択によりPCIを実施できるとの立場から考え方を述べた。
「手技に習熟し症例を選択すればPCIの適用は困難ではない」と説明し、LMTでも緊急例や分岐のない部位であればPCIを問題なく行っていけるとの見通しを示し た。
 
LMTは左心に血液を供給する冠動脈の幹となる部分。
狭窄の解消が重要なのはもちろん、治療後に再狭窄が起きた場合の影響は大きいだけに確実な治療が求められる。
従来、血行再建の確かさからバイパス術の絶対的な適用となっていた
 
最近、薬剤溶出ステント(DES)をはじめとする技術の向上で、PCIを実施する選択肢も考慮可能という考え方が台頭しガイドラインでも軽症例に適応が認められた。「本当にLMTにPCIを実施してもいいか否か」、循環器、心臓の分野で賛否を分けるテーマとなっている。
 
「PCIで死亡例なし」
村松氏は実際にLMTにPCIを実施してきている。
2007年から2011年までに実施したLMT 病変のPCIの成績を説明。対象は主にシングルステントで治療可能と思われた72人の患者に対して実施した78ステントの成績を示した。SES(シロリム ス溶出性ステント)が58人で、PES(パクリタキセル溶出性ステント)が14人。
 
6カ月の成績ではいずれの群でも死亡はなかった。再狭窄はSESで8.6%、PES8.3%。TLR(標的病変血行再建)の頻度は、SESで5.2%、PESで8.3%と有意差はなかった。
 
データ上、ステントの違いによる患者背景には差はなく、単独か多枝かなど、病変の複雑さを点数化す る「SYNTAXスコア」を含めて、病変の状態にも違いはない。PCI戦略の基本も差はない。村松氏らのグループはPCIを実施する場合には、基本的にシ ングルステントをメーンとして、ステントを確実に血管腔内で拡張させる「キッシングバルーン」を実施、IVUS(血管内超音波)を利用して評価している。 SESの群もPESの群もステント挿入は100%成功していた。
 
ステントの進化が重要
村松氏は、LMTに対するPCIを巡って3つの課題を挙げる。
一つは、ステントのデザインの問題、ステント血栓症の問題、さらにLMTに多枝病変が並存する場合の問題である。
 
ステントのデザインで特に重要なのは分岐部でどうステントを留置するか。
安定的に血流を確保するために、分岐部でもステントの血管壁への圧着を十分に配慮するほか、分岐部にアプローチするためのワイヤーをどう通すかの検討をする必要がある。
ステントを しっかりと血管壁に密着させて、ステントから溶出する薬剤の効果を十分に発揮させるのが大切になる。
 
ステント血栓症の問題では、抗血栓療法の中断の問題への対応、分岐部病変への複数ステントの対応、多枝病変への対応などが必要になる。
 
多枝病変の並存については、SYNTAX試験では、複雑な病変のある患者群ではCABGに比べてPCIがイベントが多いことが示された一方、多肢複雑病変のない軽症LMTでは有意差のないことが示された。
 
2009年にACC/AHAガイドライン、2010年にESC-EACTSガイドラインでLMTに対するPCIの推奨度が引き上げられた。
LMTへのPCIの問題を認識しながら、実施しやすい環境が整ってきている。
 
村松氏は、「LTMを含めて複数病変があるケースでは、現状でもCABGが第一選択と思われる。しかし、PCIは緊急例や分岐部ではないシャフト部においては現在でも十分に適用できる」と話す。
 
「どちらがいい悪いではなく、最も大事なことは外科内科医が一緒に総合的に検討し患者さんにもっともいい治療を考えていくこと」と村松氏。
LMTに対するPCIの限界に根拠を与えているSYNTAX試験の問題点について村松氏は指摘した。
DESの種類 が限られており、ステントのデザインや薬剤の進歩が取り入れられていない点のほか、病変背景のみで層別化している点、IVUSの併用がない点、抗血小板薬 を含めた綿密な内服加療といった問題点である。
 
ステントをはじめとして血行再建の低侵襲治療は進歩しており、今後、LMTに対するPCIの実施がどのように推移するかが注目される。
 
出典
http://www.m3.com/academy/report/article/142140/

 
http://medshare.m3.com/document/150062
(「資料を見る」をクリックすると、発表時のスライドを見ることが出来ます)

<私的コメント>
糖尿病合併の有無により適応が変わるということが当然あると思われるのですが、そのあたりはいかがでしょうか。
 
<自遊時間>
東大・和田昭充名誉教授が日本経済新聞社の夕刊「あすへの話題」に毎週木曜日に素晴らしいエッセイを寄稿されています。内容を紹介したサイトを見つけました。
http://www.city.yokohama.lg.jp/kyoiku/sidou2/koukou/sfh/gaiyo/asuhenowadai.html

和田昭允 - Wikipedia
 
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腹部大動脈径が30mm未満でも循環器疾患に要注意
腹部大動脈瘤スクリーニングを受けた男性約8150人を追跡
超音波検査に基づく腹部大動脈瘤(AAA)スクリーニングで、 AAAと判定される直径30mm以上のみならず、25~29mmでもその後の循環器疾患などの罹患(入院)リスクの上昇が見られること、リスク上昇はほと んどが動脈瘤以外の血管疾患に起因するものであることが、英国で行われた前向きコホート研究で明らかになった。
英Raigmore病院のJohn L Duncan氏らが、BMJ誌電子版に2012年5月4日に報告した。

英国では、これまでに行われた複数の無作為化試験とメタ分析の結 果に基づいて、65歳以上の男性に対するAAAスクリーニングの実施が推奨されている。

超音波検査によるスクリーニングを1回行い、必要に応じて適切に介 入すれば、AAA関連死亡を減らせることが過去の研究で示されており、英国では、その費用対効果は良好と判断されている。

だが、多くのスクリーニングプログラムは、
腹部大動脈の直径が30mm以上をカットオフ値に設定しており、それより低い値の男性は追跡対象にはならない。
そこで著者らは、スクリーニング時に大動脈の直径が 30mm未満だった男性も分析対象に含めて、入院と死亡のリスクを調べる前向きコホート研究を実施した。
AAA患者においては、AAA関連死亡に加えて、 他の血管疾患による死亡リスクも上昇するとの報告があったことから、様々な疾患による死亡と初回入院を評価指標に設定した。

01年4月から04年3月の間に、スコットランドの2つの州に住む65~74歳の男性をAAAスクリーニングに招き、8355人が参加した。

初回のスクリーニング時に、全般的な健康状態、喫煙歴、医療歴、心血管疾患と糖尿病の家族歴などに関する情報を得た。
大動脈の直径は前後方向の最大値を記録し、30mm以上を AAAと診断した。

直径が30~44mmの患者は年1回、45~54mmの患者は3カ月に1回検査を行い、55mm以上の患者には治療 の実施を検討するとした。
AAA(直径30mm以上)と診断された患者には生活改善指導を行い、かかりつけ医に連絡してアスピリンとスタチンの投与を考慮するよう指示した。
一方で、大動脈の直径が29mm以下の男性は正常とし、それ以上の検査や介入は行わなかった。

初回のスクリーニングを受けた男性の転帰は、この地域の住民の死亡記録や入院記録を参照し確認した。

主要評価指標は、AAAの存在に関連する疾患罹患(入院)と死亡に設定、患者を大動脈の直径に基づいて24mm以下、25~29mm、30mm以上の3群に層別化して評価した。

スクリーニング時に患者特性などの情報が得られた8146人を、10年6月26日まで、中央値7.4年(四分位範囲6.9~8.2年)追跡した。

初回のスクリーニングでは5.1%(414人)にAAA(直径30mm以上)と判定された。

大動脈の直径が25~29mmだった男性は8.2%(669人)、24mm以下の男性は86.7%(7063人)だった。
 
追跡期間中に8.0%(654人)が死亡し、死亡率と大動脈の直径の間には有意な関係が見られた。
24mm以下のグループの死亡は7.2%(512人) だったが、25~29mm群の死亡は10.3%(69人)、30mm以上群では17.6%(73人)で、24mm以下群とそれ以外の2群の死亡率の差は有 意だった。

24mm以下群と比較した30mm以上群の全死因死亡の調整ハザード比は、2.03(99%信頼区間1.40-2.94)。

リスク上昇は主に、高血圧と血管疾患に関連する死亡(これらを合わせた調整ハザード比は1.90、1.17-3.08)と、癌に関連する死亡(3.03、 1.41-6.53)の増加に起因していた。

一方、25~29mm群の全死因死亡の未調整ハザード比は1.48(1.05-2.02)だったが、喫煙や心疾患の既往などの交絡因子で調整すると、有意差はみられなくなった(1.08、0.73-1.59)。

AAA関連死亡は、30mm以上群でも9人にとどまり、5人はAAAの破裂による死亡、4人は破裂後の手術の後に死亡していた。
30mm未満の男性の動脈瘤関連死亡は2人のみで、いずれも破裂が原因ではなかった。

追跡期間中に入院がなかった患者の割合は、24mm以下群では34.8%(2459人)、25~29mm群は29.6%(198人)、30mm群は16.9%(70人)だった。

大動脈の直径は、その後の循環器疾患による初回入院リスクの増加に関係していた。
交絡因子候補で調整後の25~29mm群の患者のハザード比は 1.20(1.04-1.39)、30mm以上群では1.51(1.27-1.79)。25~29mm群では、高血圧関連疾患(調整ハザード比は 1.29、1.08-1.54)、虚血性心疾患(1.33、1.08-1.64)、慢性閉塞性肺疾患(1.47、1.07-2.03)による入院リスクが 有意に高く、30mm以上群ではそれら(調整ハザード比はそれぞれ1.60、1.29-1.99、1.52、1.18-1.94、1.98、 1.37-2.86)に加えて脳血管疾患(1.58、1.02-2.45)、アテローム性動脈硬化(3.84、1.39-10.63)、末梢動脈疾患 (2.33、1.49-3.62)、呼吸器疾患(1.38、1.05-1.80)による入院リスクも有意な上昇を示した。

なお、25~29mm群のAAAによる入院リスクは24mm以下群より有意に高く、調整ハザード比は6.7(99%信頼区間3.4-13.2)になった。

リスク上昇はスクリーニングから2年後に明らかになった。

この研究では、動脈瘤関連の死亡は少なかったが、大動脈の直径の増加と、血管疾患や癌による死亡(30mm以上で有意)、循環器疾患や呼吸器疾患による入 院の間に有意な関係が認められた。

スクリーニングで大動脈の直径が25mm以上と判断された男性については、危険因子の管理を行い、定期的な再検査の実施 を考慮すべきだろう、と著者らは述べている。

原題

Long term outcomes in men screened for abdominal aortic aneurysm: prospective cohort study
BMJ誌のWebサイト
 
出典  NM online 2012.5.23
版権 日経BP社
 
<自遊時間>
理由は言うまでもないことですが、今年の4月からメーカーMRとドクターの関係がギクシャクして来ました。
そこで最近気づくことがあります。
当院は月1回のみMRの面会日を設けているのですが、飛び込みでやって来るMRが増えて来たのです。
当院にとっては一種の 「掟破り」の「荒技」です。
「先日は講演会に来ていただいて有り難うございました。一言御礼がいいたくて訪問させていただきました」 という手口です。
最初は気づかなかったのですが、最近になってわかりました。
先生方の場合はどうでしょうか。
「いやいや、いい講演をタダで聴かせて貰って、こちらから御礼に伺うのが筋なんだけど」 と嫌みの一つでもいうべきなのかも知れません。
小心者の私にはそんなことはとても言えません。
m3のブログに「MRから面会料をいただく」というアイデア(?)が書かれているのを見ました。
さて、昨日の御礼に来院した某メーカーのMR。
(循環器領域ではスタチンとカルシウム拮抗剤の販売に力を入れているメーカーです)
「新発売の『ターザン』にLDLコレステロールは、日本人の場合190までは問題無しと大々的に書かれていました。よかったらクルマにあるのでお持ちしましょうか」とのこと。
件(くだん)の教授 が書いているということを確認して「ゴミになるから要らないよ」と即答しました。

 
 
 
 
 
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糖尿病で重症ならCABG

戯れ言たれる侏儒 / 2012.05.24 00:30 / 推薦数 : 0
糖尿病でしかも多枝病変はPCIの再血行再建の頻度多い
榊原記念病院循環器内科の古市晋一氏は(2011年)9月25日のパネルディスカッションに登壇し、糖尿病患者の冠動脈狭窄の治療方針について説明、「重症例であればやはりCABG(冠動脈バイパス術)を適用すべきだろう」と考え方を示した。
 
左主幹部狭窄や多枝病変を伴う、重症例に対するインターベンション治療の方針は議論の的となっている。
 
PCIは軽症の時だけ
糖尿病患者にとって冠動脈狭窄との関係は切っても切れない。
糖尿病患者では、PCI(経皮的冠動脈形成術)よりもCABGを推奨する考え方は強い。
欧米のガイドラインでも、多枝病変および糖尿病合併例であれば、PCIよりCABGが推奨されている。
 
複雑病変に対する冠動脈狭窄の治療成績を検証するSYNTAX試験の3年間の結果が出ている。
対象は全対象者1800人のうち、糖尿病患者で食事療法のみの患者を除く452人。
経口薬の治療を受ける270人をCABGの128人とシロリムス溶出ステントを用いたPCIの142人に割り付け、インスリン治療を受ける182人を同様にCABG93人、PCI89人に割り付けた。
 
3年間の結果、死亡、心筋梗塞、脳卒中の複合エンドポイントでは差は出なかった。
再灌流療法を受けたのは、CABG群は12.9%だったのに対して、PCI群28.0%と有意に高くなった。
MACCE(主要脳心血管イベント)はCABG群22.9%、 37.0%と大きな差が出た。
 
多枝病変であったり、左主幹部狭窄があったりする病変の複雑さを示すSYNTAXスコアで層別化すると、糖尿病患者では予後に大きな差が出た。
特にSYNTAXスコアが33以上の複雑病変を有する患者において、MACCEはCABG群で18.5%に対して、PCI群は45.9%と有意にCABG群で少なかった。
SYNTAXスコアが22以下と低い患者では、PCI群とCABG群との間の差はなかった。
 
古市氏は、「3年間の結果としては、PCIはSYNTAXスコアが低いときだけ使えるだろう」と話す。
 
両側内胸動脈で底上げも
さらに、古市氏は、CABGのグラフトとして両側内胸動脈を利用するとさらにCABGの成績は高まる可能性があると説明した。
SYNTAX試験では、両側内胸動脈を利用している割合は3割未満にとどまる。
内胸動脈は閉塞しにくいと指摘されており、過去の観察研究結果を鑑みれば、その利用によって糖尿病例の治療成績の向上が期待される。
 
左主幹部かつ/または3枝病変を有る糖尿病患者において、主に両側内胸動脈を用いたCABG群383人とPCI群79人を比べた自施設の観察研究の結果を提示。
約3年間のフォローアップの結果、治療成績を左右すると見られるインスリン使った患者はいずれの群も約2割、慢性腎臓病(CKD)もいずれの群も約4割。
慢性完全閉塞(CTO)については、CABG群が41.0%に対して、PCI群は 25.3%とCTOがあるとCABGが多い傾向が見られた。
CABG群は92.7%が両側内胸動脈を使っていた。
静脈グラフトだけの患者はいなかった。
グ ラフトは平均3.3本、PCIでは薬剤溶出ステントがほぼ100%となった。
 
CABG群は死亡率が7.8%、脳卒中が4.4%、死亡と心筋梗塞、脳卒中を含む複合エンドポイン トが14.4%となっていた。
それに対して、PCI群は死亡が8.9%、脳卒中が6.3%、複合エンドポイントが15.2%となった。
再灌流療法は CABG群は7.3%に対して、PCI群は21.5%と大きな差が付いた。
ランダム化されておらず症例数も差があり、統計分析のデータはない。
 
古市氏は、SYNTAX試験のデータと比較して、CABG群の再血行再建の実施がSYNTAX試験では12.9%だったのに対して、7.3%にとどまっている点を指摘。
「両側内胸動脈を使った効果が現われている可能性があり、片側内胸動脈による CABGに対して、さらなる長期データの改善が期待される」と述べた。
 
榊原記念病院では両側内胸動脈を用いたCABGの施行が多く、古市氏は、「今後、自施設の成績もまとめて、自らのデータと診療ガイドラインの両者を用いて、患者に最善な治療を提供できるようにしたい」とまとめた。
 
出典
http://www.m3.com/academy/report/article/142472/
 
http://medshare.m3.com/document/150086
(「資料を見る」をクリックすると、発表時のスライドを見ることが出来ます)
 
<関連サイト>
SYNTAX糖尿病サブ解析
糖尿病合併例と高齢患者とCABG
SYNTAX試験 :重度冠動脈疾患の標準治療
冠動脈血行再建術のガイドライン作成
SYNTAX試験  3枝病変・左主幹部病変に対する治療
インスリン治療患者ではCABG?
CABG vs. PCI
 

<自遊時間 その1>
巨人・水野 VS  西武・清原
昔、大阪での日循学会をエスケープして甲子園に池田高校の水野が投げている試合を観に行ったことを思い出しました。(対 明徳 準決勝)
明徳応援席(外野)で無料で観戦したのですが、水野の(後ろ姿だけですが)ダイナミックな投法には生(なまだけの感激がありました。
調べてみたら1983年(昭和58年)のことでした。

http://www2.asahi.com/koshien/game/1983/300/9856/


 
http://www.sanspo.com/baseball/photos/20120523/npb12052305030000-p4.html
 
 
<自遊時間 その2>
ビージーズのロビン・ギブが逝去、癌との闘病の末62歳
http://news.mynavi.jp/news/2012/05/22/148/
 
<きょうの一曲> 
ビー・ジーズ  ステイン・アライヴ
http://www.youtube.com/watch?v=Vt6gVfmG44o
ロビン・ギブの死を惜しんで  Robin Gibb  The Bee Gees -
http://www.youtube.com/watch?v=Tiq_v6seJbU

 
 
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「悪玉」HDL-Cが存在!?

戯れ言たれる侏儒 / 2012.05.23 00:08 / 推薦数 : 0
「HDLコレステロール=善玉」に疑問符,「悪玉」HDL-Cが存在!?
米,医療関係者対象の大規模症例対照研究
心血管疾患リスクとは逆相関を示すことから「善玉コレステロール」との別名で呼ばれることも多いHDLコレステロール(HDL-C)。
そのような中,「HDL-C=善玉」説に疑問を投げかける研究成果が米ハーバード公衆衛生大学院のFrank M. Sacks氏らから報告。
医療関係者を対象とした大規模症例対照研究(J Am Heart Assoc 2012; 1: e000232)で,冠動脈疾患(CHD)発症に関連する「悪玉」HDL-Cの可能性が示された。

アポリポ蛋白C-Ⅲを含有するHDL-Cに着目
HDL-Cを上昇させる作用のある薬剤に関する複数の検討で,HDL-Cの粒子サイズと心血管予後が関連する可能性が指摘されてきたが,一致した結果は得られていなかったという。
 
Sacks氏らはこれまであまり明らかにされていなかったアポリポ蛋白C-Ⅲ(apo C-Ⅲ)とHDL-Cの関連に着目。
apo C-ⅢはVLDLやLDLの動脈硬化促進作用に関連することが知られている。
 
医療関係者らを対象とした2つの大規模症例対照研究〔Nurses' Health Study(3万2,826例)とHealth Professionals Follow-Up Study(1万8,225例)〕のコホートを対象に,血液サンプルからapo C-Ⅲの有無によるHDL-CとCHDイベントの関連を検討。
 
apo C-Ⅲ含有HDL-Cと非含有HDL-CでCHDリスクに差
10~14年の検討期間に634件のCHDイベントが発生。
全HDL-Cの1SD上昇当たりのCHD相対リスク(RR)は0.78(95%CI 0.63~0.96,P=0.02)と有意に低下。
 
しかし,apo C-Ⅲを含有しないHDL-Cでは,1SD上昇当たりのCHDリスクの有意な低下が見られた(同0.66,0.53~0.93,P=0.0001)のに対し,apo C-Ⅲ含有HDL-Cではリスクが有意上昇していた(1SD上昇当たりのRR 1.18,95%CI 1.03~1.34,P=0.01)。
リスクの有意な低下あるいは上昇はトリグリセライドおよびapo B蛋白の補正後に消失したが,2つのHDL-Cサブタイプ間のCHDリスクの差は残存していたという(P=0.05)
 
なお,HDL-Cの大部分はapo C-Ⅲを含有しないサブタイプで,apo C-Ⅲ含有HDL-Cは13%程度であった。
 
「HDL-C全体を測定するよりもapo C-Ⅲの有無によるHDL-C測定がより優れた心血管リスクの指標となる可能性が示唆された」とSacks氏ら。
食事あるいは薬物療法におけるapo C-Ⅲ含有HDL-Cの減少が有効性のマーカーとなるかもしれないとしている。(坂口 恵)
 
出典 MT pro  2012.5.21
版権 メディカル・トリビューン社

 

<関連サイト>
従来の知見覆る? HDL-C高値と心筋梗塞リスク低下に関連なし
欧米の大規模遺伝疫学研究
これまで,ナイアシンやコレステロールエステル転送蛋白(CETP)阻害薬など,HDLコレステロール(HDL-C)を上昇させる機序を有する各種薬剤の開発が進められてきた。
しかし,心血管予後の改善を直接証明できた臨床試験はなく,開発中止を決めた企業も複数出ている。
そのような中,HDL- Cの心血管マーカーとしての意義に疑問を投げかける研究成果が相次いで報告されている
1つ目の報告はHDL-C上昇が心血管リスクの低下につながらない可能性—脂質と動脈硬化に関する従来の知見を覆すような検討結果が,欧米の多施設による大規模遺伝疫学研究から明らかになった(Lancet 2012年5月17日オンライン版)。

遺伝的な高HDL-C例のMIリスク,低下せず
報告を行った米ペンシルバニア大学のBenjamin F. Voight氏らは,メンデルランダム化解析(mendelian randomization)を用いた2つの試験で,高HDL-C血症に関連する遺伝子型と心筋梗塞(MI)発症リスクの関連を解析。

1つ目の試験では,20の臨床試験からMI患者2万913例と9万5,407例のコントロール群の一塩基多型(SNP)解析を実施。
高HDL-C血症に関連する内皮リパーゼ遺伝子型(LIPG 396Ser アレル)を有する人とそうでない人のMIリスクを比較した。

同アレルの保有頻度は全体の2.6%で,保有群のHDL-C値はコントロール群に比べ高かった〔0.14mmol/L(約5.5mg/dL),P=8×10-13〕ものの,MIリスクに関連するそのほかの脂質・非脂質プロフィールはアレル非保有群と同等であった。

HDL-C値の差から,アレル保有群のMIリスクは13%低下する〔オッズ比(OR)0.87,95%CI0.84~0.91〕と予測。
しかし, アレル保有例におけるMIのORは0.99(同0.88~1.11,P=0.85)であった。
この検討から「遺伝的な高HDL-C血症はMIリスクの低下に関連しないことが確認された」と同氏らは結論。

HDL-CとMIリスクの関連,観察疫学と遺伝疫学で不一致
さらに,2つ目の試験として,HDL-Cと特異的に関連する14の頻度の高いSNPから成る遺伝子型スコアとMIリスクの関連を検討。
ポジティブコントロールとしてLDL-Cに関連する13のSNPから成る遺伝子型スコアとMIリスクの関連も同時に調べた。

観察疫学研究では,HDL-C上昇に伴うMIリスクの有意な減少とLDL-C上昇に伴うMIリスクの上昇が認められた。
LDL-C関連SNPの遺伝子型スコアを加味したLDL-Cの1SD上昇当たりのMIリスクも有意に上昇(OR 2.13,95%CI 1.69~2.69)しており,観察疫学との一致が見られた。

しかし,HDL-C関連SNP遺伝子型スコアを加味したHDL-Cの1SD上昇当たりのMIのORは0.93(0.68~1.26,P=0.63)で,有意な関連は見られなかった。

Voight氏らはなんらかの形でHDL-Cが上昇していても,それがMIリスクの低下に関連しない可能性が示されたと結論。

HDLを上昇させる薬剤がMIリスクを低下させるとは考えにくいとの見解を述べている。(坂口 恵)

出典 MT pro  2012.5.21
版権 メディカル・トリビューン社
 
 
欧州心臓病学会がランセット発表論文に「物言い
「HDL-C介入の意義薄い」としたJUPITERサブ解析
欧州心臓病学会(ESC)は(2010年)7月23日の声明で,前日(7月22日)にLancetオンライン版で発表されたJUPITERサブ解析で示された見解に対し,懸念を表明した。
同論文ではHDLコレステロール(HDL-C),アポリポ蛋白A1による層別化が行われ,ベースラインと治療時の心血管疾患初発リスクとの関連が解析。
同試験グループの主任研究者Paul Ridker氏(米ブリガムアンドウィメンズ病院)らは,「積極的なスタチン治療により非常に低いLDL-C値を達成できた症例では,HDL-Cの心血管リスクにおける意義は薄い」と結論付けた。
これに対し,ESCは「1つのサブ解析だけでHDL-Cに対する介入の意義がないと判断すべきでない」と反論している。

実薬群ではHDL-C値と心血管リスクとの有意な関連見られず
JUPITER試験では糖尿病,冠動脈疾患の既往のない正常LDL-C値,かつ高感度CRP(hsCRP)が2mg/dL以上の健康者を対象に,ロスバスタチン投与による心血管疾患初発予防効果が検討された。
発表と同時に有名医学雑誌が同試験に対するコメント欄を設置したほか,米国では同薬の適応が拡大されるなど,大きな話題を呼んだ。

最近も,同試験には利益相反に関連する問題をはじめ,不適切な点が複数あったと指摘する論文(Cholesterol Lowering, Cardiovascular Diseases, and the Rosuvastatin-JUPITER Controversy; Arch Intern Med 2010; 170: 1032-1036)も発表,反響が続いている。

今回,Ridker氏らは同試験のプラセボ群(8,901例)では,同群におけるHDL-C最低四分位群を1とした場合の最高四分位群における ベースライン時の心血管疾患のハザード比(HR)は,0.54(95%CI 0.35~0.83,P=0.0039),治療期間中のHRは0.55(同0.35~0.87,P=0.0047)と有意な逆相関が見られたと報告。
それ に対し,ロスバスタチン群(8,900例)ではベースライン時のHRが1.12(同0.62~2.03,P=0.82),治療期間中のHRは1.03(同 0.57~1.87,P=0.97)と有意な相関が見られなかったという。

同氏らはHDL-Cのマーカー,治療標的としての意義に水を差すものではないと付け加えながらも,ロスバスタチン群で見られた結果は,スタチンがもたらした積極的なLDL-C値低下による効果により裏付けられると考察。
「こうした患者群ではHDL-Cの心血管疾患の残存リスク予測能は見られない」 と結論付けた。
 
ESCは「今回の解析だけでHDL-Cの評価を判断すべきでない」
ESCはこれに対し,現在開発が進むHDL-C値増加をターゲットにした新たな研究に支障が生じると懸念を表明。
同学会の広報担当Dan Atar氏(ノルウェー・オスロ大学)は,今回の解析によりHDL-C値の増加が心血管リスクの低減に何のベネフィットももたらさないとの解釈が生まれるのは危険だと指摘。
そのうえで「これは統計手法の問題。もし心血管イベントのリスクがかなり低い群に対し,(LDL-Cのような)低下しうるあらゆるリスクに介入を行えば,そのほかの効果を生じる因子の影響は払拭されてしまうのは当たり前だ」と述べている。

これまで薬物療法によるHDL-Cの上昇が心血管リスクの低下に寄与する可能性がいくつかの試験で報告されていることから,HDL-Cを上昇させる意義について,医学界が一定の判断を下すには時期尚早と同氏。

「今回のサブ解析だけで判定を下すべきではない」と論文読者に呼び掛けている。
(坂口 恵)

出典 MT pro  2010.7.26
版権 メディカル・トリビューン社
 
血管内皮リパーゼ(Endothelial Lipase: EL)の
脂質代謝異常、動脈硬化に対する役割

私達はHDL 代謝に重要な分子であるトリグリセリドリパーゼのファミリーに属する新規リパーゼである血管内皮リパーゼ(EL)をクローニングした。
そして、ELが炎症性サイトカインやずり応力など動脈硬化
の促進因子によって誘導されることを明らかにした。
また、ELがヒト冠動脈の血管内皮細胞や動脈硬化病巣のマクロファージに存在し、血管局所での動脈硬化の進展に重要である可能性を報告した。
さらに、ELノックアウトマウスと動脈硬化のモデル動物であるアポEノックアウトマウスを交配することによって、EL が動脈硬化を促進的することを明らかにした。
EL が脂質代謝においてHDL を低下させることと、血管局所にてマクロファージの接着やリポ蛋白の取り込みを促進することが、EL が動脈硬化を促進させるメカニズムであると考えられた。
また、EL がマクロファージと血管内皮細胞の架橋因子と
してはたらき、炎症の制御に関与していることを明らかにした。
 
JUPITER試験はここが変だ - MEDICINE BLOG - FC2
JUPITER試験とコレステロール降下剤(スタチン)疑惑2010
 
JUPITER試験にバイアス存在? - 葦の髄から循環器の世界をのぞく ...
 
内科医のノート (Diabetologistnote) JUPITER 試験への批判
あの試験は今・・・JUPITER試験: MEDICINE-BLOG
 
クレストール の適応拡大を承認~心筋梗塞などの一次予防が新たに追加
 

 

(まさしくアポ蛋白 C‐Ⅲに関する研究)

 

<自遊時間>
Dietrich Fischer-Dieskau Tribute
http://www.youtube.com/watch?v=9TP9xXomDfk
ドイツの名バリトン歌手のディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ氏が5月18日、86歳で逝去されました。
シューベルトの歌曲集「冬の旅」を繰り返し聴かれた方も多いのではないでしょうか。
かくいう私もその1人です。
ご冥福をお祈りします。
 
 
http://tower.jp/article/feature_item/2010/03/15/3916

 

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糖尿病PCI

戯れ言たれる侏儒 / 2012.05.22 00:42 / 推薦数 : 0
糖尿病PCI、3年間はDES有効
金沢大学循環器内科の内山勝晴氏は9月23日のパネルディスカッションで講演し、2型糖尿病(以下、糖尿病)患者の冠動脈狭窄のPCI(経皮的冠動脈形成術)方針について説明。
ここ10年間ほどの間に国内で普及した薬剤溶出ステント(DES)の効果を国内 16カ所で網羅的に調べ、3年間は再狭窄予防効果が確認されたと報告した。
 
国内の試験で得られた根拠として臨床の判断に生かせるとの見方を示した半面で、より長期の効果については非糖尿病患者で再狭窄の抑制効果が低減した点を踏まえてさらなる検討が必要と見方を示した。
 
糖尿病患者の再狭窄抑制
糖尿病患者にPCIを実施した際の問題は、再狭窄率が高いところ。従来、金属ステント(BMS)を 利用した場合のデータはあり臨床の参考とされてきた半面で、DESの再狭窄予防効果については中長期で十分に検証されていなかった。
内山氏らは北陸を中心 とした16の医療機関で検証した。
 
06年から08年までにPCIを実施した全症例を登録。
ステント留置して、その後の転機を血管造影で確認できたケースを検討対象とした。
 
登録されたのは7660人で、病変は9392。
男性が8割近くを占めており、平均年齢70歳弱だった。リスク因子は、平均2個強を持っており、1人当たりの病変数は1.6程度だった。
 
ステント治療の内訳は、BMSが3598で、DESが4662。フォローアップ期間はDESが約 250日で、BMSが約200日と、DESが長くなった。糖尿病患者の割合は、BMSが約4割、DESが約5割で、DESが長かった。内山氏は、「術者の バイアスがあるだろう」と推測する。
 ポイントの一つは、DES挿入を受けた患者ではTLR(標的病変再血行再建術)のない患者が多かっ たところだ。TLRの有無で調べると、DESの使用率は、TLRありの群はDESが40.1%、なしの群は57.6%で、TLRなしの群で多かった。糖尿 病患者の内訳については、TLRありの群は糖尿病患者が48.8%、なしの群は糖尿病患者が44.4%で、TLRありの群で多かった。
 
ポイントの2つ目は、糖尿病患者の方が再治療が多く、難しいケースがやはり多いという点だろう。
再狭窄は糖尿病ありだと18.2%に対して、なしならば16.0%。TLRも糖尿病ありでは14.3%に対して、なしでは12.3%と差が見られた。
 
3つめのポイントは、DESの再治療阻止の効果が認められた点だ。再狭窄率をBMSの患者とDES の患者を分けて検討すると、BMSの患者では糖尿病がある場合の方が糖尿病がない患者よりも再狭窄率は下がった。
糖尿病の影響は避けられないわけだ。
対して、DESの患者では、糖尿病があってもなくても再狭窄率は同等の水準に保たれた。
糖尿病の影響を打ち消したと見られる。
 
糖尿病なしはDES効果小
今後のDESの可能性を考える上で重要なのは、内山氏ら最高約3年間の追跡結果。
 
DESのTLR阻止効果は時間経過とともに低減していた。TLRがない割合を調べると、糖尿病ある、なしいずれもDESの患者はTLRがない割合は当初高く保たれた。
問題は、TLRがない割合は、糖尿病がない場合には、BMSの患者と同等の水準まで落ち込むところ。
BMSをDESへ変更することの追加効果がなくなるわけだ。
 
DESのメリットが見られたのは糖尿病がある症例。
約3年間にわたって、糖尿病がある場合には、BMSよりもDESの方がTLRのない割合は高く保たれた。
 
今回、DESの効果が約3年程度の追跡で確認された。
内山氏は、「さらに長期にわたる効果が続くか否か、今後の検証が必要」と課題を指摘している。
 
出典
http://www.m3.com/academy/report/article/142771/
 
 
<きょうの3曲>
Ne Me Quitte Pas Simone
http://www.youtube.com/watch?v=0Q7w7gk1JhQ&feature=related
If You Go Away (Frank Sinatra) 
http://www.youtube.com/watch?v=5SUn4JqUTsA&feature=related
銃爪(世良公則)
http://www.youtube.com/watch?v=nfqW2FK0oVI
 
いずれも
ダビガトラン市販後1年
でいただいたコメンテーターの推薦曲です。
 
読んでいただいて有り難うございます。
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「マルチスライスCCTAによるACS除外」の有用性示唆:ACRIN PA 4005
急性冠症候群(ACS)診断が疑われる低~中等度リスク患者を対象に、マルチスライス冠動脈CT造影(coronary CT angiography : CCTA)を用いてACSを除外した場合、除外例における30日間「死亡・心筋梗塞」発生率は1%未満と極めて低いことが、無作為化試験 "ACRIN PA 4005" の結果、明らかになった。
米国ペンシルバニア大学のHarold Litt氏が、Late Breaking Clinical Trialsセッションにて報告した。
同氏は「CCTAを用いたACS除外は安全で効率的だ」と結論している。
 
本試験の対象は、ACSを疑う症状がありながら、心電図上虚血性変化を認めない救急外来(ER)受診 1,370例である。全米5施設から登録された。
ACSを除外し得た例は含まれておらず、全例、TIMIリスクスコアは2以下だった。
平均年齢は50歳 弱、男女ほぼ半数ずつだった。
 

これら1,370例が、即時CCTA施行群(908例)と、通常の診療を行う対照群(462例)に無作為化された。CCTA群では64列以上のモダリティを用い、狭窄が50%未満であれば加療せず帰宅、対照群では各施設の判断にゆだねた。
Litt氏によれば米国の「通常診療」では、ER受診時に心電図検査と血中マーカーを検査し、それでACSが除外できない場合、入院または日を改めての「負荷試験」というのが一般的だという。
30日間追跡した結果、CCTA所見に基づくACS除外の安全性が確認された。
すなわち、CCTAに より「狭窄率<50%」とされ、加療せず帰宅した患者は83%に上ったが、それらの「30日以内の心臓死・心筋梗塞」(第一評価項目)発生リスクは、0% (95%信頼区間 [CI]:0.00~0.57%)。95%CI上限が、当初仮説で設定した「1%」を下回った。
「30日以内の重篤イベント発生率<1%」は、米国ガイドラインが「低リスク」とする基準だという。
加えて、全CCTA群と対照群の「死亡・心筋梗塞」、「冠血行再建術施行」発生率にも有意差はなかった。
CCTAを用いた鑑別はまた、医療経済的にも好ましいと考えられた。
ERからの退院率は、CCTA群 で50%と、対照群の23%に比べ有意に高い。
院内滞在時間も、CCTA群で有意に短かった。
一方、心臓カテーテル検査、ER再受診、再入院、心臓専門医 受診──はいずれも、両群の頻度に差はなかった。
現在、Litt氏らは、CCTAによるACS除外の安全性・経済性が長期間維持されるか、1年間の追跡を継続中だという。

出典
http://www.carenet.com/conference/acc/2012/03.html
 
<私的コメント>
CSAに伴うAMIもあるはずですが、その場合にはACSという状態はあるのでしょうか。
もし存在するとすれば、CCTAではチェック出来ないような感じもします。
もっとも欧米では冠スパスムはあまり考慮されないようですが。

 

 
<メモ> 高血圧と脂質異常症の同時治療の重要性
■高血圧と高コレステロール血症の潜在患者数
高血圧のみ  約2,200万人
(高血圧潜在患者 約4,000万人)
高コレステロール血症のみ 約1,200万人
(高コレステロール血症潜在患者 約3,000)
高血圧 + 高コレステロール血症  約1,800万人
■降圧剤とスタチンをともに処方されている患者は半数にすぎない
■高血圧症と高コレステロール血症の合併により脳・心血管イベント発症リスクが増加
(Asian Pacific Cohort Studies Collaboration : Circulation 112(22);3384, 2005)
■薬物療法による心血管イベントへの影響
(血圧と脂質を同時にしっかり管理することが重要)
血圧低下*(10%)+脂質低下**(10%)=心血管イベント発症リスク低下(45%)
*収縮期血圧で約14mmHg
**総コレステロール値で約23mg/dl
(Emeherson,J.et al. Eur Heart J: 25(6);484,2004)

 

<自遊時間> 英語の名言集
Action may not always bring happiness, but there is no happiness without action.
     Benjamin Disraeli(British politician)
行動すればかならず幸せになるというわけではないかもしれないが、行動しなければ幸せになることはない。
 
 

<自遊時間>

金環日食。7分間だけ姿を見せた奇跡の横浜から

http://style.carenet.com/9850.html

 

 

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ダビガトラン市販後1年

戯れ言たれる侏儒 / 2012.05.19 00:08 / 推薦数 : 0
“ドラッグラグなかった”ダビガトランの市販後1年を山下武志氏が総括
モニタリング不要の新しい経口抗凝固薬として,ダビガトランは米国の発売からわずか3カ月後に,わが国でも承認された。
RE-LY試験での非弁膜症性心房細動(NVAF)患者における脳卒中・全身塞栓症予防が実臨床でも期待されたが,市販から半年後,同薬との関連性が否定できない重篤な出血例が報告され,厚生労働省は安全性速報(ブルーレター)を出した。
5月10日に東京都で開かれたプレスセミナー(提供:日本ベーリンガーインゲルハイム)で,心 臓血管研究所所長の山下武志氏は,市販後の安全性情報が既にあるドラッグラグがある薬剤しか使ってこなかったわが国の現状を指摘。
特定の患者群を対象とした臨床試験の結果を,あらゆる患者を診る実臨床でどう当てはめていくのかの検証が大事だと述べた。
<私的見解>
臨床試験がはたして「特定の患者群を対象とした」ももかどうか?
実臨床とそんなにかけはなれているのかというのが率直な感想です。
大学や市中病院での自分の経験からいえば、治験はいわば「やっつけ仕事」 でした。
臨床試験がそれほど真剣に行われているとはとても思えません。
今や心不全治療薬としても使用されているメインテート。
勤務医時代に治験に関わって、副作用欄に「著明な徐脈」 と記入したらMR(当時はプロパー)が飛んで来て、「全国で1例もそういう報告は出ていない」といわれてびっくりしました。
私は、それ以来メインテートは怖くて処方していません。
 
実臨床では出血が起こるか起こらないかの2つに1つ
ダビガトランを適正使用した場合の脳卒中または全身性塞栓症発症の抑制は,110mg×2/日投与群はワルファリン投与群に対し非劣性であり,150mg×2/日投与群では有意に低いことが証明されたRE-LY試験。
大出血および頭蓋内出血の発現頻度については,ワルファリン投与群に比べて 110mg×2/日投与群で有意に低かった。

そのため,ダビガトランは「定期的な血液凝固モニタリングが不要」であり,「予測可能で安定した抗凝固作用」を持つ新しい抗凝固薬として大きな期待を持ってわが国の実臨床にも迎えられた。

しかし,発売から半年以内に同薬との関連性が否定できない重篤な出血性の副作用による死亡例が報告され,ブルーレターの公表と,事態は思わぬ方向に向かう。
 
山下氏は,3つのギャップがあることに気づいていなかったと振り返る。

その1つが「臨床試験と実臨床とのギャップ」だ。
同氏によると,臨床試験は経験豊富な専門医が治験コーディネーター(CRC)の協力を得て,ある特定の患者だけを対象に行われるいわば温室の世界だという。
しかし,実臨床ではあらゆる患者が対象となり,状況は全く異なる。
2つ目は「対象集団と実際の患者とのギャップ」である。臨床試験では大出血の発現は年当たりで換算されるが,実臨床は目の前の患者に起こるか起こらないかのどちらかしかない。つまり「集団でのデータを1人の患者にどう応用するのかを知らなかった」(同氏)。
最後に「ドラッグラグがある薬剤とない薬剤とのギャップ」がある。米国とわが国のダビガトラン承認のタイムラグはわずか3カ月しかない(米国2010年10月承認,日本2011年1月承認)。
これまでの薬剤は何年ものドラッグラグがあったために,わが国で承認された時には海外の安全性情報やその対応策が既に示されていた。
しかし,今回ばかりは状況が違った。
 
腎機能低下例の出血,排泄型に依存せず
その後,11報ものRE-LY試験のサブ解析が報告され,大出血で注意すべき点として
(1)年齢,
(2)抗血小板薬併用の有無,
(3)出血部位―があることが分かった(Circulation 2011: 123: 2363-2372)。
75歳以上に同薬を投与した場合,1年当たりの大出血発現率が逆転し,ワルファリンよりもダビガトランで高くなった。
さらに,アスピリンやクロピドグレルとの併用によりダビガトラン投与例でも出血リスクが増加した。
用量調節不要な薬剤なだけに,リスクがあると抗凝固作用を調整しきれずに同薬のせっかくの利点が負に働いてしまう。
出血部位を見ると,非消化管ではワルファリンに比べてリスクが低かった(110mg×2/日投与群:P=0.06,150mg×2/日投与群:P=0.038)一方,消化管だと逆にリスクが高くなった(同:P=0.44,P<0.001)。
そのほかサブ解析から,出血に関する興味深い点が示されたと山下氏は言う。
腎機能低下例における出血はダビガトランだけでなく,肝代謝型のワルファリンでも見られ,代謝の違いにかかわらず腎機能の程度に応じてリスクが上昇することが明らかになった(Circulation 2011: 123: 2363-2372)。
「これは腎排泄率が低いため,腎機能にはあまり依存しないと思われるリバーロキサバンにも言えることだ」と同氏は指摘した。
 
別の救うべき低リスク患者の存在が明らかに
このように,同薬が適さない症例が示された一方で,75歳未満やCHADS2スコアが低い例などメリットが明らかな患者群もサブ解析で明らかになった。
75歳未満例における脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制は75歳以上に比べてより高く,大出血リスクはワルファリンに比べて明らかに低かった(Circulation2011: 123: 2363-2372)。
また,CHADS2スコアが0~1点や2点などの低い例も多いのが実臨床だが,ダビガトランにおける脳卒中および全身性塞栓症の発症はワルファリンに比べて同等または低いことが示された(Ann Intern Med 2011; 155: 660-667)。
リスクと比較した上でのベネフィット(Net clinical benefit)分析によると,CHADS2スコア0~1点群におけるダビガトラン投与のベネフィットは,ワルファリン投与に比べて明らであった()。

figure
当初,ダビガトランは高リスク群が承認の入り口であった。
しかし,低リスク群の心房細動患者はむしろ多く,脳梗塞発症も高いことがサブ解析で推定されたため,山下氏は「低リスク群という別の救うべき患者の存在が分かった」と指摘する。

aPTT測定で大出血を防止
ところで,同研究所ではダビガトラン投与による大出血は1例も出ていない。
その鍵は,医師が投与前後に活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)を測定していたことにあった。
実際に測定してみると,投与後のaPTTは一様ではなく,延長例が混在していたという。
そこで,延長例は使い慣れたワルファリン投与に切り替えるなどの措置を講じたため,同研究所ではブルーレターとは正反対の結果となったのだ。
山下氏は「サブ解析からダビガトランの弱点も示されたことは臨床上,重要なこと。臨床試験の結果を患者にどのように当てはめていくか,臨床現場に徹する中で,いずれのギャップが埋まっていく」と述べた。
          (田上 玲子)
出典 MT pro  2012.5.15
版権 メディカル・トリビューン社
 
 
2012.5.19 22:02 撮影
アウトリガー・リーフ・オン・ザ・ビーチ
http://jp.outriggerreef.com/Default.aspx?ref=1
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http://allabout.co.jp/gm/gc/381026/

  

<ある日の講演会メモ>  冠動脈疾患治療の新展開①
■Toxic lipolysis  product hypothesis
○中性脂肪リッチなリポ蛋白が脂肪分解を受ける時に多くの炎症性脂質を産生し、血管内膜に障害を与える
・fatty acids lysolecithins
・oxydized lipids
○これらの代謝産物は
・接着因子の発現
・サイトカインの分泌
・マクロファージへの細胞毒性
・凝固
を促進させる
■Mets、2型糖尿病患者に食後高中性脂肪血症は多い
・Postprandial(食後)state,Postabsorptive(栄養素の吸収)stateを加味すると1日のほとんどが食後となる
・動脈硬化は食後に作られる!
■エゼチミブで食後中性脂肪が低下する機序
①小腸粘膜におけるコレステロール吸収障害
②小腸粘膜における脂肪酸吸収・運搬の阻害
③小腸粘膜における中性脂肪合成の障害
④カイロミクロン量の低下
⑤ApoB48の分泌低下
■血管内皮機能を改善する治療
・RAA系阻害薬   
  ACEi > ARB
・高脂血症治療薬      
  statin, EPA, fubrate, エゼチミブ
・糖尿病治療薬        
  ピオグリタゾン、DPP-4阻害薬 >> SU
■マクロファージはLDL-Cを食べない
■マクロファージが食べるのはatherogenic cholesterol
・レムナント
・酸化LDL
 
 <きょうの一曲> The Praye
Celine Dion & Andrea Bocelli - The Prayer (Live In Boston Taking Chances Tour 2008) 720p HDTV
http://www.youtube.com/watch?v=2xdlsu4sCaU&feature=related
 
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Symplicity HTN-1

戯れ言たれる侏儒 / 2012.05.18 00:05 / 推薦数 : 0
経カテーテル的腎除神経術、降圧作用は3年間持続:Symplicity HTN-1
治療抵抗性高血圧に対し著明な降圧作用を示す「経カテーテル的腎除神経術」だが、その有用性は、少なくとも3年間は持続する可能性が示された。
 
また当初 「無効」と思われながら、のちに降圧作用が発現する患者も相当数、存在することが明らかになった。"Symplicity HTN-1" 3年間追跡データとして、米国オハイオ州立大学のPaul A. Sobotka氏が、一般口演にて報告した。
 
Symplicity HTN-1は、治療抵抗性高血圧に対する「カテーテルを用いた腎動脈アブレーション」による、降圧の可能性を検討したコホート研究である。
現在、153例が登録されている。
 
利尿薬を含む3剤以上〔平均:5.1±1.4剤)の降圧薬服用にもかかわらず、収縮期血圧(SBP)は160mmHg以上が対象となった(血圧平均 値:175/98mmHg)。
追跡開始時の平均年齢は57歳。腎機能は、推算糸球体濾過率(eGFR)45ml/分/1.73m2未満が除外されているため、平均83±20mL/分/1.73m2に保たれていた。
3年間の追跡が終了したのは、153例中24例である。
追跡開始時からの降圧幅は 「33/19mmhg」。
2年間の追跡完了59例における「33/15mmHg」、2年半追跡24例の「33/14mmHg」からの減弱は観察されなかった。
「SBP<140mmHg」達成率も、2年間追跡時、3年間追跡時とも40%前後で、差はなかった。
興味深いのは、腎除神経術による降圧作用が経時的な増強傾向を示した点である。「SBP≧10mmHgの降圧」が認められた割合は、除神経術施行後1か月後の69%(143例中)から時間の経過にしたがい増加し、3年後には100%(24例中)となっていた。
 
また、腎除神経術施行1か月後に「SBP≧10mmHgの降圧」が認められなかった45例でも、3ヶ月後には58%(45例中)で10mmHg以上の降圧を達成し、達成率は2年後に82%(17例中)、3年後では100%〔8例中)と増加傾向を示した。
 
一方、腎除神経術の降圧作用が減弱するサブグループは、認められなかった。「年齢(65歳未満/以上)」、「糖尿病合併の有無」、「腎機能低下(eGFR60mL/分/1.73m2未満)の有無」にかかわらず、除神経によりSBP、拡張期血圧とも、著明に低下していた。
重篤な有害事象は、3年間追跡でも認められなかった。腎機能の著明低下は認めず、また懸念されていた腎動脈狭窄は、中等度狭窄を1例に認めるも血行動態に影響はなく、介入の必要はなかったという。
3例が死亡の転帰をとったが、いずれも腎除神経術とは無関係とのことだ。
 
なお現在、シカゴ大学George Bakris氏を主任研究者とする無作為化試験 "Symplicity HTN-3" が進行している。
治療抵抗性高血圧に対する腎除神経術による「イベント抑制作用」が検討される。来年3月には終了予定とのことで、結果が待たれる。
出典 Care Net.com   2012.3.28
版権 Care Net
http://www.carenet.com/conference/acc/2012/06.html 
 

 

<関連サイト>
腎動脈交感神経アブレーションによる循環器治療
 
治療抵抗性高血圧に対する腎除神経

腎交感神経β2受容体―WNK4経路
 
Symplicity HTN-1: 18-month Results of Sympathetic Renal ...Results from Symplicity HTN-1 and Symplicity HTN-2

Symplicity HTN-1:

Renal denervation: More data needed | theheart.org
Medtronic Symplicity™ Renal Denervation System Demonstrates ...

Catheter-Based Renal Denervation (RDN) Symplicity HTN-2 Trial


Endovascular Renal Artery Denervation for Treatment of Therapy ..


Renal Denervation in Refractory Hypertension - Full Text View ...

 
 
http://d.hatena.ne.jp/Cardiology/20111116/1321396205

 
<きょうの一曲> Time to Say Goodbye
Sarah Brightman & Andrea Bocelli - Time to Say Goodbye 1997 Video stereo widescreen
http://www.youtube.com/watch?v=Nl9WMIPzd6w&feature=related
 
 
 
ホノルル ロイヤルハワイアン 
(シェラトンワイキキホテルの隣にあるピンクパレス)

2012.3.19 10:15 撮影
 
 
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