越沖地震 仮設住宅の建設、急ピッチ 柏崎市
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070727-00000000-maip-soci
新潟県中越沖地震の被災地・柏崎市で仮設住宅の建設が急ピッチで進められている。同市災害対策本部によると、8月3日まで入居申請を受け付け、早ければ同13日にも入居が始まる。・・・・と言うニュースです。
数年前、私の地域でも大きな地震があり、避難所~仮設住宅と保健所の保健師さんたちと長期にわたりメンタルケアに回ったことがあります。もっとも、こういう場合は、メンタルケアだけを必ずしも前面に出さずに、身体ケアを含め、生活全般の話から介入していくのが原則です。
ところで、その時感じたことですが、災害ストレスの予後に大きな影響を与えるのは、大きく3つです。
1) その人を取り巻く人間関係
2) 健康管理、けが・疾病からの回復
3) 居住の確保 です。
特に、住宅の再建は、その後のケアに大きな影響を与えます。しかし、現在ある被災者生活再建支援法は、住宅の改築や補修には使えないため、必ずしも再建には物足りなさを感じます。(税金は、個人の財産には使わないと言う原則のものにあるためですが)
実際に、仮設住宅を建設して、そしてそれを維持して、壊すというのにもそれなりのお金がいるのです。それを個人の再建に振り替えると言う意見も無いわけでは無いかと思います。
とにかく、住居の確保はメンタルケアに最重要課題です。
能登半島地震で、石川県全域に被災者生活再建支援法が適用される見通しとなった。県が29日にまとめた暫定的な被害状況で、全壊住宅が121戸となり、適用条件(県全域で100世帯以上の住宅全壊)を満たした。・・・と言うニュースです。
生活再建支援法、石川県全域に適用へ 能登地震
http://www.asahi.com/special/070325/OSK200703290132.html (朝日新聞)
生活再建支援法は、阪神大震災をきっかけに制定され、自然災害の被災者への支援のための法律です。支援内容は、生活に必要な物品の購入・修理費、住居の移転費・移転のための交通費、家賃等の経費(50万円以内)などです。
時々、この支援で、建物そのものの建て替えにもできると思っている人がいるのですが、残念ながら、このお金では、建物そのものの建て替えなどができません。これは住宅は個人の資産であるため、税金を私有財産に投入することができないためです。
震災後のメンタルヘルスにおける重要な課題は、「取り返しのつかないものを失ってしまった」というものです。その一番多きなものが、「人の生命」、もう一つは、高齢者など大きな収入を持たないものにとっての「生活の場」です。この「生活の場」が、取り戻せる見込みがあるのか、なかなかむずかしいのかは、回復においても大きな問題となってきます。
ちなみに、2000年、鳥取県で起きた大地震では、建物そのものの建て替えもできる支援金を当時の片山知事が制度化しましたが、あくまでもこれは県独自の政策であり、ここでいつ生活再建支援法とは異なります。まぁ、法律にこだわらず、仮設住宅を建てて、維持して、壊す、一世帯にかける金額を考えたとき、どれくらい出費が異なるのかや、町村からの人口の流失を防ぐなど、いろいろな思惑もあったのかも知れないですね。
昨今では避難所の中での飲酒なんて殆ど考えられませんが、阪神大震災の頃は、避難所の中での飲酒が、逆に珍しいことではありませんでした。
(以下、私が思い出しての話ですので、一部誤りがあるかも知れませんが・・・)
外国からの支援チームが日本の避難所に来て驚いたのは、「飲酒が許されている」と言うことだったと言います。私も、いくつかの避難所を見て歩きましたが、非常に統制がとれて落ち着いた雰囲気の避難所では飲酒行為もなく、一方で、雑然としたまとまりのない避難所では、自由に飲酒が行われていました。ある避難所では、当初は、飲酒者の振る舞いに、皆が引いていたものの、徐々に排除に向かうと言う感じもありました。
そんな中で、避難所での飲酒行為を肯定するようなことがおきました。
あるマスコミは、ある高校生が避難所に酒樽を送ったことを好意的に放映し、それから同じように全国からアルコールが支援物資としてよけいに送られるようになったと聞いたことがあります。
あるテレビは、夜遅くに外で火を炊きながら酒を酌み交わす人々を頼もしげに(?)放映していました。でも、その背後で、不安な眠りについていた被災者もいたはずです。でも、マスコミは、火を炊いて酒を酌み交わす人の味方でした。
やがて、これは良くないことではないかと言うことが、徐々に広まっていき、避難所の中での飲酒を禁止する方向になっていきました。
その後、高知の水害があったときには、支援物資の中に、ウィスキーの小瓶があることに市民団体が抗議すると言うことがありました。
確かに、避難所の生活はストレスの高い物ですが、飲酒行為は、より集団でのストレスを高めていったり、多くの二次的な問題を生じることとなります。
・・・でも、高校生が酒樽を送るなんて、何を考えていたんでしょうね。
今回の話は、直接、能登半島地震とは関係ありません。
災害ストレスと言っても、いくつかのパターンがあります。災害に、事故や事件を含めて考えると、経験的に次の様な場合があります。
①地域を中心とした場合。
地震や水害など。地域をフィールドとしているので、保健所や市町村の保健師さんと連携をとりながら、当初は、全般的な健康相談の延長上でメンタル相談も入っていきます。保健医療的には、比較的介入がやりやすいパターンです。
②会社を中心とした場合。
水難事故や火災事故など。会社という組織への介入はむずかしく、会社側と被災者との利益が時間が経つに連れ必ずしも一致しないので、会社側の積極的な協力が無いと、介入がむずかしい。
③学校を中心とした場合。
校内での事故・事件、食中毒など。学校という組織への介入もむずかしいが、すでにスクールカウンセラーなどが入っており、心理職と連携をとりながら介入をしていく。校長の考えが問題となるが、近年、学校危機へのメンタルサポートとして、いくつかの県で、クライシス・レスポンス・チーム (CRT)が作られている。
・・・それぞれのフィールドによって、介入する手段や、最初に入りやすい専門職が代わってきたりします。(現実に、保健師が学校現場に最初に介入するのはむずかしいし、逆に、心理職の人が、避難所の健康相談に介入していくのはむずかしいですね。)
④その他の場合。
一定規模以上の事故、事件。事故や事件が起きるまでは、共通性の無かった人たちが、事件・事故の被害者としての新たな集団を作る。裁判などとも関与してくる。④は、経験したことがないので、よく分かりません。
この話は、数年前に、私の地元で起きた強い地震の時の経験に基づいた話です。
子どもの心のケアが話題になります。本人や家族・親しいものに、大きなケガなどが無ければ、次の様なことがあると、より一層、不安が高まってきます。
(1)被災時、一人でいた。周囲に、親しい人がいなかった。
(2)被災時、何らかの恐怖体験をした。(目の前で物が落下してきた、ケガをした)
(3)被災後、家族や親しい人が一緒にいる時間が少なかった。(例えば、公務員は、なかなか仕事に追われて家に帰れない)
主に見られる症状は、眠りが浅い、退行(ベタベタしたがる、赤ちゃん言葉を使うなど)、イライラして怒りっぽい、不安を訴える、身体の不調(頭痛、腹痛など)を訴えると言う感じでしょうか。これらは、一時的に出てくるごく当たり前の症状なので、安心できる環境の中で生活していく中で自然に軽減してきます。ベタベタしてくるときは、ベタベタさせてあげる方がうまく行きます。
私の地元で地震があったときは、マスコミや県外から何故かやってきた(?)自称・専門家の人たちが、
「今は、大丈夫でも、将来症状が出て来ます」
・・・なんて、まことしやかに話たものだから、それを聞いた親御さんたちが、
「今は大丈夫でも、将来症状が出てくるんでしょうか」
・・・と返って不安をかき立てられていました。私の仕事は、その尻ぬぐい、
「お宅の子どもには、絶対に、症状は出てこないから」
・・・と言い歩くことでした。
3月25日、能登半島地震が起きました。
私自身、阪神大震災の時、民間チームの中に加わって、何度か現地に行きました。そして、数年前は、地元で、今回の様な地震に遭遇することとなり、行く側と受ける側の体験もさせていただきました。
ただ、精神科医が、ボランティアなどとして外部から現地に入ることは、現実にはそれ程無いという気がします。
マスコミは、心のケアというと、安直に、PTSD(心的外傷後ストレス障害)とくっつけて考えたがりますが、震災直後から、PTSDなどの診断はできません。また、阪神大震災の時に、多くの精神科医が現地に入ったのは、新たに生じる心のケアではなく、多くの精神科医療機関(特に、クリニックなど)も壊れてしまい、それまで精神科で治療を受けていた人たちの治療中断やストレスによる再燃を防ぐためのものでした(と、私は解釈していましたが、この視点からは、あまり報道はされませんでした)。
そういう意味では、精神科医療が壊れてしまったと言うことは、阪神大震災以降は、それ程大きな物はなく、外部からの早急な精神科医療の介入は、まずは現地の精神科医療からの要請の有無を見てからと言うことになるのかと思います。
新たに生じる心のケアは、独立した物ではなく、生活支援等と並行して行われていきます。
ところで、今回も幾つかの避難所が映っていましたが、避難所での生活は、被災者にとっては、大きなストレスです。そして、我が物顔に入ってくるマスコミにも困った物です。地元の報道機関は、今後の事もあり、それなりにきちっと対応はしますが、外部から来たスタッフは、正直言って、あまり気遣いはありません。
私の地元で地震が起きたときも、避難所でTVレポーターが、「まだ、食料も配られていません。一刻も早い、支援が必要です!」と言っていました。でも、その画面の切れた2m横で、町職員が一生懸命に食料を配っていたのですが、うまくそれは画像に入れないようにしていました。
町職員のがんばりよりも、町職員の少しでも失敗を見付けて報道したいというマスコミの視線を感じながらの支援でした。
まぁ、マスコミの話をしても仕方がないので、ちょっと、災害ストレスの話を書いてみようかなと思います。
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