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時々、職場のうつの記事を読むと、
「休職中に、リフレッシュのためだと言って、海外旅行に行く人がいる。医者から、治療の一環として診断書をもらってくるので、職場としては、ダメとは言えない」・・というものがあります。(もっとも、マスコミがこういったことばかり取り上げるので、実際に、とても多いと言うほどの数では無いと思いますが。)
まぁ、私が主治医の立場で、忙しいときに、診断書を迫られたら、面倒くさくって、書いちゃうかも知れないですね。
とはいえ、私がセカンドで関わっている職場ではこれは「NO!」です。
病気休暇や休職は、治療のためにあるものです。作業服で言えば、一生懸命に働いてぼろぼろになった作業着を、縫い合わせていくような時期です。一方で、リフレッシュは、汚れた作業着を洗濯するようなものです。
「リフレッシュのために、旅行に行きたい」と言われたら、休職は、治療のための期間で、リフレッシュのためには使えません・・と強引に人事サイドでNOと判断してもらえます。
医者の多くは、企業側がきちっとそう判断したら、(あまりに理不尽な場合で無ければ)、「人事サイドがそう言うなら仕方ないね」で、折れちゃうかと思います。内心、それで、医者の方も、ホッとしてたりして。
企業側が、こういった行為に対して、きちっと態度を示さずに、何でもかんでも、「医者にお願い、そちらでうまくダメと言ってください」では、うまく行きません。
(3月11日の続きです)
職場の一番のストレスは、人間関係でしょう。
では、職場を休む、一番の理由は、何かと言うと、経験的には、人間関係ではなく、仕事の処理能力の問題です。
人間関係がストレスであっても、仕事が出来ている間は、何とか、仕事を休まずに頑張っていきます。
しかし、仕事の量がその人の能力を超えてしまったとき(加重労働ですね)、仕事の質がその人の能力では困難すぎるものをあたえられたとき、あるいは、本来のその人の能力であれば、何とか仕事をこなしていたのに、過労、過労、過労で、本来の能力が低下してしまい、与えられた仕事が処理できなくなってしまったとき(人間関係のストレスがたまって、処理能力の低下というのは充分にありますが)、
仕事に出ても、仕事が減らない、それどころか、処理できない仕事が益々たまっていく、やがて、思考力や集中力が落ちてくる、うつになる・・・と言うのが良くある「うつ反応」のパターンです。
出来るだけ早く、一時休憩を入れたいところですが、その為には職場の環境調整が必要です。また、この場合は、精神症状の出現に先立って、頭痛、頭重、食欲低下、吐き気、めまい、動悸、腹痛、下痢・便秘などと言った体の症状が先に出ることが多くあります。出来れば、体の不調が出てきたところで介入をしたいところです。
10年来、3,000人規模の職場のセカンドオピニオン的な事をしてきていますが、ちょっと、その中で感じていることを時々書いて見たいと思います。
※職場環境によって、随分と違うので、すべての職場が同じ状況と言うわけではありません。
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最近は、「うつ」が多くなってきていますが、うつ状態だからと言って、すべてがうつ病だとは限りません。いろいろなストレスが重なって、「うつ状態」になる場合、「うつ病」になっている場合と、反応的にうつ状態になっている「うつ反応」「反応性うつ」の場合があります。・・・と言う2月24日のブログの続きです。
内因性のうつ病の場合は、脳細胞そのものがくたびれているので、休養が必要です。薬物療法も必要です。仕事を休んで家にいても、脳細胞が疲れているので、買い物も、趣味も、テレビも何も楽しく感じません。2、3か月、休養+薬物療法によって、徐々に回復してきます。
一方で、うつ反応の場合は、職場のストレスのダメージが強くあります。当初は、内因性のうつ病とよく似ていますが、2、3週間ほどのんびりすると、むしろ買い物や、趣味や、自分の好きなことであれば、少しずつ出来るようになってきます。個人差はありますが、1か月、2か月もすれば、職場を除けば、普段通りの生活が出来るようになる人もいます。薬物療法も、内因性のうつ病と違って、対症的な睡眠誘導剤程度で良い人もいます。ただ、日常生活は普通に出来ていても、自分がダメージを受けた職場に近づくと、身体症状(吐き気や、頭痛、易疲労など)や強い不安緊張に襲われてしまいます。一見元気そうですが、意外と回復に時間がかかります。のんびりと過ごしながら様子を見るようにします。どの程度の時間が必要かというと、その人の職場のダメージの強さと、ダメージを受けていた期間によって異なります。
同じうつ状態でも、内因性のものなのか、反応性のものなのかによって、治療内容や今後の対応が、少し異なってきます。個人的な印象で行くと、2か月程度以上休まれる人の、2、3割程度が内因性(むしろ、双極性が多い?)、後は、反応性と言う感じです。
職場の管理職の人と話をすると、
「精神科の先生は、安易に診断書を書いて困る。就労可能と書かれても、実際には1日仕事が出来ないことが多い。かといって、診断書が出た以上、復職させないわけにはいかない」と。
管理職の人の言われる気持ちもよく分かりますが、多くの主治医は、ある程度病状が改善し、本人が仕事に出たいと訴えれば、診断書を書くと思います。実際に、主治医の立場であれば、私もそう言った診断書を書くこともあります。
かくいう私がセカンド的に関わってきた職場も、以前はそうでした。
でも、正直言って、これは、職場のシステムの問題と考えて頂きたいと思います。職場の上司が、自分たちが退職に追い込みたいから、でも、その役割を精神科にお願いしたい・・みたいな態度では、いつまで経ってもこの話題は改善しません。
ここ数年、私の関わってきている職場の方は、診断書に関する管理職からの苦情はほとんど私の耳には入って来なくなりました。これは、精神科の先生に診断書の書き方の改善をお願いしたのではなく、職場の支援体制や制度をきちっとシステム化してきたからです。職場の支援体制や制度をキチッと精神科の先生に提示すれば、主治医もそれに合わせて対応してくれます。いかに、システムをそれなりに整えていくのかが課題ですね。
・・・と言いつつも、私の方は、認知行動療法とか、EAPとか、よく知らないのですが。
10年来、3,000人規模の職場のセカンドオピニオン的な事をしてきていますが、ちょっと、その中で感じていることを時々書いて見たいと思います。
※職場環境によって、随分と違うので、すべての職場が同じ状況と言うわけではありません。
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最近は、「うつ」が多くなってきていますが、うつ状態だからと言って、すべてがうつ病だとは限りません。
いろいろなストレスが重なって、「うつ状態」になる場合、「うつ病」になっている場合と、反応的にうつ状態になっている「うつ反応」「反応性うつ」の場合があります。
前者は、内因性のうつ病と言われるものですが、私自身は、「内因性のうつ病」だけを診断書には、「うつ病」と記載し、後者の場合は、「うつ病」と書くには、ちょっとためらいもあって、「うつ反応」「うつ状態」と書いたりします。病院によっては、前者も後者も含めて、「うつ病」と書かれる先生もおられます。このあたりは、それぞれの先生の考え方でお任せするところですが、
内因性のうつ病と、反応性のうつ状態では、職場への介入の仕方や投薬等にも、ちょっと違いがあったりします。
新型うつ病と言われる人(私はこんな診断はつけませんが)、職場のストレスで「うつ反応」を認める人の中には、時々、アスペルガー症候群の方がおられます。
アスペルガー症候群の人が職場でうつ反応を起こされる時に、上司との関係がストレスになっていることがあります。
アスペルガー症候群の人は、自分にとって尊敬できると思った人、自分からみてすごいと思える人がいれば、ちょっと、その人と同一化して、その人の指示を受けながらテキパキと仕事をこなして行く人がいます。
的確な指示があれば、人一倍熱心にされる人も少なくありません。そして、指示をする上司が、自分にとって安心できる人である必要があります。
しかし、残念ながら、安心できない上司からの指示であったり、場当たりでコロコロ指示が変わると、不安になったり不信感が生まれて、それがきかっけで、「うつ反応」が起きてしまうことがあります。
この場合は、うつの治療を行いながら、一方で、本人を安心させ、能力をうまく認めてくれる上司のもとで仕事が出来るように調整を行うこともあります。
職場のメンタルヘルスの話題をするときに、新型うつ病とか、職場うつとかの話題が出てきますが、
こういった職場だけでうつ状態が長引く「うつ状態」のタイプ、実際に話題になってきたのは、もう5年、6年前の話です。
最近の話題は、(あくまでも個人的なレベルですが)大きく2つです。
① クレイマー、クレイマーと言いながらも、実は、職員の内部にもクレイマー(内部クレイマー)が増えてきていて、そちらへの対応が必要な場合が出てきている。
② 新型うつ病(私はこんな診断はしませんが)や、反応性のうつ病と診断されている人の中には、その背景に、アスペルガー症候群を持っている人が少なからずおられる。その人の得手不得手にあった環境調整をすれば、頑張って仕事ができるのに、キチッとした環境調整がなされない、あるいは、何の対応もないまま、漠然と薬物療法だけが行われている・・・と言う場合です。
ちょっと前に、とある研究会で、若い先生が、「新型うつ病」の事例を発表しておられましたが(仕方なしに、頼まれてされたようですが)、後で、その2つの事例を詳しく聞きましたが、経過から見て、充分にアスペルガー症候群の可能性を考えないと行けないかたでした。多分、こういうパターンは多いのだと思っています。
・・と言うことで、職場の相談の中で、出会う成人のアスペルガー症候群の話も機会があれば書いて見たいと思います。
反応性のうつ状態に陥っている人の上司と話をすると、「もう少し、頑張ってくれれば」と言われます。でも、それは、間違いです。
まず、最初に診ることは、
今のその人の能力で、今、その人が与えられている仕事がこなせるのかどうか・・・・が問題です。
頑張らないから仕事をしない のではなく
できないから仕事をしない と言う可能性の方が高いのです。でも、それをいろいろと理由をつけたりして、一見、上司や本人が、本当はできる・・と勘違いしていたりします。
概ね3つのパターンに
①もともと、今の能力で今の仕事ができるのに、しない。
→まぁ、一番少ないパターンです。仕事に対する充分な評価が与えられていない等もありますが、一方で、ADHD系で、できるけれどもダラダラと自分の好きなことばかりして取り組まないと言う場合もあります。
②本来はできる力はあるのに、今は、能力が落ちていて、今の仕事ができない。
→前回の、仕事を頑張りすぎた人に良くあるパターンですね。単なる疲れなら、一時的休養させて能力回復ですが、うつ病的になっていると、じっくりとした治療+休養が必要です。
③もともと、能力が無くて、今の仕事ができない
→いくら薬を服用しても解決しません。必要なのは、教育や訓練ですね。教育や訓練に乗ってくる人か、そうでないかと言うこともありますが。あるいは、明らかに無理なら、早めの転職と言ったところでしょうか。ダラダラと、何の介入もせずに時間だけを過ごしても、結局は何の解決にもなりません。
ただし、②を③だと勘違いしていたりすることもある(その逆もあり)ので、キチッと見立てをしておきたいところです。
職場の反応性のうつ状態にも、大きく2通りのパターンがあります。
①仕事を頑張りすぎて倒れた人たち
過重労働の場合もあれば、本人にとっては極めて質的に難しい仕事をしていたなどで、最終的にくたびれてしまったというものです。時には、傷つき体験をした(理不尽なクレーム対応や職場内でのパワハラなど)と言うこともあります。
だんだん、職場に行こうと思っても、体調不良が出てきたり、身体が動かなくなったり、不安・緊張感が高まってしまうと言う場合です。
②仕事を見て倒れた人たち
まぁ、仕事を与えられて、それを見るだけで落ち込んでしまうというタイプですね。
内因性のうつ病と違って、反応性のうつの場合は、職場から離れると日常に近い生活を送れるようになります。
内因性のうつ病は、「脳のくたびれ状態」なので、休んでいても苦しくて何もする気になれない、買い物も趣味も楽しめない状態が続きます。
反応性のうつの場合は、休んだ当初は、一見、内因性のうつ病と似ていることもありますが、徐々に、日常生活は、それなりに楽しんだりもできるようになります。しかし、職場に対する恐怖感や不安感が身体にしみこんでいて、職場に近づくことはできません。
職場以外の日常生活が普通に戻るまでの期間は、職場でストレスにさらされていた期間やその強さによります。①の場合は、それなりの回復に時間がいりますが(薬物よりも、休養が効果的)、②の場合は比較的早く、場合によっては、すぐにでも、日常生活はそれなりに送っていたりします。
(新型うつ病って、②のことを言っているのかな?これを「うつ病」って言われると困りますね。古いタイプの私としては、「新型・うつ病もどき」見たいに言って欲しいです。マスコミを通して、「うつ病」に対する誤解が出てきそうです)
ちなみに、診断書を書くとき、私は、
①の場合は、「反応性うつ病」とか、「心因反応」とか書きますが、
②の場合は、「抑うつ状態」と書いたりします。まずは、「うつ病」とは書きません。
(続く)
新型うつ病とやらの話題が、時々出ていますが、これを「うつ病」と呼んで良いのやら・・・何て書いていますが、実は、新型うつ病のこと、あまり知りません。
ということで、最近の、職場のうつ病事情、というよりも、職場のうつ状態事情について、話をしてみたいと思います。数年来、某職場のセカンドオピニオンみたいなことをしていて、年間、病気休暇や休職や、職場不適応の人を数十人ほど診ている経験の中でのお話です。
・・ところで、その前に、古典的な「内因性のうつ病」って、どこに行っちゃタンでしょうね。私が大学病院に勤務していた遠い昔(?)は、内因性のうつ病の人たくさん来ました。どんな人かというと、
・・・元来、几帳面、仕事熱心、融通が利かないと言う病前性格。あっさりと、うつ病の診断をして、当時は、その人の病像にあった3環系抗うつ薬を処方して、患者さんには、うつ病の事、薬のこと、副作用のこと、自殺をしないことなど・・通り一遍のムンテラをして、3か月ほどゆっくりと休養すれば、それなりに良くなって行きました。
数年前から、こんな人とはほとんど職場関連では出会わないですね。10人うつ状態の人がいたら、まあ、
2割が内因性のうつ病(といっても、気分障害、双極2型とか)、1割が家庭事情による疲労など(介護負担の増加など)、そして、7割くらいが職場のストレスをきっかけに生じた反応性のうつ(うつ反応とか、職場うつとか、まぁ、いろいろな言い方をされていますが)という感じです。
職場ストレスによる反応性のうつですから、ダラダラと抗うつ薬を投与していても解決しません。当初は、うつ状態に対して抗うつ薬を使うこともありますが、後は、不眠などの症状に睡眠誘導剤を使う程度で、ほとんど、薬物を服用していないという人もいます。ならば、カウンセリング・・という方も居るようですが、私、カウンセリング苦手です。まぁ、面接はしますが。
・・・というわけで、新型うつ病、といっても、別に「新型」というほどではありませんが、反応性のうつと、その対応(あるかないかは知りませんが、経験的な対処法で)について、ちょっと書いてみようカナと思います。
(続く)