アスペルガー症候群の子どもに、いかに告知をするかは、一つの課題ですが、最終的には、家族や本人がそれをどの様にしたいのか、感じるかです。
時々、親御さんが、学校の方から、
「本人に告知をして下さい。クラスの子どもや他の保護者にも告知をして下さい。そうしてくれないと、面倒がみれません」 何て事を言われたけれどもどうしましょう・・・と相談をうけることがあります。
もっとも、こういった場合は、本人の症状の無理解などもあって、何らかのトラブルが起きているときです。
学校側の多くの場合の目的は、トラブルそのものよりも、トラブルをめぐって苦情を言ってくる同級生やその親御さんへの対応です。
それならば、どの様に対応したらよいのか、一緒に相談をして頂ければよいのですが、何を思ったのか、告知をすれば解決をすると勘違いをしてしまわれたりします。
学校側の目的は、「苦情を穏便に処理すること」であり、「告知すること」は手段に過ぎません。ゆえに、仮に、告知をしても、穏便に処理がなされなければ、結局は、告知そのものは何の結果も生みません。
まぁ、告知は、外部からの場当たり的な要請に応じてしても、まずは失敗ですね。
・・・そういえば、親御さんだけが障害名を知っていて、告知は本人にせず、一方で学校には、理解を得るために障害名を伝えて居たところ、何を思ったか、先生が本人に「告知」をしてしまった・・何て事例もありましたが。この時は、学校の方もマズイと思ったのか、すぐにこちらに連絡があり、無事に本人にも話しをして終わりましたけど。
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アスペルガー症候群、という診断名が判っていたところで、『じゃあその子はどんな困難があって、そういった問題が起こっているのか?』『その困難に対処するにはどうしたら良いか?』まで判っていないと、告知は殆ど意味がないです。
たとえば、こんな話があります。
・・・
アスペルガー症候群のニキリンコさんの本『俺ルール!自閉は急に止まらない』からのエピソードです。
ニキさんが、九州で講演を終えたあと、移動するための交通機関を『選択』するときに、とても良い『選択肢の提示』をしてくださったのが、NPO法人『それいゆ』の代表をされている、服巻智子先生だったのです。
服巻先生は、ニキさんに『選んでください、選択肢は二つです』
・・・と切り出して、
1、新幹線で行く方法
2、ソニックで行く方法
の二つを、とても選びやすいように提示されたそうです。
1、の新幹線で行った場合→乗り場は遠いが、目的地には早く着ける
2、のソニックで行った場合→新幹線に比較して時間はかかるが、乗り場は電車を下りてから近い
・・・ということで、ニキさんは『荷物が多かったこと、あまり乗る機会がないだろう』という理由で、2、ソニックで行く方法を選んだということです。
ニキさんは、このあと『こんなにわかりやすく伝えてもらったことはなかった』と、本でそのときの気持ちを書いています。
どうして、この『選択肢の提示』が『ニキさんにとってわかりやすかった』のか?本の内容をご存知の方はわかると思うので簡単に説明すると、
まず『選んでください、選択肢は二つです』
という言葉で
・選択肢が二つあること
・その二つが、これから提示されるんだな、という『予測』がつけられるからです。
そこで
1、新幹線で行くと・・・・
2、ソニックで行く方法と・・・
というような『図式』を『頭の中のメモ用紙』に描いて、始めて二つの選択肢を『見比べる』ことが出来るからなのです。
たぶん、服巻智子先生は、アスペルガー症候群(自閉症)の人のこうした認知形態を良くご存知であったから、こうしたことが、ごく自然に出来たということでしょう。
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