アスペルガー症候群の診断が多くの場面で成されるようになって来てから、これまで他の診断名がついていた人の中にも、よくよく話を聞くと、むしろアスペルガー症候群の診断であったと言うことは少なくありません。

 強迫神経症と診断をされている人の中でも、アスペルガー症候群の方がおられます。

 強迫神経症は、本人の意志とは関係なくある考えにこだわり(強迫観念)、ある繰り返しの行動(強迫行為、確認や手洗いなど)が起きたりします。多くの場合、自分でも考えや行動が不合理だと分かっているにもかかわらず止めることができない、止めるとますます不安になっていくというものです。

 アスペルガー症候群の人の中にも、こういった強迫症状が強く見られることがあります。

 診断をするときは、これらの強迫症状だけではなく、これまでの生育歴の中で、他にも何らかの発達障害や精神疾患を思わせるものがあるのかどうかが重要です。場合によっては、統合失調症でも、よく似た症状が見られることもあります。

 アスペルガー症候群の場合は、これらの行動が、本人なりには、不合理とは考えずに、必要な事として考えていることもあります。また、強迫神経症の人の場合は、多くは他の人の前では見せることは少なく、学校の先生があまりそれに気づくと言うことはありません(むしろ、遅刻や成績の低下などが出てきますが)。アスペルガー症候群の人の中には、学校でも、強迫症状が見られる事もあります。

 もっとも、これら一連の傾向は合ったとしても、後は本人の経過を見て診断をすることになります。

 私は、児童専門ではないので、子どもも大人も診ています。すると、10歳の頃診ていた子どもが、10年経って20歳になって久しぶりにやって来られると、当時は強迫神経症だと思っていたのが、改めてみるとアスペルガー症候群であったと言うことも決して珍しい話ではありません。

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