アスペルガー症候群の子どもは、なかなか抽象概念や、具体性を欠いた指示が苦手です。

 ある小学校男児、絵の時間が苦手なようです。お母さんが心配して、先生に相談したところ、

 「大丈夫ですよ、お母さん。彼は、じっくりと考えてから、一気に絵を描き上げるんですよ。他の子はすぐにあわてて取りかかるのに、彼だけは、じっくりと頭の中でイメージしてから描いているのですよ」・・って。

  でも、お母さんは、いつも気がかりなことがありました。教室の後ろに張ってある絵を見ると、必ず、本人の絵とよく似た絵がもう1枚あるんです。

 ・・・そうなんですね。彼は、絵を描くのが苦手なんです。自分の家では、お気に入りのマンガを書いている彼でも、授業の絵は苦手なのです。

 先生が、「遠足の絵を描きなさい」って、言われても『遠足』と言う物体があるわけではありません。だから、何を描いていいのか分からない。だから、じっとしているのです。30分ほどしたら、横目で周りをキョロキョロみて、そして、同級生の絵を見て、その絵をまねて描いていただけなのです。

 「将来のを描いてごらん」「小学校の想い出を描きましょう」「夏休みの楽しかったことを描きましょう」「自由に描いていいですよ」

 ・・・って言われても、『夢』も『想い出』も『楽しかったこと』も『自由に』も、どれも具体的なものでは無いので分かりません。

 「遠足で見た」「仮面ライダー」「教室の中で飼っている金魚」って言ってくれれば、描けるかも知れませんけども・・・。

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