アスペルガー症候群の人の記憶力の良さの話です。記憶の削除機能が不足していると言うことは、時に、生活のしづらさを作ることがあります。
例えば、何かとても嫌な出来事があったときに、多くの人が数日で忘れることを、アスペルガー症候群の人は、数か月間、時には数年間にわたり忘れることができないと言うことです。その嫌なことも、単に「嫌なことがあった」と言うだけではなく、その時の状況や具体的な「言葉」、そしてその時の不快な感情までをも覚えてしまっています。
多くのアスペルガー症候群の人は、嫌なことがあっても、まずは我慢して、人にあわせます。他の人が、50%嫌だと感じたら反対するとしたら、アスペルガー症候群の人は、80%まで我慢してしまいます。嫌という言い方が分からないのか、嫌というと申し訳ないと思うのか、ギリギリまで我慢します。その分、一度、嫌だと発したときは、もう絶対に嫌、後戻りはできない状態の時が少なくありません。
この嫌な思い出は、同じような状況におそわれたときや、何か強いストレスを感じたときに、勝手によみがえってくることもあります。フラッシュバックと言ったり、まさに、その時点に戻るかのようなので「タイムスリップ」と言われたりします。
アスペルガー症候群の人の中には、時に周囲の人が気づかないうちに、強い不快感を感じているときがあります。いかに、周囲が早く気づくかが大切です。本人が、嫌だと表明した場合、せいぜい無理が効くのは1、2回。それ以上の無理は、かえって本人に不快な記憶を残すことになってしまいます。
ところで、アスペルガー症候群の子どもに、小さいときの話を聞こうと思っても、それが不快な場合、本人は触れたがりません。できるだけ、そう言うときは、こちらも深く聞かないようにしています。
・・・・・・・とある大学生。
「高校時代は、何か部活動をしていたの?」
「バスケットボール部に入っていました」
「中学校の時は?」
「忘れました」
「小学校の時は?」
「忘れました」
・・・・・・・とある中学生。
「小学校4年の時は、学校はおもしろかった?」
「いえ、嫌なことばかりです」
「思い出す?」
「いえ、思い出すと大変なことになるので、フタをしています」
・・・・・・・とある中学生。
「小学校5年、6年の時は、学校はどうだった?」
「地獄でした」
「でも、それ以前は、楽しかったのでしょ」
「忘れました。その時の記憶を思い出そうとしても、その上に、小学校5年、6年の時の記憶が乗っているので、見ることができません」
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