京都府宇治市の学習塾で2005年12月、小学6年女児を刺殺したとして、殺人罪などに問われたアルバイト講師の判決が6日京都地裁であり、裁判長は、懲役18年(求刑・無期懲役)を言い渡した、・・・との記事ですが。(正直言って、取り上げるには、重たい内容です)
学習塾での小6刺殺、元講師に懲役18年…京都地裁 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070306it03.htm
非常に痛ましい事件でしたね。精神科医としては、このような事件に関しては非常に複雑な気持ちです。
私の所に来られている方の中にも、通りすがりの事件や事故に巻き込まれた犯罪被害者の方も少なからず、その無念さ、理不尽さの話を聞かして頂きます。一方で、加害者側のご家族もおられます。
また、この被告が、発達障害であったとの事ですが、多くの近年の精神科の外来がそうであるように、発達障害、特に、アスペルガー症候群の診断をしている方、小学校から成人に至るまで数多く来ておられます。
このような事件に関して、比較的冷静に受け止められている方と、一方で、発達障害に関して、社会的偏見が増えるのでは無いかと不安を訴えられる方もいます。
マスメディアもそれなりの対応をしており、ネット上では、アスペルガー症候群の診断名が書かれていたりしますが、新聞紙上では「コミュニケーション能力に障害のある発達障害」という感じでの記載が成されているところもある様です。こういう表現も、致し方無いところもありますが、返って誤解を招きかねないところもあるかと思います。(あくまでも、コミュニケーションが苦手というのではなく、障害があるという部分の社会的理解が難しいところです)
判決的に言えば、アスペルガー症候群そのものに対して完全責任能力有り的に判断しつつ、精神病様状態にあったと言うことに対しての減刑という感じでしょうか。
ご家族の心情からすれば極刑以外のものは望んではいないと言うのが本音でしょう。
一方で、社会的関心が、刑の重さ、軽さだけにばかり目が行きすぎて、では、このような事件が2度と起きないようにすればどうすればよいのか、この青年に懲役の期間、どのような治療的介入ができるのかなど、考えるべき事は多々あります。
発達障害のごくごく一部の方が、不幸にしてこのような犯罪を起こしてしまったとき、果たして、少年院や刑務所の中で適切な関わりができるのかというと、まだまだ難しいというのが現状です。
また、あくまでも、直接、本人を診たわけではないので、想像の域での話ですが、「○○さんの像が剣を持って襲ってくるという幻視体験」と書いてありました。一過性なのか、かなり固定してしまっているのか分かりませんが、アスペルガー症候群の人に見られる持続する幻視様体験は、なかなか治療的にも難しく(私の経験上の話ですが)、キチッと治療や介入を平行して行える環境が少年院や刑務所で行えるのか、まだまだ、課題は大きく残されています。
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