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昨日から私のあたまはあまりクールダウンしていないよう…。
私が今,臨床のなかで力を入れたいと思っていることのひとつは,
統合失調症と広汎性発達障害の鑑別。
というのも,診察室で出会う思春期のこどもさんたちのなかには,幻聴とか妄想のような症状があって精神科を初めて訪れたときに「統合失調症の前駆症状」とか「初発症状」だと診断されたことがある子がかなり多いように思うからです。
たとえば,社会性やコミュニケーションの特性からまわりのひととの対人関係が難しくなったときなどに,生まれつきの認知の偏りも手伝って,しんどいことをより被害的に受け止めたり対人場面などにより強い不安を生じたりすることは大いに考えられること。
そんな彼らの内的状態を「自分のことば」で精神科医に説明すると,それが統合失調症の患者さんの訴えと類似して聞こえる,というのも非常にあり得そうなこと。
でも,その時点で,目の前のこどもたちの訴えをただ単に統合失調症に結びつけてしまうだけではなくて,生育歴に目を向けたり「発病」以前の対人関係スキルや学習も含めた学校での適応に目を向けたりすれば,広汎性発達障害の存在がみえてくることもあるかもしれない。
そして,「統合失調症の初発」と診断することと「広汎性発達障害に二次的に生じた精神病様症状」と見立てることは,その後の治療方針にかなり大きな差異を生み出すように私には思えるのです。
一時的精神病様症状であれば,その部分をうまくコントロールして消失されることができたらあとは広汎性発達障害という「特性」とゆっくり取り組むことになる(もちろんそれだって大変なことではありますが…)わけですが,統合失調症が発病したと考えると予後(その後の経過)はかなりよくないという予測が立ってしまう…。
私が研修医の頃に教わった統合失調症の予後は,
- 治療不要となって社会に適応(就労)できるケース
- 服薬は継続するが社会に適応できるケース
- 服薬しながら自宅で生活できるが就労は行えないケース
- 自宅での生活が送れない(入院生活を送らざるを得ない)ケース
がそれぞれ4分の1ずつ,となっていましたから…今の予後予測はこれとは違ってきているのかもしれませんが,あまり楽観的には考えられませんよね。
だからこそ,初診の時点で本当に統合失調症の初発なのかどうかをきちんと見極めて,統合失調症とは考えにくいケースであれば投薬量を控えめにしたり環境調整のほうへ意識を向けたり,さまざまな工夫をして一時的な精神病様症状を和らげる方向で努力したいな,と思うのです。
そんなわけで,これからは発達障害だけでなく,統合失調症の最新の知見にもしっかり目を向けなくちゃ,と思っています。
未来ある児童・思春期のこどもさんたちに,きちんと有効で適切な早期介入の行える精神科医でいられるように…。
コメント
コメント一覧
今回の記事はとても興味深く読ませていただきました!
私自身、メンタルクリニックにかかって5年目です。
2年目に先生に統合失調症だって教えてもらい(っていうより自分からインターネットで病気を調べまくり先生に言われるより先に私の病気は統合失調症ですか?って聞きました)3年目でアスペルガーって事を教えてもらい(これも自分から聞きました)4年目でWAISっていう知能検査を受けて発達障害であることが確定しました。
今では、統合失調症でありアスペルガーでもあるって診断なんですがどうしても統合失調症って所が気になってしょうがないんです。
なぜかって言うと、病院にかかった時家事をやっても親から文句をたくさん言われるとか言ってたり(実際に1999年から2000年にかけて味付けが薄いとか文句を言われています。それを2004年の初診で言いました!)してたからです。
複雑に過去のことと現在のことが絡み合って話が食い違うことがたくさんありましたし、相手が何を考えてるのか推測するのが苦手だから読み間違えをして妄想と間違えられたりしたことがありました。
今は、統合失調症じゃないのか統合失調症なのかって言うことにすごくこだわりを持ってしまい頭の中が統合失調症の事でいっぱいです。
統合失調症じゃないと思いながら統合失調症だったらイヤだなって思っている自分が居ます。
何が言いたいのかわからない文章になってしまいました。
ま、私が言いたいのは妄想だけで統合失調だと決めて欲しくないこと、何でそんな事を言ったのか背景をちゃんと知って欲しいのです。
アスペルガーの妄想にはちゃんとした理由があります。
コメントありがとうございます。
理沙さんのおっしゃること,とてもよくわかります。
アスペルガー症候群の特性,たとえばタイムスリップ現象などによって,すごく前のことをつい最近のことのようにリアルに思い出して周りのひとにと語ると,周りのひとにとっての現在のイメージとその話が時間的に食い違うために「妄想」とか「病的体験」だと判断されてしまう…。
とても残念なことだし,とても申し訳ないことだと思うけれど,現時点では多くの(特に成人を診る)精神科医も統合失調症の妄想や病的体験として捉えてしまうだろうと思います。
ただ,アスペルガー症候群はまだまだ診断概念として新しいものなので,たとえば障害年金とか自立支援医療とかの福祉サービスを利用しようと思うと,書類上は「統合失調症」という病名がついていたほうが必要な支援を受けやすいというメリットがあるのも事実…。
白黒はっきりさせたいお気持ちなんだろうな,と勝手に想像させていただいていますが,「今は統合失調症は改善していて,診断はアスペルガー症候群なのだ。福祉サービス利用のために便宜的に病名を統合失調症と記載することもあるかもしれない」と思っておかれるのがいいのかもしれませんね。私は自分の患者さんにはそんなふうに説明させていただいています。
また遊びにいらしてくださいね!
これからもどうぞよろしくお願い致します。
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