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自殺や鬱病に起因する経済的損失
この度、政府は自殺総合対策会議を開き、2009年の1年間の自殺やうつ病に起因する経済的損失がおよそ2兆7,000億円にのぼると発表しました。政府が自殺と鬱病をまとめて発表したのには、自殺の原因としてその大元に鬱病があると考えているのだと思います。
その鬱病に関して、ほとんど全ての人が知らなくて、そして知らなくてはならない事実があります。それは鬱病という病態はありますが、未だに鬱病の原因が見つかっていないという事実です。世界中の医者は鬱病が存在すると信じています。今に研究が進むと必ず鬱病の原因が見つかると信じています。
不登校、引きこもり、ニート、フリーターの子どもの問題に対応をしている医者として、私は鬱病の存在に疑問を感じざるを得ないのです。鬱病と診断されて投薬治療を受けていた子どもがいます。その子どもが苦しんでいる原因を見つけて、その原因から守ってあげると、子どもは鬱病の症状を出さなくなり、元気な大人となって社会に出て行けるようになります。つまり子どもに鬱病に相当する病態(鬱状態)は存在するけれど、鬱病は存在しないことになります。
鬱状態を鬱病として投薬治療をして、鬱の症状が固定してしまい、大人になっても投薬治療を受け続ける人がいます。症状が軽くて鬱状態に気づかないで大人になり、大人になって鬱状態が悪化して、回復が不可能になった人がいます。無い鬱病を鬱病と信じ込むことで、多くの医療費と経済的な損失を被っている姿の可能性が高いです。
日系サイエンス10月号「子どもの意外な”脳力”」に
「子どものように創造的に探求し柔軟に学ぶ能力は、大人のように計画的かつ効率的に行動する能力と引き替えに失われていく」
という記載がありました。これは長年私が子ども達を観察してきて、強く感じることです。
「子どものように創造的に探求し柔軟に学ぶ能力」とは、まさに子どもの心を能力という言葉で表現したものです。「大人のように計画的かつ効率的に行動する能力」とはまさに大人の心を能力という言葉で表現したものです。「引き替えに失われていく」とは大人の心になると、子どもの心を失ってしまうという意味です。
子どもは”子どもが持つ能力”から、その子どもなりに学習をして、自分の能力を納得して伸ばします。その子どもが伸ばしていく脳の力は、初めの内、親や大人が希望する能力とは異なる場合が多いです。それでもその能力をどんどん伸ばしていったとき、最終的に親の思いに沿ったものになります。
大人は”大人が持つ能力”を理解できます。大人は”子どもが持つ能力”に気づきません。大人は自分が子どもの時”子どもが持つ能力”を持っていたのですが、大人になると忘れてしまっているからです。大人は子どもに”大人が持つ能力”がない事実を気づくと、子どもに”大人が持つ能力”を身につけるように要求をします。それを大人は子育てだと考えています。
大人は自分の成長の過程で、ある時期に急激に”子どもが持つ能力”から、”大人が持つ能力”に、自然に変化したことに気づいていません。今の自分を未熟にしたものが自分の子ども時代だったと考えています。
自分が子ども時代に子ども特有の”子どもが持つ能力”を持っていたことを忘れてしまっています。子どもの能力は、”大人が持つ能力”が未熟なだけだから、訓練をして”大人が持つ能力”に近づけられると考えています。
「計画的かつ効率的に行動する能力」は、社会生活をするのにとても有効で、便利です。今の社会はこの”大人が持つ能力”を持った人が活躍しやすいし、大人社会も好ましい人だとして優遇しています。
子どもの「創造的に探求し柔軟に学ぶ能力」について、この能力に気づいていない大人が多いだけでなく、”子どもが持つ能力”は大人にとって直ぐに役立たないばかりか、必ずしも大人の求める結果が出ない(例えば学校での成績)ので、”子どもが持つ能力”を無視する傾向にあります。
今の学校教育を含めて教育界の流れは、言葉で「子どものように創造的に探求し柔軟に学ぶ能力」を伸ばすように言っていますが、現実の学校教育は「大人のように計画的かつ効率的に行動する能力」を求めています。年齢が進めば進むほど、この要求を子ども達に強く求めています。
それは未だ大人の心を持っていない子供達に無理な要求です。とても無理な大人からの要求に、子ども達はとても辛さを感じています。その辛さを回避するために、子ども達は可能な限り良い子を演じてしまいます。良い子を演じている子どもの姿を見て、大人は自分の要求が、教育が、子ども達のためになっている、子ども達に良いことをしていると判断をしています。
多くの子ども達は大人からの要求で良い子を演じています。良い子を演じられない子どもは、親や大人から見て問題行動をします。病気の症状を出してしまいます。親や大人は子どもに無理なことを要求しているのに、親や大人は子どもに問題があると考えて、大人が考えついた問題点を正そうとします。
子どもには問題点がないのに、問題点があると考えて子どもに関わる親や大人に、子どもは新たな辛さを感じるようになります。子どもはますます問題行動を生じたり、病気の症状を出すようになります。それでも親や大人は子どものために良いことをしていると判断をしています。
子どもが良い子を演じ続けられて、そのまま大人の心になれたなら、良い子を演じていたことが習慣化してしまい、大人の心から辛さを伴わないで、無意識にでできるようになります(この事実があるので、大人は子どもにとって辛いことを要求し続けます)。
子どもが良い子を演じられなくなると、子どもは親や大人から見て問題行動を起こしたり、病気の症状を出すようになります。今までとても良い子でどんどん能力を伸ばしていた子どもが突然問題行動を起こしたのですから、親や大人達は子どもに何か原因があると、原因探しをします。大人なりの原因を見つけます。
親や大人達が子どもの問題行動の原因として見つけた物の多くは、子どもが良い子を演じていた結果生じた事柄です。その原因と考えたことをきっかけとして、子どもが良い子を演じられなくなった場合が多いです。大本の原因とは子どもが良い子を演じなくてはならなくなった原因まで遡る必要があります。
その大元の原因で子どもがよい子を演じている経過の中で、子どもは他のいろいろな辛い経験をして、辛さに過敏になり(辛さには相乗効果があります)、辛さに耐えきれなくなって、よい子を演じられなくなったのです。
子どもの心に寄り添って(18)
登校刺激
小学4年生の女の子が不登校になって2ヶ月がたちました。不登校になった当初は、お腹が痛いと言ったり、頭が痛いと言ったりして、朝起きてきませんでした。日中は元気にテレビを見たり漫画を読んだりして、元気そうでした。
担任から電話がかかってきたり、母親が学校に行かそうとしたときには、とても不安状態になりました。母親が不登校の親の会に参加して、登校刺激は好ましくないことを知り、学校からの印刷物を止めてもらい、電話は母親の携帯にかけてもらうようにしました。
女の子が落ち着いてくると、女の子は学校でいじめられていたことが学校に行けなくなった理由であることを教えてくれました。そこで母親は校長や担任と連絡を取って、いじめの事実を伝えました。いじめた子どもの親と子が家を訪ねてきて、いじめを謝罪してくれたので、いじめの問題は解決したと母親は思いました。
母親はこれで子どもが学校に行けると思いましたが、子どもは一向に学校に行こうとしません。母親がその理由を尋ねると、「学校に行きたいけれど、どうしても行けない」と答えるだけです。母親は子どもを学校に連れて行こうとしましたが、不登校の親の会から、それは良くないと言われて、子どもを学校に連れて行くのを止めました。
母親は子どもが学校に行きたい気持ちがあるから、朝時間になると子どもを起こして、将来のために学校に行くと良いことを話しました。しかし子どもはだんだん元気がなくなり、不登校の親の会と相談して、これらの登校刺激を全く止めました。現在は朝起きてくるのを自由にさせていますし、学校に関する話を全くしていません。
クラスの友達が毎日、学校での出来事を書いた物や予定表を持ってきてくれます。励ましの言葉を書いた物を持ってきてくれたときもありました。友達が届けてくれたついでに、一緒に遊んでくれます。子どもはお便りと友達を待っているようです。休日には何人かの友達がやってきて、仲良くゲームをしたり、近くの公園で楽しそうに遊ぶことができました。その後学校に行く約束をしていたようです。
母親は「登校刺激を止めたので、だいぶ元気になってきた。親切な友達のおかげで、子どもはますます学校に行きたいという気持ちを強めている。今に学校に行けるようになる」と感じていました。
その後、子どもは一向に学校に行こうとしません。母親が何か言うと子どもは荒れて物を投げたり、壊したりします。部屋に籠もって、一日中ゲームをして過ごしています。母親は不登校の親の会の指導に従って、何も言わないで待っています。母親も辛さに耐えるので精一杯です。
母親は不登校の親の会の指導に沿って対応をしていますが、子どもの心に沿った対応ができていません。子どもの心に沿った対応をしないと、子どもも辛いし、母親も辛くなります。子どもの不登校で辛い状態の解決が遅れてしまいます。
つらい子どもの心の本 白日社 1050円
頭が良い子に育つ 風詠社 1000円
を是非読まれて下さい。