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2009.10.02 20:39 |  診療  |  研究  |  生活 / くらし  |  その他(一般)  |  office  | 推薦数 : 1

母親だけは(修正文)

母親だけは

 不登校、引きこもりなどの、心が辛い状態の子どもを持つ親や、その子どもに関わっている大人についてです。子どもが辛そうにしていると、多くの大人は、子どもが苦しんでいる原因を見つけようとします。原因を解決して、子どもを元気にしようとします。そのために、子どもから色々と聞きだそうとします。子どもが苦しみだした頃の状況を、その大人なりに分析して、そこから原因を見つけようとします。その原因を取り除き、子どもの問題を解決しようとします。

 しかし多くの場合、子どもは自分が辛いという事実は分かりますが、なぜ自分が辛くなったのか、自覚していません。なぜ辛くなったのか分かりませんから言葉にできません。自分が辛い原因を、子ども自身が言葉にしたなら、それは子どもの周囲の大人から指摘されたことを、子どもが言葉にして答えただけです。自分ではっきりと見つけ出したのではありません。

 子どもが辛くなった原因を大人が見つけて、その原因を取り除いても、子どもの辛さは変わらない場合が多いです(大人が見つけた原因を取り除いても、子どもの辛さが変わらないとき、その子どもにも問題がある、その子どもの問題も解決しなければならないと、大人は考えがちです)。それは大人が見つけた原因が、子どもが辛くなった原因ではない場合です。また、その原因は、子どもが辛さを表現するきっかけとなっただけで、その原因を生じた大元の原因がある場合です。

 辛くなった原因を取り除いて、子どもが元気になったように見えても、子どもがよい子を演じて、あたかも元気になったように振る舞っている場合も結構多いです。つまり、大人が見つけた子どもが辛くなる原因は、子どもが辛くなった原因だと大人が理解しただけで、殆どすべての場合間違っているか、ほんの僅か子どもの辛さに関係しているだけです。

 現在のどの母親でもそうですが、子どもが辛そうにしていると、その原因を母親が持っている知識から分析してしまいます。子どもの心に沿わない結論を導き出してしまいます。子どもの立場から言うなら、母親は子どもが辛いと言うことだけを感じ取ればよいです。子どもが辛いから、母親の周囲に暖かく守ってあげるだけでよいです。後は子どもが母親で自分の辛さを癒して動き出します。母親は子どもが動き出すのを待っていればよいです。そして母親以外の大人(例えば父親や学校の先生や医者)は、基本的に子どもが辛い状態を解決する能力を持ち合わせていないこと(これは常識に反しますが、子どもの立場から言うととても大切)に気づくべきです。

 子ども(年齢や心の辛さの程度によって異なります)にとって母親とは、子どもの存在そのものです。母親に依存して、子どもの安全と心身の成長が保証されると、子どもはその子どもなりに成長していきます。子どもが成長していけば、母親や母親の周囲では物足らなくなります。子どもは必要に応じて母親への依存を止めて、母親から離れて、経験を増やしていきます。学習をしていきます。これは子どもの持つ本能です。人間を含めて、全ての哺乳類の子どもが持っています。

 子どもが母親への依存を止めない、母親の周囲から離れない場合、子どもの甘えと理解されがちです。しかし子どもが甘えと理解されるような行動をとるには、子どもなりの理由があります。その理由が何なのか、多くの場合母親を含めて、大人は知ることができません。子どももその理由を知ることができません。子どもは潜在意識で、安全を母親に守って貰う必要を感じています。自分の安全に納得できないから、母親の周囲から離れようとしないです。子どもは本能から母親に依存を求めます。母親で不十分なときに、父親に求める場合もありますが、それでも第一に求めるのは母親です。それは子ども特有の本能なのですから、その事実を大人は認める必要があります。

 その様に大切な母親に、子どもが暴言、暴力を振るう場合があります。常識的には、子どもが悪い、子どもの心に問題があると理解されます。しかし子どもの立場から言うなら、母親への依存が必要なのに、許されていない。子どもが心の安全を求めているのに、母親から与えられていないという意味です。時には、辛い状態の子どもの心が母親によって癒されないだけでなく、より辛くされているという場合があります。子どもが母親にする暴言、暴力は、外見からはとてもその様には見えませんが、「お母さん助けて!」という、子どもからの叫び、またはサインです。

 子どもが母親に暴言、暴力を振るう場合、母親はとても辛いです。外見ではその様に見えませんが、子どもはもっと辛い思いをしています。死ぬ思いをしているから、その思いを母親にぶつけています。ですから、母親が逃げることを子どもは許しません。子どもが辛いことを母親が気づいて、子どもを守ろうとするまで荒れ続けます。子どもが自分の心の安全を感じられたときに、子どもは母親への暴言、暴力を止めます。母親ととても良い関係になれます。

 母親の立場から言うなら、子どもが荒れて暴言、暴力を振るわれてしまうことはとても辛いです。大きな力で子どもを押さえつけて、子どもが荒れなくなることを希望します。しかしそれは子どもにはとても許せないことですから、ますます子どもは荒れて、母親はますます辛くなります。または、子どもはますます辛い病気の症状を出して、母親を苦しめるようになります。 

 心が辛い状態の子どもを母親が守ることは、母親にとってとても大変難しい対応です。時には母親自身が苦しんで病気の症状を出したり、死にそうになることもあります。それ程大変な対応ですが、父親や他の人は母親の代役をできません。子どもが自分の辛さから守ってくれる人を、母親にしか求めないからです。母親以外の人は、その様に辛い状態の母親を守って、元気にして、大変に難しい子どもへの対応を母親が続けられるように、母親を支え続けるのが、一番大切な対応法です。

 母親が夫や他の人に支えられて、心が辛い状態の子どもへの対応を続けている内に、子どもの心に沿って子どもを守る対応法を理解できたなら、母親の子どもへの対応はとても簡単になります。子どもが荒れなくなり、どんどん元気になっていきます。今までの子どもの荒れ方が思い出話になります。今まで気づかなかった子育ての喜びを感じられるようになります。

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