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充電したよ!
小学3年生から不登校になっていた男の子昇君の話です。不登校になって母親は学校と相談して、スクールカウンセラーと相談して、プリントや友達など、少しでも学校との関わりを続けながら、家で自由に生活をさせようとしていました。しかし昇君は友達と楽しそうに遊ぶのですが、夜になって荒れてガラスや壁を壊すようになってしまいました。そこで母親はスクールカウンセラーの薦めもあって、ある名の知れた小児精神科を受診しました。
医者からは発達障害または自閉症の可能性があると指摘されて、薬を飲むことになりました。母親は子どもを助けたい一心から、一生懸命薬を飲ませようとしましたが昇君はなかなか薬を飲もうとしませんでした。無理矢理に飲ませても昇君はますます荒れるばかりで母親は精神科の治療に疑問を感じるようになっていました。大学病院やその他の精神科、心療内科を受診しても同じような結果しか得られなかったので、母親はネットでいろいろと検索をした末に当院を受診しました。
母親は子どもを伴わないで、新幹線と電車を乗り継いでやってきました。母親との面談で母親は子どもの心に沿った子どもの問題行動や症状を理解することができました。病気でもないことを理解できた母親は、もう病院通いや薬を飲ませることをすっぱりと止めて、家の中で昇君が楽しく過ごせるような対応をすることを理解して帰りました。その後の相談は電話ですることにしてありました。
帰宅すると母親は学校に電話をして、今後学校からの印刷物を持ってこなくて良いし、同級生を昇君と遊ばすためにこさせなくても良いことを伝え了解してもらいました。昇君には「学校に行かないで、家で昇君らしく楽しく遊んで過ごしなさい」とだけ言い続けました。昇君が学校に行くために朝6時に起こしてと言っても起こしませんでした。昇君が荒れても、荒れるままにして止めようとはしませんでした。食事も昇君が食べるに任せて、ゲームも昇君が止めるまでさせ続けました。そうすると昇君は風呂にも入らない、パジャマを着替えもしないで、明け方までゲームをして昼間眠るという生活を約一年続けました。
4年生の終わり頃になって昇君は漫画や飲み物を買いによる一人でコンビニまで出かけるようになりました。そのころから友達と遊ぶようになりました。はじめは夜コンビニで立ち話のようなことをしていましたが、そのうちに午後には起床して学校を終えた友達と公園で遊ぶようになりました。そのような昇君の様子を知った学校は、昇君に適応指導教室やフリースクールを薦めましたが、母親はそれを断って昇君が家で元気になり昇君の自主的な動きを尊重し続けました。
5年生になってからの秋、昇君は母親に塾に行きたい、塾で友達と勉強をしたいと言い出しました。しかし母親は昇君に「学校に行かないで家で昇君らしく楽しく遊んで過ごしなさい」と言い続けました。昇君は「僕がこれだけ勉強を従っているのに、それをさせない親なんて他にはいない、とんでもないおやだ!」と言って暴れましたが、母親は昇君の暴れるままにしていました。そうすると何日かたって、以前昇君が行っていた塾から電話があって、昇君が塾で勉強したがっているから認めてやって欲しいという内容でした。そこで母親は昇君とよく相談して連絡すると言って電話を切りました。
昇君の熱意に押されて母親は昇君の塾通いに同意しました。昇君は塾での勉強を一生懸命しました。それはまるで今までの遅れを取り戻そうとするかのようでした。家ではゲームに多くの時間を費やしていましたが、塾が始まる前から塾に出かけ先生にいろいろと質問をしていました。実力がどんどんついていったと塾の先生は昇君を褒めていました。それでも母親は昇君を褒めるでもなく、淡々と昇君を塾に送り出していました。
5年生の終わり頃、昇君は風呂上がりで一息ついている母親に向かって言いました。
「僕は一年の時からみんなにいじめられていたんだ。お母さんは僕に良い子でいなさい、勉強をしなさい、学校を休んじゃあいけない、と言い続けたでしょう。僕は本当に辛かったんだ。辛くてもがんばって、がんばって学校に行っていたんだよ。」
すると母親は涙を流して謝りました。
「お母さんが悪かったの、昇のことわかってあげられなくて本当にごめんね。辛かったねえ、ごめんね・・・、ごめんね・・・」
「お母さんが泣かなくてもいいよ。僕、もう充分、充電したよ!。だから学校に行こうと思う」
と昇君は言いました。母親は
「それだけ辛かったのだから、もっと家で昇が楽しく過ごして欲しいと母さんは思っているよ」
と言い続けましたが、昇君は
「僕にはこれからやりたいことがあるんだ。そのためには学校に行かなければならない。もう決心したのだから、学校に行くからね」
とだけ言って自分の部屋に行ってしまいました。
その後、次の週の月曜日から、友達と誘い合わせて学校に行ってしまいました。現在は6年生、小学校生活を満喫している姿に母親は昇君を信頼し続けてきたことの喜びを感じています。