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2008.07.28 20:32 |  診療  |  研究  |  生活 / くらし  |  その他(一般)  |  office  | 推薦数 : 0

情動耐性

情動耐性

 ある大学の教授が、「近年の子どもは情動耐性が育っていない」と指摘しています。本当にそうでしょうか?情動とは受けた刺激に対して感情を含めた体全体の反応の仕方です。それは潜在意識から生じます。意識的にできることではないです。大人になって自己コントロールができるようになると、情動の発動を押さえることができます。感情を抑えることができます。感情の真似は情動ではないです。学習した反応の仕方を利用しているだけです。

 脳の解剖学的な構造から子どもが幼ければ幼いほど情動の調節はできません。思春期以前の子どもは情動の調節はできないと考えた方が間違いがないです。強い情動刺激でしたら、二十歳代の子どもでも情動の調節は不可能だと考えた方が間違いがないです。大人になっても情動を調節する練習をしないと、とっさに自分の情動を、感情を調節するのが難しいです。

 情動は大脳辺縁系で処理されます。大脳辺縁系は二、三歳で完成し、それ以後変化することはまず無いと考えられます。情動を調節する機能は前頭前野です。前頭前野の神経繊維の髄鞘化の完成は二十代の後半になります。ですから人によっては二十歳代の後半まで情動の調節、感情のコントロールが下手な子どもがいてもおかしくないです。

 情動耐性とはこの情動を意識的に調節する機能を指しています。情動耐性が育っていないというのは情動調節ができないという意味です。情動調節について大人には可能でも、前記のように子どもが自分の情動を調節することはできないか大変に難しいです。情動耐性という概念を子どもに用いること自体が既に子どもの心を理解していないことになります。

 子どもの情動が安定していると言うことは、子どもに普段加わる刺激で子どもが情動反応しないという意味です。子どもの心が傷ついていないという意味です。「近年の子どもは情動耐性が育っていない」という意味は「近年の子どもは心が傷ついている子どもが多い」と言い換えることができます。それほど学校を含めて近年の子どもの環境は、子どもにとって辛い状況にあります。

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