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今まで、学習による反射的な行動と学習による情動行動について述べてきました。いずれも感覚連合野(知識の心)、前頭前野(意識の心)、運動連合野(反応の心)の密接な神経接合があり、意識の心が受けた刺激に対して、知識の心の情報を利用して、運動の心の情報を選択して反応しています。
その際に意識の心が受けた情報だけで、知識の心の情報を利用して反応の心の情報を選択して反応する場合が、慣れの反応です。それに対して意識の心が情動の影響を受けて、知識の心の情報を利用して、反応の心の情報を選択して反応をする場合が、情動行動です。
人間の大人には思考行動があります。意識的行動とも言えます。注意しなければならないのは、子どもに見られる意識的行動と判断される子どもの行動は、実際は反射的行動または情動行動であるという事実です。年長の子どもでは意識的な行動が見られる場合もありますが、そのときはきわめて情動が安定しているときです。
意識的行動の大本である意識的に行動しようとする動機(エネルギーと表現しています)はどこで生じるのか、それは未だにわかっていません。私は情動だと推定していますがそれは後ほどにして、意識的に行動をしようとする動機が前頭前野に働きかけますと、知識の心の中の情報をいくつか選択して、その選択した知識を用いて反応の心の情報をいくつか選択します。
その選択された反応の心の情報について、そのそれぞれの反応の心の情報から行動する前に、その反応の心からの情報で行動したときの結果を、知識の心の中から選択をして、それぞれの反応の心からの情報から行動した場合の結果を比較します。
その比較するのは情動です。選択された行動結果についての情報が生じる情動(クオリアという)の一番強い物が、それに相当する反応の心の中の情報を、反応という形で実行します。
日経サイエンス今年度7月号66ページから、「カラスはなぜ賢いのか」という記事の中のカラスは、食べ物を得るために、食べ物に関連する物を、この記事では紐を自分の方に引っ張り固定するという行動の仕方を、生得的に持っているのでしょう。
ですから食べ物を得ようとする情動からの欲求から、試行錯誤の中で、紐を自分の方に引っ張る行動を試みています。その結果が食べ物を得るという報償になっていますから、その行動がカラスの知識と反応の心に永久記憶として記憶されていきます。
ただ、カラスには紐を食べ物がある方向とは違う方向から引っ張るという行動の仕方は生得的に持っていません。この記事の中のカラスのように、食べ物がある方向と引っ張る方向が違うときには、カラスは紐を引っ張るという行動はできないことになります。
カラスの場合、引き寄せることと、引き寄せる方向とが一致していないと、引き寄せるという行動が生じません。食べ物があること、食べ物を引き寄せる方向と食べ物がある方向とが一致する方向だけに、反射的に行動が生じます。
人間では食べ物を得ようとする欲求が、食べ物を引き寄せる方向と食べ物がある方向と一致している場合でも、一致していなくても紐を引っ張ることで食べ物が得られることを理解できます。そのときには、まず食べ物がある方向から自分の方に紐を引っ張って食べ物を得るという動作はカラスと同じで可能です。
食べ物がある方向と引っ張る方向が逆の場合、そのときは思考の心が働いて、食べ物を縛っている紐の走行を分析することができるからです。陳述記憶にある紐についての知識、紐の走行という知識、その他のその場に必要な記憶を思い出して、それらを取捨選択、組み合わせて、食べ物がある方向と引っ張る方向が違っても、紐を引っ張って食べ物を得ようとすることができます。
日経サイエンス今年度7月号66ページから、「カラスはなぜ賢いのか」という記事が出ています。ここにかかれているカラスの行動は全て情動からの行動ですが、その情動からの行動が、カラスを取り巻く環境によりきわめて複雑多岐になっています。著者が知性と表現していますし、人間の知性にとてもよく似ています。状況判断という点では、カラスの永久記憶がきわめて多くあり、繊細に区別されています。その永久記憶から、鳥としては優れた反応の仕方をしています。
それらは人間の思考ととてもにていますが、本質的に思考とは違います。著者はカラスに理屈=考え方=論理を想定しています。理屈、考え方、論理、それは思考の心の機能です。カラスでは自分が過去の経験から持っている状況判断とそれに連合した反応しかないからです。カラスの行動を観察する(この論文の内容)限り、試行錯誤をしても、状況に関する永久記憶を分析加工していないからです。
著者は予測と言う概念で、カラスが論理を持っていると説明しています。しかしそれは人間における予測とは違います。過去の豊富な経験から、その状況にあった反応を選択しているだけであり、その反応は反射的に行われ、間違いが少ないです。人間の様に与えられた状況を分析して思考から答えを出すときには、答えを出すまでに時間がかかること、反応が状況にそぐわないことが、つまり間違った反応をしてしまう可能性が高くなります。
この環境情報とその時生じた情動から行う反応は、思考行動にとても似ていますが、次々に生じる情動の変化が反応を選択するのか、自発的な思考という動機が反応を選択するのかという大きな違いがあります。子どもの場合受け取って環境情報とその時生じてた、または生じていた情動とで反射的の行動をします。
大人の場合受け取った環境情報を自発的な思考で、知識の心の情報から、過去の事実、陳述記憶をいくつか思いだし、それらを分析、加工して、その結果から、反応の心の中の反応情報を選択して、または加工して、反応をします。このような思考行動の場合、思考という過程を経ますから、受けた環境情報に対して、反応を開始するまで、若干の時間の遅れを生じます。
子どもの場合、環境情報から生じる情動が弱い場合、積極的に何かを得ようとする自発的な接近系の情動を生じます。その自発的な接近系の情動は大脳辺縁系の前部から生じて、眼窩上回から前頭前野に送られて、既に送られてきている環境情報を用いて、反応の心の中の情報から反応をします。
それは多くの場合遊びという形、何かに挑戦するという形で観察されます。これをエネルギーと表現しています。大人ではこの自然発生的な接近系の情報はとても弱いです。環境情報から生じる情動が弱いときには、大人は自然発生的に何かを求めようとする行動をしないです。
このエネルギーと表現される、子どもらしさを発揮する、子どもの自然発生的な接近系の情動は、大脳辺縁系の中では単に接近系の情動ですから、環境情報から回避系の情動を生じる場合、既に回避系の情動が生じている場合には、それらの回避系の情動と相殺されて、子どもの自然発生的な接近系の行動は見られなくなります。その時の子どもの姿は、程度によっては落ち着いた子どもと見られたり、その程度が著しいと、動きの少ない、元気のない姿として観察されます。
逆にこの自然発生的な接近系の情動が強いと、子どもは落ち着きがないと感じられます。特にその自然発生的な接近系の情動に強くある方向性があるときにはADHDの子どもと理解されるようになります。周囲が子どもにその動きを押さえつけようとしても難しい子どもになります。
人間を含めたほ乳類では、各感覚器で受け取られた情報(個体の周囲から受け取った刺激)各感覚野で処理されて、各連合野(以後知識の心と表現します)で記憶されます。その記憶部位を表す情報(タグ)が前頭前野に送られて認知されると共に、大脳辺縁系扁桃体に送られて情動認知されます。その認知された情報から、個体が運動連合野(以後反応の心と表現します)の情報を用いて反応(反応が個体の動きとなったときには行動と表現します)します。
今までの心理学や精神医学では、この情報を受け取ってから反応するまでの脳内の過程はブラックボックスとして無視されていました。精神世界という物を仮定して情報と反応の間の説明をしていました。
社会生活の中での大人の行動の多くは、受け取った情報から、既に存在している知識の心の情報と照合されて、その知識の心の情報に相当する反応の心の中の情報が選択されて、無意識に、反射的に行動します。”慣れの行動”と表現される反応です。
知識の心の情報に相当する物がないときには、または知識の心の情報から反射的に行動して好ましくない結果が生じたときには、自然発生的に思考の心が働いて、知識の心の中の情報を選び出す作業を行います。
その選ばれた情報に相当する反応の心の情報から反応する場合、知識の心の情報のいくつかを細かく分解して再構築したり、反応の心の情報からの反応を知識の心の情報から修正したりして、反応をすることができます。これが”思考行動”と表現される反応です。この思考行動はもっと複雑なので、情動行動を説明した後に再度説明します。
子どもの反応の仕方は、大人と違った所が多いです。子どもには一応思考行動がないと考えられます。子どもが幼ければ幼いほど慣れの行動も少なくなります。子どもでは受け取った情報は大脳辺縁系扁桃体で情動認知されますと、その情報は前頭前野眼窩上回から前頭前野の受け取り認知した情報と情動情報に相当する反応の心の中の情報が選択(既に経験した程度で連合している)されて反応します。
反応の心の中に選択する情報が全くないときには、その事実から新たな強い回避系の情動が生じて、子どもの外見としてはパニック状態になってしまいます。反応の心の中の情報で反応して、その結果生じる反応が環境に適応していないといろいろな程度の回避系の情動が生じて、その生じた情動の程度に応じて新たな反応の心の中の情報を用いた反応を生じたり、反応を止めて、回避反応を生じます。
反応の心の中の情報で反応して、その結果生じる反応が環境に適応しているといろいろな程度の接近系の情動が生じて、その生じた情動の程度に応じて新たな反応を生じます。