一昨日はオオヨシキリ、昨日はカッコウの初音を観察しました。カッコウに関しては、私の経験上例年より2週間早いです。
さて、「下流社会 新たな階層集団の出現
」(三浦展著、光文社新書)を読みました。
この本は2005年発行です。先日読んだ「パラサイト・シングルの時代」は1999年発行ですので、この数年間で状況はますます悪化していることを感じました。
三浦氏曰く、
「下流」とは単に所得が低いということではない。コミュニケーション能力、生活能力、働く意欲、学ぶ意欲、消費意欲、つまり総じて人生への意欲が低いのである。その結果として所得が上がらず、未婚のままである確率も高い。そして彼らの中には、だらだら歩き、だらだら生きている者も少なくない。その方が楽だからだ(「下流社会」より引用)。
いきなりケンもほろろ、歯に衣着せずにこう書かれると、寅さんなら「それを言っちゃあ御仕舞えよお!」って感じですね(汗)。
著者は市場分析家という職業だそうですが、本書ではその方面の手法を駆使し、人々の意識や消費動向を調査して2極化社会の出現を解説しています。私としては、気分次第あるいは作為等の影響で回答に精密さが欠けるアンケート結果をあたかも計測値のように分析したり座標面にもっともらしく展開したりすることに違和感を覚えましたが、なるほどと納得する面もあり、大変な世の中になったものだと暗澹とした気分になった次第です。
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「マークスの山」(高村薫著、ハヤカワミステリワールド)を読みました。久し振りの厚い本です。
南アルプスで起きた一家無理心中と殺人、このふたつの事件が16年後の東京で恐ろしい連続殺人事件を引き起こす、そういったストーリーのサスペンスです。私も山登りが好きなので、北岳山頂で迎える結末は感動的でした。また、ハードボイルドな合田刑事とその仲間達の活躍も好感を持ちました。映画も見たいと思いレンタルDVDを探したのですが、ありませんでした(涙)。
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「パラサイト・シングルの時代
」(山田昌弘著、ちくま新書)を読みました。
30歳近くなっても結婚せずに親の家に住み、住居や食事に関わる支出も労苦もせず、収入を全て自分のために使うことができる豊かな人々をパラサイト・シングルといいます。彼らは毎年のように海外旅行に出かけブランド品を買い漁ることが出来る貴族のような階級です。こういった人々が1000万人もいるとのこと、少子化や不況に多大な影響を与えているとのことです。
この本は1999年発刊ですので若干古いです。その後不況が進み、現在はハケンとかネットカフェ難民とか格差社会がキーワードになっています。でもまだまだパラサイト・シングルは健在のようです。
そういえば娘が今年から社会人ですが、当面同居する魂胆のようです。大人として応分の負担をさせることも親として社会教育上大切なことと思い、一応食費光熱代として毎月3万円徴収することにしました。それでも娘には毎月結構な額が残ります。ひょっとするとパラサイト・シングルになったりしないだろうかと心配しています。でも朝の出勤のアッシー君をしたりしています。こんなことでは依存心が強くなっていけませんですね(涙)。
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「生物と無生物のあいだ
」(福岡伸一著、講談社現代新書)を読みました。
息子に、父親がお医者さんの友人がいます。その先生が、この本は面白いから読みなさいと息子さんに送ってきたのがこの本です。先生はしばしばそうやって息子さんに良書を送るらしいのですが、「親の心、子知らず」で、全然読まずにうちの息子に渡すのだそうです。
ということで、その本が巡り巡って私のところにやって来た次第です。
さっそく読みました。面白いので一気でした。著者は分子生物学者として世界の一流ですが、情緒ある文章は詩人か文学者です。息子さん思いの先生が息子さんに勧める訳です。
著者は1959年生まれで私と同じです。昔は昆虫少年だったらしく、これも私と同じです。ただし著者は高名な分子生物学者、私は田舎の勤務医ですが・・・。
分子生物学というと生き物の研究というよりも化学反応や電子顕微鏡の世界といった冷たい印象があるのですが、同じ時代を昆虫少年として過ごした共通体験があるためか生き物に対する深い愛情みたいなものが感じられ共感した次第です。
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「旗本退屈男
」(佐々木味津三著、実業之日本社)を読みました。
時は元禄、お江戸の町。眉間の三日月傷がトレードマークの直参旗本早乙女主水之介が大活躍する物語です。主人公はいつも颯爽と登場し何者をも恐れません。痛快と言えば痛快ですが、冷静に見ると支離滅裂です。おっと、それを言ったらおしめえよ、って寅さんなら言いそうですね。したがって深く詮索せずに楽しむに限ります。
この本は昭和4年に書かれたそうです。当時は昭和恐慌という不況の時代だったようですが、そういった閉塞した時代背景が傷の御前というヒーローを生んだのかもしれません。
ところで最近若者の間で武士言葉が流行っているとのことですが、この本一冊読めば完全マスターです。というか、漢和辞典がないと読めない漢字がいくつも出てきます(汗)。
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「禅のすすめ
」(佐藤幸治著、講談社現代新書)を読みました。
古本屋でたまたま見つけたのですが、初版は昭和39年とかなり古い本です。座禅中の脳波の変化をはじめとして、当時としては最新の知見が紹介されています。私は禅とは仏教のひとつであると思い込んでいましたが、むしろ精神をコントロールするする健康法のひとつであることが分かりました。
特に呼吸法は勉強になりました。魚釣りに出かけて何も釣れない際は、竿を持ったまま数息観を試します。すると気分が穏やかになりα波が出ている気分に浸ります。まさに釣禅一如の境地であります。でも魚は全然釣れませんが・・・。
同じ禅ネタでは、以前読んだ「食う寝る坐る永平寺修行記
」(野々村肇著、新潮文庫)が面白かったです。仏教と無縁の筆者が雲水として1年間修行した体験記録です。これはオススメです。
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「少年H
」(上下)(妹尾河童著)を読みました。
随分前のことですが、この本が話題になっていました。今回、たまたま古本屋で発見、上下合わせて210円で購入した次第です。
さっそく読みました。戦争体験が興味深く語られており面白かったです。ただしこの本の時代考証にはかなり誤りがあると指摘する本が出版されています。「間違いだらけの少年H
」です。残念ながらこちらの方は未読です。なにしろ値段が高い。5600円もします。でも、話題作「少年H」が存在しなければ誕生することはなかったであろう本が「少年H」より遥かに高額というのも、庇を貸して母屋を盗られる、ちょっと違うか、本末転倒というか、サメよりもコバンザメの方が大きいみたいで違和感を感じます。いずれ古本屋で105円で売るようになったら読んでみたいと思う次第です。
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「猫のエイズ
」(石田卓夫著、集英社新書、2001年)を読みました。
猫にもエイズがあることは、絶滅危惧種ツシマヤマネコにも感染が広がっていることが報道されたりして、かなり知られるようになりました。しかし、ではどんな病気なのかといった正確な知識となると、私を含めて猫が好きな人でもちょっと怪しいものがあるようです。
この本によると、猫のエイズウイルスは人のエイズウイルスと同じ種類に属するが、猫のウイルスは人には感染しないとのことです。また、病気の進行は、だいたい人間のエイズと同様のようです。
さらにこの本には、エイズウイルス感染の予防方法、あるいは、もし自分の飼っている猫がエイズウイルスに感染していることが分かったらどのように対処すればいいか、といったこともユーモアと愛情を込めて記載されています。発行から7年経過した本ですが、興味深く読むことができました。
猫好きにはオススメです。なお、犬君にはエイズはないそうです。
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「雪豹
」(ピーター・マシーセン著、ハヤカワ文庫)を読みました。
物語は今から30年以上昔のことです。著者は動物学者の友人とともにネパール奥地を探検します。本の題名は幻の大型ネコ科哺乳動物、ユキヒョウですが、本来のトレッキングの目的はアオヒツジという原始的なヒツジの生態学的観察を通してヒツジとヤギの進化を解明する研究です。
しかし動物学者ではない筆者の関心は、仏教とか禅といった東洋趣味でした。こういった傾向はたぶん当時の西洋の識者の一般的傾向なのかもしれませんが、平たく言うとインテリの自分探しの旅、って印象でした。
物語前半は仏教関係のウンチクが冗長なまでに語られ、私の期待するハードボイルドとは程遠く、うんざりして途中で読むのをやめようかと迷いました。でも忍耐強く読み通していくと、困難なトレッキング(私の感覚では、たいしたことありませんが・・)を体験して深まっていく内面に共感しました。
余談ですが、ポーターの一人が赤痢に罹患します。それを適切に診断治療する日本登山隊の医師が登場し、深く謝辞を述べられています。同胞として誇りに思う次第ですが、私も医者の端くれですが、残念ながら赤痢とコレラの区別も付きません(笑)。やはり私はブッシュ(やぶ)ですね!
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「まちの病院がなくなる!?地域医療の崩壊と再生
」(井関友伸著、時事通信社)を読みました。
著者は自治体職員の経験もある行政と自治体病院経営の専門家で、昨今医療崩壊が進行する中、しばしばメディアに登場して適切な論評する注目℃満点の学者さんです。
私も一応、「なくなりそうなまちの病院」に勤務している都合上、出版される前からこの本が気になっていましたが、この度、病院の図書室で購入してもらいました。もちろん自腹で買ってもいいのですが、広く職員の皆さんにも読んでもらいたいと思い、病院で買った次第です(といいつつ、1900円得した気分です)。
内容は
はじめに
第1章 自治体病院・地域医療に何が起きてるのか
第2章 医師はなぜ病院から立ち去るのか
第3章 自治体病院の経営はなぜ限界を迎えているのか
第4章 自治体病院の経営をどのようにして変革するのか
第5章 地域医療再生への処方箋
第6章 病院PFIを考える
おわりに
となっています。
さすが現場をよく知っている、そのうえ専門的見地からの鋭い分析!私としては、何が問題点なのか曖昧模糊としていたものが、稜線を被ったガスが晴れて目指す銃走路が一気に見渡せるようになった気分で、とても参考になりました。
じつは私は1年半前まで民間病院に勤務していましたが、「他に誰も行ってくれない、もうお前だけが頼りだ、潰れたら骨だけは拾ってやる」といういつものセリフにそそのかされ、大漁大食、ではなくて医師大量退職で有名な自治体病院に勤務するようになりました。当時の気分としては、松方弘樹扮する真田幸村公、あるいはジョン・ウェイン扮するディビィ・クロケットって感じでした(笑)。ちなみに私の着任後、医者は一人も増員していません(汗)。
でも意気込んで乗り込んだのはいいのですが、どうもすれ違いが多い。なんと表現したらいいのか、漠然とした違和感・・・。職員の危機感が不足している、当事者意識も欠損している、そのうえ被害者意識まである、って印象でした。私が何か提案しても、「面倒だ」「ここにはここのやり方がある」「以前からこうやってやってきたのだ」という答えばかり。社保庁の例を出すまでもなく、公務員はこういうものなのかなあとあらためて認識した次第です。もちろんそうでない人もいますが、私の今の気分は、カンジキもはかずに深雪をもがき進む気分です(爆)。
いずれ当院も民営化する流れですが、PFIになってオリックスや大林組のカモには絶対なりたくないと決意した次第です。
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