「ずっこけ侍
」(小松重雄著、新潮文庫)を読みました。
主人公は50過ぎの越後長岡藩家臣です。初めて江戸勤番になって間もなく、三毛蘭次郎という奇妙な名前の謂れを殿様に尋ねられ、挙句の果てに勘気に触れて追放の憂き目に会ってしまいます。江戸の町に放り出された田舎侍が、間男家業とか風呂屋の下働きをしながら何故か女性にもてるという悲しいような羨ましいような物語です。
先週紹介した藤沢周平氏の時代小説はおもに庄内が舞台です。登場するお侍さんといえば、派閥闘争とか権謀術数とか結構マジな感じです。さらに貧しい下級武士ではあるが剣の道一筋、正義感の強い美男子が登場して活躍したりします。それに対して我が故郷長岡の「ずっこけ侍」に登場する武士たちは、そそっかしい殿様を筆頭に、家老や御側用人から屋敷の門番まで皆助平で通俗的で、全然カッコよくありません。私みたいです。でもあまりに面白いので一気に読んでしまいました。
さて、めでたく長岡藩復帰を許された蘭次郎、これにてハッピーエンドで終わるかと思いきや、最後の最後でまたどんでん返しです。殿様に槍で突き殺される瀬戸際から命からがら逃げ出します。本はここで終わりですが、蘭次郎の波乱万丈の冒険はネバーエンディングストーリーのようでした。
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