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I君、逝く。

よね様 / 2008.08.02 15:16 / 推薦数 : 13

外科医局の後輩I君が、先ほど息を引き取った。
35歳。余りに早すぎる死。

私が企画した臨床試験を一手に引き受け、責任感と志が人一倍高かったI君。

患者さんに好かれ、すぐ友達のような関係になる。信頼関係を築く才能は天性のものだったI君。

実家がソーメンを作っているI君は、夏になると実家のソーメンを差し入れてくれていた。この数年は夏になるとソーメンパーティーをしているので、「今年もそろそろやろうか!」と言っていた矢先・・・。

彼が大学院が終了し、医局で血管外科トレーニング中、たまたま一度だけ一緒に手術に入った。静脈グラフト採取を出血無くテキパキとこなし、「お前、手術のセンスいいね!」と褒めると、「またまた〜・・・。褒め殺しですかぁ?? でもちょっぴりうれしいです!」と屈託無く笑ったI君。

この4月より第一線の関連病院へ出向する際、「ようやく大学の雑用から離れ、臨床一本で頑張れます! また宜しくお願いします!」と生き生きとした表情で挨拶に来たI君。

8月31日、結婚してまだ1年も経たない奥さんの誕生日、研修医の送別会を早めに切り上げ、帰路、脳幹部出血を発症したらしい。
路上で嘔吐している彼は急性アルコール中毒と判断され、近くの救急病院へ搬送されたようだ。診断はそのまま。もっと近くに三次救急に対応できる自分の病院があったのに。

身元が判らず、診断が着いたのは朝。
その時点で出血による脳幹の損傷は、到底治療の及ぶ範囲を超えていた。既に瞳孔は散大。JCS300。

法事を済ませ、ようやくと取れた休みを利用し、息子と海で遊び始めた私に連絡があったのは、11時48分。

急遽休みをキャンセルし、福岡へ。
そして夕方になり、ICUで人工呼吸器に繋がれているI君とようやく対面できた・・・。

そして一夜明け、彼は息を引き取った。

なぜ神様は、彼を見放した?
なぜ死神は、彼に狙いを定めた?

後輩を失ったのは、I君が二人目。
第1子が生まれた数日後、Brugada症候群による発作で亡くなったN君。私が病棟勤務時代に指導していた研修医。
温厚で、誰からも可愛がられたN君。
今でも年に一回同期の連中が集まり、彼の席を用意して、きつくも楽しかった病棟時代の思い出話をする。

なぜ前途を嘱望されていた若い医者が死ななければならないのか。

生き残った我々は、彼らの意思を継いで彼らの分も生きなければ。
明日、突然命を奪われるのは、我々なのかもしれない。

天国で彼らと再会したときに、彼らに恥じることなく語れる人生を、そして彼らが志半ばで断念しなければならなかった医療という崇高なる職務を全うしなければ。

I君、安らかに。
君は私たちの心の中で、いつもまでも生きています。

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