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夢を語る:もっと若い力を!

よね様 / 2007.05.20 11:59 / 推薦数 : 1

週末、遺伝子・デリバリー研究会という、工学・材料系の研究者が中心の会で講演をさせて頂いた。

一番驚いたのは、20代の若い方々が多いこと! 今が旬の「ナノテクノロジー」というキーワードで集まっていらっしゃる方々で、それほど魅力的な分野であるということだろう。やはり一生懸命な若い研究者が多いことは、それだけ学問が進むことであり、喜ばしいことである。

学問には残念ながら流行廃り(はやりすたり)がある。注目を集めている分野の論文は一流誌に掲載されやすく、研究費も採りやすい。もちろん、学問分野は一朝一夕で形成されるものではなく、それまでにも類似の分野がある。現在のナノデバイスも、昔からあるリポソームやミセルなどの技術をもとに、最新の材料工学が結びつき、大きく進歩しているのだ。

私の研究対象の一つである遺伝子治療技術も、90年代は同様の隆盛にあった。が、臨床的効果が表に出る前に副作用が必要以上に強調され、全体的にみれば、今や若い研究者を引き込んでいく魅力を失ってしまっている。
しかしむしろ現在では、腰を落ち着けた研究が進み、遺伝子治療技術は10年前と比較すると格段に進歩している。しかしこの分野の研究者は、その魅力を若い世代へアピール出来ないでいる。

それどころか、私が最近の動向を見て脱力感を覚えてしまうのは、教授クラスの指導者側が、「このキーワードでは研究費が取れないから、次はこれにしよう!」と、いとも簡単にテーマをずらして行くのだ。
例えば、最初は遺伝子治療、次に再生医療、そしてナノテクノロジー・・・。一体何をしたいのだろう? と首をかしげてしまう。

何のために研究をするのか? 以上挙げたキーワードを使うのであれば、究極の目的は「難病から患者さんを救うこと」であろう。そのためには研究費がいる、ポジションが必要、特許・ベンチャーが必須、と演繹的にやるべきことが決まってくるはず。しかしどこかで、目的と手段がすり替わってしまっているような気がする。

もちろん、研究者にも生活があり、ある意味学会や大学内での政治が必要なのも理解しているし、むしろそれだけのことをしたたかにこなしていく力が無ければ、指導者としての資格も無いのかもしれない。しかしそれにもまして、若い世代へ「夢」が語れなくなった研究者に、どんな価値があるのだろうか。

研究者もそうだが、人生は一人の力では限界があり、個人の能力がいかに高くても、目的が大きければ大きいほど、とてもやっていけない。同じ志を持ち、信頼して一緒にやって行ける仲間をどれだけ増やすことが出来るか、ということは、人生の大事なテーマである。
そのためには、羅針盤としての夢と志を語れることは重要であり、そして若い人の信頼を得るに足る人格が必須だろう。私にそれがあるかどうかはもちろん疑わしいが、決して気付かぬうちにこの基本線からズレてしまわないように、日々自らを戒めているのは事実だ。

今回この研究会で講演させて頂いて、私がnon-MDである若い研究者へ訴えたかったことは、
1)自分の研究が、大目的である患者さんにたどり着くまでに、どれ程の距離があるのか、しっかり理解して下さい。
2)もし本気で患者さんにたどり着きたいと思っているならば、技術を愛してくれて、患者さんと一緒に真剣に頑張っている「いい医者・研究者」を見つけなさい。
3)そして方法論として何をやればいいのか、そして一緒に頑張る仲間を作って下さい。私で協力出来る範囲なら、喜んでお手伝いします。
ということ(ちゃんと伝わったかどうか?)。

新しい医療を作るには、もはや医師だけでは限界。色々な異分野の融合が必須だ。そしてそれは優れた個人的能力以上に、大きな夢と信頼できる仲間、そして仲間を結集させる能力(恐らくは人格が最も)が必要だろう。

まだまだ、私も頑張らねば!!

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