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昨日、東京FMホールで『全国医師連盟』の設立総会と集会が開催されました。

http://www.doctor2007.com/

黒川 衛代表と6人の執行部、30名の運営委員の先生方が選出されました。

 いずれの先生も医学と医療への情熱と誠実さがあふれるメンバーでした。

その理念では、「患者と医療者の権利」、「適切な診療環境の確保」、「医療のあり方の提言」などが強調され、実践的にはそれらを束ねる情報の公開と共有化の重要性を提起していました。

特に感じたことは、これまでの枠にとらわれられない「新たな医師集団」であるということです。いずれ、「日本医師会」や「全国保険医協会」との接点が出てくるでしょうが、主体性と「適切な緊張関係」を維持しながらも一致できるところは、協力が必要かもしれません。

私の所属する「区医師会」でも今回の設立に共鳴し、様子見をしている先生方が少なくありません。また、今朝の医局の朝会での報告でも多くの先生方から共感を寄せられました。

これからは、「全医連」をさらに大きく・強くするために私も微力を尽くしたく思います。

さて、午後から開催された、全医連設立集会では、東大医科研 上 昌広先生からの祝辞の他、6名の演者の先生から大変有益なお話を聞くことができました。

また、会場で販売されていた志冶美世子著「ねじれ~医療の光と影をこえて」(集英社)は、全医連が提起している問題をルポ形式で綴っている秀作です。

札幌の自宅に到着した22:00までには読みえていました。集会と読後の感想は、後日また・・・・。

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「事故調第3次試案」に対して、多方面から異議が唱えられています。

今回は、法律の専門家である河上和雄弁護士が、インタビューに答えて問題点を明快に指摘していました。

上昌弘先生からのお薦めもあり、多少長くなりますが、引用させて頂きます。
 河上氏も最初に指摘しているように、今回の第3次試案では、刑法上の矛盾がありながらも、結局は、厚労省の権限強化=「医療の国家統制」に道を開くことになるような気がします。
 厚労省は、今日まで、行政や医療制度を通して医療をコントロールしてきましたが、今度は、「医療事故の原因究明」に名を借りて、医療内容や医学そのものにまで権限が及ぶ様な仕組みを作ろうとしているのではないでしょうか。
 そうした医療現場から遊離している官僚統制下では、医師や医療従事者の自律的・自発的な「原因究明」を困難にし、本来目指している「医療の安全」と「医療の質的向上」の確保から遠ざかってしまいます。 
「事故調第3次試案」をめぐり、医師・医療関係者からのさらなる議論が重要になっています 

弁護士(医療と法律研究協会副協会長)・河上和雄氏に聞く 警察はあくまで医療事故を独自に調査事故調第三次試案に異議、厚労省の権限強化にすぎず 橋本佳子(m3.com編集長)

 

 先週、厚生労働省は医療事故の原因究明などを行う第三者機関の創設に向けた「第三次試案」をまとめた。医療関係者が注目している第三者機関と刑事手続について、同試案では「新たな仕組みでは、警察・検察が専門的な調査を尊重する仕組みになる」と強調する。だが、東京地検特捜部長・最高検公判部長を歴任し、現在は弁護士の河上和雄氏は、「これは法律を無視したものであり、到底受け入れられない」と問題視する。(200847日にインタビュー)

 

   ――最も医師が懸念しているのは、医療安全調査委員会と刑事手続の関係ですが、この点について問題があると。

 厚生労働省の医療安全調査委員会(以下、調査委員会)の議論自体には、法務省も警察庁も関与はしていますが、十分に詰め切れていません。第三次試案では、調査委員会がまず医療事故の調査を一括して行い、故意などの事例は警察に通知し、そこから捜査が始まるという仕組みを想定していますが、果たして警察や検察は了解しているのでしょうか。

 こうした仕組みを作るためには、刑事訴訟法の改正が必要ですが、第三次試案では触れることができなかったのでしょう。刑事訴訟法上では、警察や検察が捜査権を持つと定めています。第三次試案では、調査委員会の通知がないと捜査ができないような書き方をしていますが、これは法律を無視するものであり、到底受け入れられないでしょう。

 

 ――第三次試案では、「別紙3」という形で刑事手続との関係を補足説明しています。「捜査機関は謙抑的に対応する」「刑事手続については、委員会の専門的な判断を尊重しつつ対応」などと書かれています。

 謙抑的に対応するのは当たり前の話です。また、警察・検察が捜査を進めるにしても、調査委員会の意見を尊重することは考えられます。ただそれは、どれほど信頼できる組織を作るかにかかっています。これまでは医師同士のかばい合いなども見られたわけです。本当に信頼できる権威のある組織を早急に作ることができれば、いずれは厚労省が考えたように、警察・検察がその調査結果を尊重する時期が来るかもしれません。さもなければ、全然相手にしないことになります。

 

 ――調査委員会の調査結果が信頼できる意見であるかどうかは、実績の積み重ねで判断するのでしょうか。

 そうだと思います。ただし、それまでの間に、医師や医療者が何らかの問題を起こすと、捜査機関はそれを放置していいのかということになります。結局、捜査機関は独自に動くわけです。

 さらに第三次試案では、遺族が告訴した場合にも、「警察は、調査委員会の専門的な判断を尊重し、調査結果や委員会からの通知の有無を十分に踏まえて対応することが考えられる」としていますが、「考えられる」だけであって、「考えられない」場合もあるわけです。


 要するに前述のように、厚労省は警察や検察と議論はしたのでしょうが、それが第三次試案に全然入ってきていないのです。


 

 ――それはどの辺りから読み取れるのでしょうか。もう少し教えてください。

 この第三次試案は、医師の故意や過失に基づいて、患者の死亡もしくはそれに近い医療事故が起きた場合に、厚労省は「今後の医学の発展のために」という大義名分を掲げて死因の調査を行うというものです。しかし、故意などを犯した医師について、その責任を追及する姿勢が全然ありません。「俺たちに任せろ、われわれの調査結果を見て、俺たちが言ったことだけを捜査しろ」という書き方をしていますが、前述の通り、刑事訴訟法を改正しない限り、それはあり得ません。

 

 ――第三次試案では冒頭に「調査委員会は、責任追及を目的としたものではない」と掲げています。

 それは当然の話です。厚労省には、責任追及、つまり刑事罰や民事罰を課す権限がないからです。法体系を変えない限り、あり得ないことを、あり得るように書いているのは、非常にミスリードさせるものではないでしょうか。

 行政処分にしても、「現在、医師法等に基づく処分の大部分は、刑事処分が確定した後に、刑事処分の量刑を参考に実施されているが、委員会の調査による速やかな原因究明により、医療事故については、医療の安全の向上を目的とし、刑事処分の有無や量刑にかかわらず、医療機関に対する医療安全に関する改善命令等が必要に応じて行われることとなる。行政処分は、刑事処分が確定した後に、刑事処分の量刑を参考に実施されているが」とあります(別紙3)。


 厚労省は行政処分の独自の権限があるにもかかわらず、今まで実施してこなかったこと自体をまず問題視すべきです。調査委員会を作ったからといって、厚労省が新たにできるようになるのでしょうか。


 

 ――刑事処分はどう適用すべきだとお考えですか。

 医師や医療関係者から刑事罰から解放して、医学の発展のために医療事故の原因究明などを行う。そういう考え方を進めていくと、医師や医療関係者が何をしようと、犯罪にはならないことになります。しかし、それでは世論の支持は受けられません。特に医療過誤で家族を亡くした遺族にとっては納得できないわけで、あり得ないことです。

 厚労省が医学的な観点から調査などを行い、医療事故を客観的に評価して、医療の透明性を確保する、それは結構なことです。しかし、刑事責任や民事責任を追及するのは別の話で、厚労省の仕事ではありません。 


 

 ――それでは先生は第三次試案をどう見ているのでしょうか。

 厚労省が医師の立場に立つことは必要でしょう。それはいいのですが、医師の立場に立ち、刑事罰や民事罰から医師をできるだけ遠ざける、調査委員会が一手に引き受けるという形で厚労省の権限を強化する方向性を出したのが第三次試案だと思っています。それも法律を無視して、厚労省の力が及ばない警察・検察に対して、調査委員会の言うことを聞かなければならいないとしています。

 第三次試案の「おわりに」の部分に、「本制度の確実かつ円滑な実施には、医療関係者の主体的かつ積極的な関与が不可欠となる」とあります。この試案は、関係省庁の権限を奪う内容なのですから、「厚生労働省の広い視野からの検討と、関係省庁との十分な連絡が必要」と書くべきです。けれども、こうした観点が欠如しています。 


 

 ――そのほか、第三次試案の問題点があればお教えください。

 遺族のことにほとんど言及していないのも問題です。例えば、「解剖や診療経過の評価を通じて事故の原因を究明し、再発防止に役立てていく仕組みが必要である」とあります。医師と遺族が全く異なる話をすることは多々あります。医学的に調査するならば、医師の一方的な言い分だけはなく、遺族からも話を聞くべきでしょう。

 そのほか、医療事故の届け出範囲を明確化するとありますが、果たして明確化できるのでしょうか。さらに、死亡事故ばかりを想定しているのですが、身体障害を伴う事故も当然考えなくてはいけないのではないでしょうか。(異状死の届け出を定めた)医師法第21条を中心に考えているから、このような案になったのだと思います。  


 

 ――現行制度についてお伺いします。「医療に詳しくない警察が捜査する」などと問題視する声が多いのも事実です。

 確かに医師法第21条の届け出先は、警察の刑事課にしているので、初めから「犯罪か」という見方をせざるを得ない現在の仕組みは問題だと思います。いきなり「犯罪だ、捜査だ」というのではなく、届け出に客観性を持たせるために、犯罪捜査を目的としない組織がまず受ける。そして警察は、調査委員会の意見を参考にしたり、警察が独自に抱えている医師の意見、さらには遺族の意見などを幅広く聞いて、捜査に入るか否かを決めるといった仕組みがいいのではないでしょうか。

 

 ――警察も専門的な調査を行う組織を必要としているわけですね。

 その通りだと思います。ですから、しっかりとした調査機関を作るべきだと思います。その調査機関の目的は二つあります。一つは、医学的な発展のために医療事故の原因究明などを行うことにあります。これは医師が中心となって取り組めばいいでしょう。

 もう一つの目的は、医療事故が故意や過失なのかどうか、刑事責任を追及すべきかという観点から調査を行い、警察に対して材料を提供することです。こうした調査組織は、厚労省単独でできるものはなく、関係省庁が協力して取り組むべきことです。
   

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 外科医の自殺、労災認定     長時間労働、転勤でうつ病

栃木県の鹿沼労働基準監督署が、2002年6月に自殺した男性外科医(当時38歳)について労災を認定していたことがわかった。男性の遺族らが27日、明らかにした。

遺族や代理人の弁護士によると、男性は00年12月から勤務先の埼玉県内の市立病院での残業時間が毎月80時間を超えるなど長時間労働の状態にあった。

02年5月に栃木県内の民間病院に転勤を強いられ、内視鏡検査で患者の大腸に穴を開ける医療事故を起こした時にも、同僚や上司から十分な支援を得られなかった。

そのため、男性はうつ病となり、自殺に至ったという。代理人の川人博弁護士は「医師の数が決定的に不足している。この問題を解決しない限り、医師の過労死はなくならない」と指摘している。

(記事提供:読売新聞)

 

2002年当時、医療現場ではすでに始まっていた「医師不足と長時間過密労働」が、男性外科医を自殺に追い込んでいました。

しかし、それが「労災」だと認定されるまでには、6年の歳月を必要としていました。

今では、「医師不足」が社会の共通認識になりつつありますが、当時はまだそうした状況ではありませんでした。

根本には、そういう状態を放置していた医療行政と労働環境でありますが、今から考えるともっと早くから世論つくりに到っていなかった自分に対しても厳しく反省しなければならないと感じています。

現在でも、「医師不足と長時間過密労働」は解決されるどころか、ますますその度合いが深刻化しているのが実態です。今では、大都市でも「救急医療」や「産科救急」が崩壊し始めています。

これは、医療全体の崩壊の序章に過ぎません。

医師・医療従事者と患者さん、国民の皆さんが気持ちをひとつにして、「医療費削減反対」 「国民の医療充実」 「医師を増やそう」の世論を高めるべきではないでしょうか。

4月からは、全国で各学会の年次総会が始まります。日本外科学会などすでに「医師不足」に対して、声明を発表して学会としての取り組みを始めているところがあります。

まだ、そうした動きのない学会でも、今年こそはそうした問題を取り上げて学会員と世論に訴えてほしいものです。

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 医師の過失を処罰すべきか

 医療事故の原因を調べる第三者機関(医療事故調査委員会)の創設に向けた議論が進む中、「医師の過失は処罰すべきではない」という意見もある。日本産科婦人科学会(吉村泰典理事長)は、故意や悪意などの場合を除いて、事故調査委員会の報告書を刑事手続きに利用しないよう求めている。厚生労働省の審議会では「重大な過失」の場合には刑事手続きに移行することに大筋で合意しているため、過失を含めるかどうかが大きな対立点となっている。(新井裕充)


 日本産科婦人科学会は229日に発表した「診療行為に関連した死因究明等の在り方に関する見解と要望」の中で、「資格を有する医療提供者が正当な業務の遂行として行った医療行為に対して、結果のいかんを問わず、業務上過失致死傷罪を適応することに反対する」と主張している。

 同学会によると、「故意、悪意、または患者の利益に即さない目的で行われた医療等に起因する事故」は「正当な業務の遂行」ではないが、患者の利益を第一義的な目的として診断や治療などを行った場合は、「正当な業務の遂行」であるとしている。

 同学会は、医療行為は人の死や傷害に直接かかわること自体が業務である「極めて特殊な分野」としている。その上で、医療行為に業務上過失致死傷罪を適用することが不合理である根拠として、(1)業務内容が持つ本来的なリスク(医療の不確実性)、(2)適正な診療の非普遍性と過失認定の困難性、(3)応招義務と善意の行為、(4)刑法の目的(応報)との齟齬(そご)――を挙げている。

「正当業務行為」として違法性を阻却するか
 医師が診療ミスで患者を死亡させた場合、医師の不注意の程度が軽い場合(軽過失)でも、重大な場合(重過失)でも刑法211条の業務上過失致死罪に当たる。

 厚生労働省は131日の「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」(座長=前田雅英・首都大学東京法科大学院教授)で、事故調査委員会から捜査機関に通知すべきケースを「重大な過失」に限定し、軽過失を刑事手続きに移行させないことを明確にした。これに対し、複数の委員から「大きな前進だ」と評価する意見があった。

 しかし、医療界や一部の法律関係者などの間では、医師の過失を処罰する考え方に反対する意見もある。例えば、急に殴りかかられたので、自分の身を守るために殴り返してけがを負わせた場合は傷害罪(刑法204条)に該当するが、「正当防衛(刑法36条)により、違法性を阻却(そきゃく)する」と説明される。
 これと同様に、医師の治療行為は「正当業務行為」(刑法35条)であるから、「違法性が阻却される」と考えられている。例えば、医師が手術のために患者の体をメスで切る行為は傷害罪(刑法204条)に該当するが、「正当業務行為」として、刑法35条により違法性が阻却されるため犯罪が不成立になる。

 では、医師が手術ミスで患者を死亡させた場合にも「正当業務行為」として刑法35条により、違法性が阻却されないだろうか。つまり、患者を治療する目的でなされた医師の行為はたとえ死の結果を招いたとしても、その行為自体は「正当な業務行為」であり、違法性を阻却するのではないかが問題になっている。

 これに対し、厚労省の「死因究明の在り方に関する検討会」では、「重過失の場合に刑事手続きに移行するのは当然だ」という考えで合意している。
 確かに、重大な過失のある行為で患者を死亡させた場合にも「正当な業務行為」とするのは、国民の理解を得にくい。

 では、「許された危険の法理」によって違法性は阻却されないか。医療行為は人の死に直結する危険性を持っているが、それは患者の生命を守ろうとする善意の行為であるから、「社会的に有用な行為」として正当化されないだろうか。

 この問題について、厚労省の検討会で座長を務め、刑法学者でもある前田雅英氏は、医師らの過失と違法性阻却事由(正当業務行為、許された危険の法理など)との関係について、「本来、軽過失であっても業務上過失致死罪に該当するはずだが、これを重過失の行為に限定するのが刑法35条の役割であり、許された危険の思想だ」と話している。

【許された危険の法理】
 自動車の運転など、他人の生命や身体など対する危険を伴う行為は本来許されないはずであるが、その行為が持つ「社会的な有用性」を根拠に、一定の範囲内で危険行為そのものは違法でないとすること。

【日本産科婦人科学会の要望書のPDF
http://www.jsog.or.jp/news/pdf/kenkai-youbou_kourousyou29FEB08.pdf
更新:2008/03/04 10:07     キャリアブレイン

今度は、日本産婦人科学会から故意や悪意などの場合を除いて、事故調査委員会の報告書を刑事手続きに利用しないようと言う要望書が出されました。 

 

 

産婦人科と言えば、医療訴訟の多い分野で、救急医療の中でも現在もっとも困難なところであります。 

 

 

「軽度でも、重度でも」第3者機関の判断で刑事事件にされてしまうのが、現在の第2次試案ではないでしょうか。 

 

 

一部に「直接、警察が介入するよりは,マシ」などという意見も散見されますが、問題なのは、第3者機関の判断になると、「公的なお墨付き」の刑事訴訟となることなのです。 

 

 

そして、その「公的結論」は、その後に続く「刑事裁判」に引き継がれてゆくのです。 

 

 

医師が、患者さんのと病気の治療をも目的に診療行為を提供し、不幸にして予期せぬ結果になったとしても、それを「医師の過失」として処分すべきではありません。 

 

 

第2次試案で提案されている内容の公的な第3者機関の判断ではなく、まずは、専門家の自律的検討機関のなかで、再発の予防を充分視野の中に置きながらの検討が大切ではないかと思います。 

 

 

さらに、多くの学会から、第2次試案への疑義や反対意見をあげて、早急な第三者機関(医療事故調査委員会)の創設にストップをかける

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 医療事故調に看護職の参画を

 日本看護協会(日看協、久常節子会長)はこのほど、医療事故の原因を調べる第三者機関「医療安全調査委員会(仮称)」の設置に賛成するとともに、同委員会への看護職員の参加を求める意見を発表した。楠本万里子常任理事は「遺族を精神的に支えていく上でも、病院のシステムエラーを判断する上でも看護師の役割が重要」と述べ、医療事故の調査に看護職員が参加する必要性を強調した。

 医療事故の原因を警察とは別の第三者機関が調べ、再発防止や被害者救済などにつなげる制度をつくるため、厚生労働省は昨年4月に「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」を設置し、検討を進めている。

 日看協は228日に会見を開き、厚労省の検討会の委員を務めている楠本常任理事が次のように述べた。

 「先般、国立大学病院などの医学部長会議で『議論をしっかりやるべきだ』との反対意見が出されたほか、患者団体から『早期の実現を望む』との意見もあり、さまざまな意見が対立している状況だ。その中で、当協会は調査委員会の設置を支援する立場をとっている」
 楠本常任理事はこのように述べ、医療事故の専門的な調査を行う「医療安全調査委員会(仮称)」の設置に賛成した。

 その上で、院内の事故調査委員会の役割に触れ、「医療安全調査委員会が機能するためには、すべての医療機関が院内の調査委員会を立ち上げる必要がある。事故のプロセスを調べ、システムの不具合を確認し、情報を共有するという文化をつくらないといけない」と述べ、医療安全調査委員会が院内の委員会を支援する体制が必要とした。
 また、大学病院のような一定規模の病院に対しては院内の調査委員会の設置を義務付けるほか、自力による調査委員会の立ち上げが難しい医療機関に対して地域の支援体制を整える必要性を指摘した。

 楠本常任理事は「真相の究明や謝罪、再発防止などの遺族の願いに応える努力を進めるべきだ。看護職が患者とともに医療の質を高めていく必要がある」と述べ、医療安全調査委員会と院内の調査委員会の双方に看護職員が参加することを求めた。

 医療安全調査委員会には、さまざまな利害関係者や多様な専門職が関与する。既に国内8か所で行われている死因調査のモデル事業では、『調整看護師』と呼ばれる看護師が病理医や遺族などの橋渡しをしているという。
 楠本常任理事は「調査結果が出るまでの間、ご遺族を精神的に支えていくなど調整看護師は高い評価を受けている。病院のシステムエラーを判断する上でも、施設のシステムを熟知している看護師の役割が重要だ」と述べ、看護師の参画を強く求めた。

キャリア ブレイン

またも、看護協会が「医療安全調査委員会(仮称)」の設置に賛成の意を表明しました。 

政府・厚労省が、十分な時間もかけずに駆け込み的に「第2次試案」を法制化省としているなかで、学会や医学部長会議などで設置の慎重論が急速に広がっています。 

こうなるまで、「全国医師連盟」(準)や小松秀樹先生らの果たしてきた役割は、高く評価されるべきものです。 

先日の札幌での小松先生の講演も「第2次試案」の持つ危険性がよりいっそう明確のなりました。

http://blog.m3.com/northcosmos/20080303/1

http://blog.m3.com/Visa/20080301/2 

こうした状況の中で、看護協会が「遺族を精神的に支えていく上でも、病院のシステムエラーを判断する上でも看護師の役割が重要」と言う理由で、委員会へ参加するために賛成を表明したのです。 

しかし、看護協会は、「第2次試案」が内包している多くの矛盾点やそれが医療界にもたらすマイナスのへ影響などについての見解が抜けています。 

「精神的にささえたり」「システムエラーを判断する」ことと「第2次試案」への賛成とに論理上の連続性がありません。 

こんな事は、「医療事故」というより、医療全般のもっとも基礎的な課題としてあるのです。 

また、現在多くの医療機関で設置されている「院内調査委員会」との活性化とも無関係です。 

現在、基本的に自主的に行われている院内の「安全委員会」の活動を政府・厚労省の統制下に置こうとするのが、「第2次試案」の大きな問題のひとつなのです。 

「患者とともに・・・・」とあたかも患者側に立っているような「感じ」を示しつつ「第2次試案」への評価をぬきにした賛成論議は、政府・厚労省の「方針」を無批判に後押しする看護協会の安易さを示しています。 

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 31日、札幌で、北海道保険医会主催で小松秀樹先生の講演会が開催されました。

医療事故調査制度をめぐり厚労省のしている(自民党案もほぼ同じ)第2次試案の持うつ危険性が明らかにされました。

小松先生の考え方と提案の骨子を資料から抜粋いたします。

1)  厚生労働省第二次試案は、患者と医療提供者の軋轢を大きくする。軋轢は、紛争になりやすい救急重症患者の診察を避けることにつながり、医療崩壊を決定的なものにする。

2)  第二次試案は、全体主義的統制医療をもたらし、医療の自律性を奪い、医療の進歩と国民への適切な医療の提供を阻む。

3)  したがって、第二次試案には断乎反対する。

4)  何よりも、患者・家族の理解と納得を高めるように支援して、医療提供者との軋轢を小さくするための対策が求められる。

5)  医療問題は複雑であり、対策の結果が期待通りとは限らない。取り返しのつかない失敗を避けるためには、多段階で時間をかけて、関係者の認識の変化を確認しつつ、対応していくべきである。

以上が、小松先生の論旨のエッセンスであります。

今回の講演会で、私が特に感じたことは、小松先生の『理論』の基礎になっている「規範的予期類型」と「認知的予期類型」の側面から、現在の社会のあり方を見ることが重要であるということでした。

前者が古い過去の規範をもとに現在の事象に判断を下すのと対照的に後者が事象を発展的にとらえて当面の「正しさ」を確立し、しかし明日には新しい次の「正しさ」へと歩みを進めているのがわかります。

医学・医療を含めた科学が「認知的予期類型」の典型として、文字通り「日進・月歩」の発展をとげているのはいうまでもありません。

そうした医学と医療に対して、古い判断を基にした「規範的予期類型」の典型である法学が判断を下すことが大変困難なことがわかります。

それは、前記のまとめでも触れられている、検察と厚労官僚による「全体主義的医療統制」に道を開きます。

そして、その判断のもとに「医学と医療」の正否や「善悪」の判断が下されることになります。

こうなると、失敗や誤りから教訓を引き出し、新たな発展につなげるという科学の方法論自体が否定されてくるのです。まさに「全体主義的統制」が医療の中で始まろうとしているのです。

最近、目を通した面白い本があります。

講談社刊『保守問答』(中島岳志―西部 ススムの対談形式の著作)なかで、中島岳志氏が指摘している箇所があります。

ところで、「規範」をめぐって、日本の保守思想の系譜の中で、小林秀夫が「職人」と「芸術家」を比較しています。そこで、彼は真の「伝統」を獲得できるのは優れた「芸術家」のほうであると述べ、その理由は、「職人」は、材料に服従しているからだといっています。

P46 : 小林にとっての「伝統」は、規範に服従するのではなく、規範に抵抗する意思と行為によってこそ獲得されるものです。材料と規範を一旦否定した上で、それを新たに肯定しなおすことによってこそ「伝統」や「美」は獲得されるものだといいます。つまり、小林は新の伝統というものは再帰的存在であるといっているわけです。

引用している中島岳志氏が保守だとは思いませんが、日本の保守思想の中でさえも「規範」は否定されるべきもの位置づけられているのです。

否定されるべき「規範」を判断基準にすること自体が「科学」=「医学と医療」の進歩を阻害することが、哲学的にも語られているのかも知れません。

小松秀樹先生の提起している問題は、「医療事故」問題に止まらず、科学全般に哲学的にも重要な課題であるような気がしてなりません。

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 重症救急撤退を通告 札幌市産婦人科医会 市に「夜間の負担増」02/27 07:19 北海道新聞)

 札幌市の産婦人科の救急医療で、重症患者を診る二次救急を引き受けている札幌市産婦人科医会(遠藤一行会長)が「各病院の負担が重く、これ以上は担いきれない」として、二次救急からの撤退を市に申し入れていたことが、二十六日分かった。市は医師や住民による協議会を三月中に設置し、負担軽減策を話し合う考えだが、同医会は具体案が出ない場合は、九月で撤退すると通告している。市内では現状でも妊婦のたらい回しが起きており、撤退となれば、市の産婦人科救急に大きな影響が出そうだ。

 札幌市の各診療科の夜間、土日・祝日などの救急体制は《1》軽症者を診る初期救急《2》初期救急の医療機関から重症者を受け入れる二次救急《3》より重症な患者を二十四時間受け入れる三次救急-に分かれている。このうち、産婦人科は同医会所属の医療機関のうちNTT東日本札幌病院など九医療機関が、二次救急に加え、夜間(午後五時-翌日午前九時)の初期救急も担ってきた。

 担当医師の負担が増えたのは、産婦人科医の減少で二次救急を毎日交代で引き受ける医療機関が、四年前の十四から五カ所も減少したため。各医療機関の担当回数が二週間で一回から一週間で一・三回程度に増え、担当医から「産婦人科は慢性的な人手不足で、受け持ち患者の診療と出産で手いっぱい。これ以上、救急を分担できない」と、声が上がった。

 このため、同医会は二○○八年度に向け、市の夜間急病センターに夜間の初期救急を診る産婦人科医を置き、初期と二次を分離するよう市に要請した。遠藤会長は「センターで患者を振り分け、子宮外妊娠や早産などの重症患者だけを二次救急に送れば、医師の負担が大幅に軽減される」と説明する。しかし、市は新年度予算案に、二次救急医療機関への報酬の一千万円増額を盛り込んだものの、センターへの産婦人科医配置は見送ったため、医会として撤退を申し入れた。

 市医療調整課の飯田晃課長は「夜間急病センターに産婦人科医を配置すると、約七千万円の予算が必要になる。財源が限られる中、住民合意を得られるだろうか」と説明。三月中に協議会を設置し、負担軽減に向けた代案を話し合う。

 医療機関に二次救急を担う法的な義務はない。撤退が決まった場合、市が個別の医療機関に担当を依頼しなければならず、三次を担う市立病院や、市の依頼に応じる一部医療機関の負担が増大するのは確実。最悪の場合は救急体制が崩壊する恐れもある。

 遠藤会長は「医療にどうお金をかけるか、市と住民で考えてほしい」と話している。

­­­­ついに、札幌でも「産婦人科救急の医療崩壊」が顕在化してきました。勿論、これは、今急に出てきたものではありません。 

じわじわ続く医師不足の進行、特に産婦人科医の不足と厳しい労働という「負のスパイラル」は、止まるところを知りません。 

産科救急には、医師不足のほかに、無受診妊産婦の問題もありますがこれ自身社会的、経済的に多くの問題を含んでいます。 

しかし、今回の「札幌市産婦人科医会」が提案している夜間急病センター方式は、現在の産科医不足の中で、一次救急を担うには妥当なものと判断できるのではないでしょうか。 

事実、内科、小児科、耳鼻科、眼科などは、夜間急病センター方式で行われています。http://www.spmed.jp/01_s/Kyubyo.html 

また、外科系災害救急は、市内の当番病院が行っているのです。 

現在、札幌市当局が年間7000万円の予算がかかることを理由にこうした提案を拒んでいるのは、全く納得が行きません。

こうした、出費には札幌市民も十分、納得されるのではないでしょうか。 

厳しい産科医不足の中で、何とか産科医療を維持したいという産科医会の提案を札幌市は、前向きに受け止めてほしいものです。 

そうしなければ・・・・「妊産婦さんが路頭に迷う」という悪夢が札幌でも現実のもになるかもしれません。

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 大阪府の救急6病院が撤退 受け入れ不能問題が影響か

20080207日朝日新聞) 救急患者が複数の病院に受け入れを断られた末に死亡するケースが相次いだ大阪府内で、府が指定する「救急告示病院」270施設のうち6カ所が、今年に入って救急部門から撤退していたことがわかった。

医師不足から夜間・休日の救急態勢を維持できなくなったのが主な理由。特に府南部で救急病院の減少が目立っており、患者の収容先探しが一層、困難になる恐れもある。

大阪府によると、救急告示病院は府に申請し、府救急医療対策審議会の審査を経て、認定を受ける。高次医療を担う救命救急センターを含む270カ所が昨年まで府内で救急の看板を掲げており、170カ所が1月25日付で3年ごとの更新期限を迎えたが、6病院が更新しなかった。一方で、4病院が新たに告示病院に認定され、減少数は2となった。  救急対応をやめる診療科は、内科が5カ所、小児科が1カ所。このうち3病院は昨年、府に救急の継続を申し出ていたが、急患の受け入れ不能問題が表面化した年末以降、相次いで取り下げたという。

 

 

 1日に100人を超す患者を受け入れる地域の小児救急の中核的存在だった松原市立松原病院では昨秋以降、小児科医7人中2人が退職。さらに、男性医師が過労で倒れ、3月には研修医1人も辞めるため、態勢を維持できなくなった。病院幹部は「日中の診察は継続する。現状を改善したいが、医師の補充が難しい」。

 

 

 救急からの撤退が相次ぐ府は、救急告示病院の認定基準緩和に向けた検討を始めている。府医療対策課の担当者は「背景にある医師不足を早期に解消するのは困難。急患を確実に受け入れられる病院を増やす方策を考えたい」と話す。

 

救急医療の崩壊が大阪府でも瀬戸際になって来ました。

 

 

これまで救急患者さんの「たらい回し」(この言い方に私ははんたいですが・・・)が報じられてきた大阪ですが、今度は、救急告示病院そのものが減少してきているのです。

 

 

その要因は、「医師不足」と説明していますが果たしてそうなのでしょうか。

 

 

もちろん、都市部、しかも大阪でも救急医療にかかわらず「医師不足」そのものが深刻であることに変わりはありません。

 

 

しかし、もうひとつの要因としてある「救急医療が抱える病院の経営問題」について、国と行政はなかなか触れることはありません。

 

 

救急を実践すると「やればやるほど赤字」というのが常識です。病院では救急以外の分野でも赤字と経営困難が続いています。

 

 

以前であれば、救急部門の赤字は、ほかの部門の黒字で埋め合わせてきたのが実際です。

 

 

救急医療の困難さを助けるに、国と大阪府は、救急告示病院の認定基準緩和を検討するのではなく、少しでも多くの病院が参加できるようにその経営的基盤を保障すべきではないでしょうか。

 

 

橋下新大阪府知事の考えは如何に・・・・。

 

 

やはり、国の進める「医療費抑制政策」を根本から転換しなければ、『救急医療も救われない』のです。

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不明ボーダー7人無事=島根県側林道で発見-広島・恐羅漢スキー場  2008/02/05時事通信
 広島県安芸太田町の「国設恐羅漢スキー場」で3日午後から行方不明になっていたスノーボーダーの男性7人は5日午前、捜索隊に発見され、無事が確認された。いずれもけがなどはないという。2人は自力で、5人は陸上自衛隊員に搬送されて島根県側に下山、病院に収容された。
 広島県警によると、午前9時半ごろ、島根県益田市内の広見林道で、捜索に向かう地元消防団などがスノーボードで下りてくる2人と遭遇。「100メートル後ろに5人がいる」と話したため、さらに林道を進み、歩いたりボードで滑ったりしている5人を見つけた。
 7人はいずれも、スノーボード用のウエアなど軽装だった。3日夜、偶然見つけた山中の廃屋に避難。火をたき、わずかな食料を分け合って飢えと寒さをしのいだという。
 下山後、益田市匹見町内まで救急車で運ばれ、正午前に陸自などのヘリコプターで広島市内の3カ所の病院に収容された。
 不明となっていたのは、山口県周南市の自営業青木貴彦さん(34)らスノーボード仲間5人と、同スキー場臨時従業員2人。臨時従業員の1人が3日午後3時半ごろ、「今から下山する」とスキー場の仲間に携帯電話で連絡したが、その後は音信不通となっていた。
 
 とにかく、7人が無事救出されて良かったです。 

ご存知のように、スノーボードの起源は、冬山の中を郵便物などを運搬したのが始まりとのことです。 

ですから、競技を除き、ボードの醍醐味は、ゲレンデの決められたコース内ですべるのではなく、新雪・深雪の中を自由に滑りまわることなのです、しかも三次元的にです。 

とすれば、当然、冬山に足を踏み入れることになります。ひとつ間違えば、死と対面せざるを得ない場面となります。 

「ボードの楽しさを満喫しながら、安全を確保する」このスポーツ(特に冬山スポーツ)の原則を再度認識させられました 

今は、ウインタースポーツ真っ最中の時期です、無駄な犠牲を出さないためにも「安全第一」を肝にめいじたいものです。 

なんだか・・・「医療の安全性」にも通じることがあるようです!!

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 11病院が搬送断る 胸の痛み訴え95歳女性死亡 東京

2008年01月23日朝日新聞) 東京都清瀬市で今月8日夜、自宅で体調不良を訴えた無職女性(95)を清瀬消防署が救急搬送する際、近隣の11の病院に受け入れを断られていたことが分かった。女性は12番目の病院で応急処置を受けたが、まもなく死亡した。通報から病院到着まで52分かかっていた。

 東京消防庁などによると、女性は胸の痛みを訴え、8日午後9時34分に通報があった。救急車が通報の3分後に女性宅に到着し、病院の選定を始めたが、清瀬市や小平市などの病院から「満床で対応できない」などと断られ続け、選定開始から38分後に12番目の病院に決定。病院に到着したのは午後10時26分だった。女性には心疾患の既往症があったという。

 受け入れを断った病院の一つの公立昭和病院(小平市)は、生命の危険のある患者を処置する3次救急医療施設だが、「要請があった時は担当の医師が別の患者の処置中で、待たせては命にかかわると判断し、他の病院への搬送を求めた」と説明している。

中核救急病院、2年で174カ所減 搬送遅れの要因に

2008年01月14日朝日新聞) 地域の救急患者を受け入れる中核的存在の「2次救急病院」が、この2年間で174カ所減ったことが、朝日新聞の全国調査でわかった。深刻化する医師不足や経営難が影を落とした結果、減少傾向が加速しており、新たに救急を掲げる病院がある一方、救急の看板を下ろしたのは、2年間で全体の5.6%にあたる235カ所に上る。急患の収容先選びが困難になり、搬送遅れが続発するなど市民生活への打撃は大きい。国の医療費抑制政策が救急医療の根幹を揺るがしている実態が、色濃く浮かんだ。

 日本の救急医療機関は、開業医らが軽症患者を診る「1次(初期)救急」▽入院や手術の必要な患者を治療する「2次救急」▽救命救急センターなど重篤患者に対応する「3次救急」に分かれ、中でも、多くの市にある公立・民間の2次救急病院が地域医療の中心的担い手となっている。調査は、救急医療計画を策定する各都道府県を対象に、05年10月~07年10月の増減状況を尋ねた。

 全国の2次救急病院は05年10月時点で4170カ所あったが、2年後には3996カ所となり、174の純減。救急対応をやめた235カ所に加え、21カ所が3次救急に移行するなどした一方、新たに82カ所が2次救急病院になった。04年以前のデータがある自治体の多くで、05~07年の年間減少数がそれ以前を上回り、減少率が高まっている。

 2次救急病院の減少数トップは福岡県の26カ所。県東部の京築地区で市町村の補助金が打ち切られた結果、当番制で急患を受け入れる「輪番制度」がなくなり、10病院が一気に救急から外れたのが響いた。東京都の15カ所、大阪府の14カ所がこれに続き、診療報酬の改定に伴う収入減などで、診療体制を縮小する病院が都心部で増えている実情を裏づけている。当直の確保で人件費がかさむ救急が不採算部門になっている例も多く、東京では、5病院が破産や廃院に追い込まれていた。

 地域別では、四国の落ち込みが著しく、全体の11%にあたる22カ所の減。北陸・甲信越でも8%(22カ所)減少し、激務などから救急勤務医の退職が相次ぐ地方病院の苦悩が際立っている。

 こうした状況を背景に、各地で救急患者の搬送先探しが難しくなっており、兵庫県姫路市では昨年12月、吐血して搬送された男性が17病院に受け入れを拒まれた後に死亡。大阪府富田林市でも下痢や嘔吐(おうと)で搬送された女性が30病院に断られた翌日に亡くなった。福島市では同11月、交通事故に遭った女性が4病院に計8回搬送を拒否された後、死亡している。

 このほか、2次救急に指定されている診療所も同時期に57カ所減り、404カ所になった。2年間で12%が消えたことになる。

 調査と並行して、救急対応をやめた235病院のうち、自治体が公表しなかった病院などを除く227病院に撤退の理由(複数回答可)を聞き、204病院から回答を得た。

 最多は「医師や看護師の不足」で66病院。次いで「診療所への変更」(40病院)が多く、「療養型病院などへの転換」も28病院あった。「地域の輪番制度がなくなった」が24病院、「倒産・廃院」は20病院だった。

 スタッフ不足を挙げた病院は地方に顕著で、「大学の医局による医師引き揚げで常勤医が10人以上減った」「医師が半減し、当直態勢が取れなくなった」などと事情を説明。「看護師が給与の高い都市部へ流れ、夜間の救急体制が築けない」との声も多かった。

 都市部では、人手不足を訴える病院が多い一方で、「救急での収益が期待できない」「病院の収支が厳しい中で続けるメリットがない」など、経営上の理由も目立った。中には「当直医の専門外の患者が来る救急は、訴訟リスクが高い」と回答した病院もあった。

毎週のように、救急患者さんの残念な報道が国民の中に流されています。