このうち27人が死亡しており、その中の9人については死亡と感染の因果関係が否定できないという。同病院は調査委員会を設置していたが、保健所に報告したのは今月2日。都は「速やかに報告があれば適切な助言ができ、感染拡大を防げた可能性も否定できない」と批判している。
記者会見した同病院や都の説明によると、今年2月に入院患者から多剤耐性アシネトバクターが検出され、4~5月に16人が感染した。さかのぼって調査した結果、昨年8月が最初の感染例とみられ、感染したのは46人と判明。35~92歳の27人が昨年10月~今年8月に死亡した。このうち、院内感染との因果関係が疑われているのは、53~89歳の糖尿病や慢性腎不全などの患者9人。6人については因果関係が不明で、12人は院内感染と死因に因果関係がないとみなせるという。感染者のうち31人は同病院の15~17階に入院していた。
この日の会見で同病院の森田茂穂院長は、今回の事態を防げなかったことを謝罪、もっと早く行政側に報告すべきだったと述べた。同病院は7月30日に有識者らによる調査委員会を開いており、今月2日に事態を知って立ち入りをした都に対し、報告の遅れについて「現場対応を優先させていた」などと釈明したという。
多剤耐性アシネトバクターによる大規模な感染が日本で初めて発覚したのは昨年1月。福岡大病院(福岡市)で23人が感染したことが判明し、都は同月、厚生労働省からの通知を受けて、院内感染が疑われる場合、速やかに保健所に報告するよう医療機関に求めていた。だが、帝京大病院は8月4日に国と都が定例の立ち入りを行った際も院内感染の事実を伏せていた。また、調査委からも「公的機関への通知も検討すること」との指摘を受けていた。
厚労省が事態を知ったのも今月2日。長妻厚労相は8月30日に同病院を視察している。3日の会見で都は「遅くとも(調査委を開いた)7月30日時点で報告がほしかった」「第三者から見て隠蔽(いんぺい)したと疑われてもやむを得ない」などと指摘した。
多剤耐性のアシネトバクターは欧米で10年ほど前から、人工呼吸器を装着する重症患者に肺炎を引き起こすとして警戒されていた。イラク戦争の際は、米軍関係の医療施設で傷病兵が集団感染している。同菌について、順天堂大学の堀賢・准教授(感染制御科学)は「院内感染の代表的な菌であるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)よりも強い勢いで、欧州を中心に拡大中だ。国内にも入っており、今回は氷山の一角。手洗いや衛生管理の徹底のほか、薬が効きにくい重症患者を他院から受け入れる時は、ひとまず個室に入れて検査をする必要がある」と話している。
アシネトバクター 土壌や水中にいる細菌の仲間。乾燥に比較的強く、手のひらなどに付着して感染する。健康な人にはほとんど害がないが、突然変異を起こして抗生物質がほとんど効かない多剤耐性菌になると、高齢者や重い病気がある患者などに致命的な症状を引き起こす。特に病院では様々な抗生物質が使われているため、増えやすい。
院内感染が後手にまわるとその被害の拡大が急速に進行することは、すでに常識のことです。
当然院内には、安全委員会や感染委員会など、どの病院でも常設されている専門委員会があるはずですし、病院の管理当局にしても、院内感染を予防する観点からの点検がなされていたのではないでしょうか。
しかし、今回も感染拡大を防ぐとができなかった・・・・ その遠因として、管理機構と現場で働く医療従事者との間での「意思疎通」の欠如がなかったのかどうか。
また、そうしたことを感知した病院管理機構が行政や第三者・外部機関への方向が適切に行われたのかどうか。
他の報道によれば、発生病棟に関与した医師へ警察の事情聴取が行われるとの事です。
警察としては、死亡した9名の関係から、その医師の「過失致死罪」を念頭において取調べを始めるのかもしれません。
感染で死亡された患者さんへ、心から冥福をお祈りすると同時に、「医師」個人ではなく、帝京大付属病院としての責任を明確にすべきではないでしょうか。
しかし、今回の院内感染が、「対岸の火事」として客観視することはできません。
われわれ医療関係者すべてが、自分のこととしてとらえ再発予防の観点からその教訓を学ばなければなりません。
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