「万一のことがあったらどうしよう、と全職員が不安を抱えて働いていた」。7人の高齢者が亡くなった札幌の施設火災現場で、元職員が嘆いた。「いつかこんな悲劇が起こると思っていた」と悔しがったそうだ
▼一般の家庭でも、お年寄りがいれば火災が心配だ。まして認知症の9人が暮らす施設である。夜勤の職員はたった1人、全員をすぐ避難させるのはかなり難しい仕事だろうと、容易に想像できる
▼夜勤の職員はおむつを交換していて火事に気づいた。消火器で消そうとしたが手に負えなかった、と証言している。火と煙からお年寄りの命を守るには、スプリンクラーなどの消火設備が欠かせなかった
▼だが小規模施設への設置は、いまは義務づけられていない。高齢者施設の火災では、2006年に長崎県で7人が、昨年には群馬県で10人が犠牲となった。同じような惨事を、どれだけ繰り返さなければならないのか
▼福祉事業の流れが「官から民へ」と向かう中で、民間の小規模施設が増えた。だが国は十分な法整備や報酬の設定をしていないと指摘される。制度づくりの責任をほったらかした、というのが実態に近い
札幌の「グループホーム火災事件」は、全国に深刻な問題を提起しています。
今回は、増え続ける認知症患者さんを治療・介護する制度や施設の貧困さが顕在化させました。
火災現場に住む患者さんによれば、その地域は、東京オリンピックのときに開発された「団地」で、現在高齢化が進み、空き家が増えてきているとの事です。
その空き家を業者が買い取って、「グループホーム(GH)」に内部改造し、認知賞症患者さんを収容していたのです。
また、当日職員が駆け込んだ警察官不在の交番葉、以前から問題視されており、住民から「警察官常駐」の要求が出ていたのです。
今回明らかになった、その改修時での安全基準や期限のあいまいさや、行政からの経済的補助の不十分さが、危険なGHを放置する結果になりました。
こうした、医療や介護での制度的不十分さは、今始まったことではなく、長らく続いてきた「自公政権」、特に小泉構造改革で「官から民へ」の号令のもと、民間の小規模施設が増えたにもかかわらず、安全がなお座リにされていたのも事実です。
政権交代にあたり、鳩山内閣も「新しい公共」を掲げています。
しかし、小泉構造改革で掲げられたこのスローガンは「今後は、地域において住民団体をはじめNPOや企業等のたよぷな主体が提供する多元的な仕組みを整えてゆく」と言うことでありました。簡単に言うと「本来自治体がやるべきことを民間の企業やNPOに委ねて行政を安上がりにするということなのです。
これをベースにして、今回のGHが全国に作られ、そのほとんどは、民間が主体になっています。
実際、地域で見ると条件がよくて、安全なGHは、料金が高く誰でも入居できるものではありません。
国民の期待を担って「政権交代」を果たした鳩山内閣には、小泉式「新しい公共」路線に決別して、国民・住民が安心して暮らすことができる地域づくりに貢献してほしいものです。
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