
再診料、690円で統一 中医協決着、中小病院は90円上げ
(2010年2月10日 日経新聞)
厚生労働相の諮問機関、中央社会保険医療協議会(中医協)は10日、外来診察の基本料金である再診料を4月から見直し、中小病院と開業医の診療所は690円で統一することで決着した。中小病院を600円(患者負担は原則3割)から大幅に引き上げ、診療所を710円から下げる。休日など時間外対応をする診療所には料金を加算できる仕組みも導入する。
患者から「同じ医療サービスで病院と診療所の再診料に格差があるのはおかしい」との批判があり、中医協は昨年から再診料を統一する方向で議論を進めていた。
全国に約8800ある病院のうち、病床が200床未満の中小病院約6100が再診料の引き上げの対象になる見込み。中小病院で受診する患者の自己負担は診察1回につき27円(3割負担の患者の場合)増える。厚生労働省は中小病院全体で180億円の増収効果があるとみており、病院勤務医の待遇改善などにつながると判断している。(12:33)
再診料、診療所が-20円、中小病院がプラス90円となって「合意」されたとの事です。
さすが「足して2で割る」方式の愚策は回避されたものの、地域医療を「崩壊から再生へ」転じる足がかりにするものとはなりえません。
日医は、昨日の定例記者会見で以下のように声明していました。
◆ 「再診料の公益裁定にむけての日本医師会の主張」―中川常任理事
中川俊男常任理事は、2月9日の緊急記者会見で、8日の中医協総会における再診料の議論の結論が得られず、公益委員の裁定に持ち込まれたことを受けて、日本医師会は、診療所の再診料の引き下げに断固反対するという姿勢を改めて強調した。
同日の中医協では、厚生労働省が、外来プラス財源は400億円であり、新たに評価される(引き上げる)項目分の650億円から、適正化される(引き下げる)項目分の400億円を差し引くと、すでに250億円の財源が使われていると説明。議論では、残りは150億円であるが、再診料を71点に統一するために必要とされる220億円には70億円不足している上、外来管理加算の5分要件の撤廃にともなう財源も必要であるとの指摘があった。また一部では、再診料を68~69点で統一するとの報道もあった。
これを受けて、同常任理事は「日医は診療所の再診料引き下げに断固反対である。再診料の統一は、病院の点数を引き上げることで対応すべきだ」と主張。
その理由として、第一に、評価項目で650億円が必要であるとしているが、その中身が明らかにされていない。これをもって財源が限られているという理屈は受け入れ難いことを挙げた。
第二に、本来、最優先で議論すべき再診料を、他の項目を検討した後、残りの財源で手当てするという今回の方法は、診療所再診料引き下げありきの議論だと指摘した。
第三に、前回の診療報酬改定においては、診療所から病院へ400億円強の財源移譲が行われており、今回、診療所の生命線である再診料がマイナス改定になれば、地域の診療所が大きな打撃を受けることは必至である。これまで診療所は、学校医、産業医、予防接種、特定検診、保健指導など、地域医療や行政への貢献を果たしてきており、こうした取り組みを続けるためにも再診料引き下げによって診療所の経営体力、意欲を削ぐことがあってはならないとした。
第四に、評価予定項目が、再診料の評価より重要性や緊急性が高いのか、明確な優先順位付けが行われていないことを問題視した。
同常任理事は、「今回の改定で再診料統一に一気に決着をつけようとしているが、『事業仕分け』からの流れに押し切られたと断じざるを得ない」として、再診料を段階的に統一していくことを改めて提案した。そして、地域医療再生のためには、病院、診療所双方の全体的な底上げが必要であるとし、「公益委員においては、いつでも、どこでも安心して医療を受けられる社会を取り戻すべく、地域住民、患者の立場に立った裁定をお願いしたい」と要請した。
一方、公益裁定に至るまでの経緯について触れ、「財務省主導で財政中立の下、病院と診療所、勤務医と開業医の対立構造に持ち込まれた。中医協では、診療側が一致団結して対立構造を超越した提言を行ってきたが、再診料について着地点を見出すことが出来なかったことは、これまで中医協委員を担ってきた立場として、非常にもどかしい思いである」と述べた。
また、外来管理加算5分要件の撤廃は、新政権である民主党の公約であり、財源が限られているという不透明な制約に振り回されることなく、撤廃すべきだと強く訴えた。
質疑応答では、診療所の再診料を引き下げたうえで、夜間や休日の加算を設ける方向であるとの報道があったことについて、「本末転倒だ」と切り捨て、再診料を引き下げることなく加算を設けるべきだとした。
中医協から「排除」されて以来、日医の影響力の低下は否めませんが、一定の財源論も含めて傾聴すべきところもあります。
しかし、そもそも診療所の再診料が今までの710円程度で充分であったのかどうかをもっとはっきりさせる必要があります。
そこにこそ「日医」の主張すべき分野があったのではないでしょうか。
これからの地域医療の中で在宅医療も重視されている現状で、医師のみならず、コメディカルの人々にも相応の収入を確保し、患者さんのために医療を提供するためには、再診料をさらに値上げすべきことは明らかです。
一方、90円値上げをキャンペーンされる中小病院においても、これぐらいの値上げで、苦しい経営に多少の光がさしてくるのかも疑問です。
ましてや、医師不足の中で苦闘する勤務医の待遇がいくらかでも改善するものでしょうか。
医師の収入増まではいかなくとも、医師業務の軽減を保障できるような体制的バックアップを構築できるような経営を確率できるものでしょうか。
はなはだ疑問といわなければなりません。
財務省と厚労省によって「仕組まれた?」今年度の診療報酬改定には、大きな禍根が残されています。
『政権交代』の力が現場の医療再生につながるまでには至っていないのが現状です。
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