がん治療費の患者負担軽減、早急の解決を 

東京大学医科学研究所
先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携部門
特任研究員 児玉祐子

         20091029日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行
                 
 去る1021日、77歳の乳がん術後の母親が、自身が介護していた53歳の白血病
の娘を殺害するという痛ましい事件が東京で起こりました。「二人の治療費が月
何十万もかかるようになり、将来を悲観した。娘を殺し自分も死ぬ」と母親は供
しています。私たちもがん患者の経済的問題に取り組んでいますが、がん治療
費の問題が親子心中を引き起こすことまでは想像できていませんでした。捜査中
の事件であり現段階ではこれ以上の詳しい情報はありませんが、今後の捜査によ
り、がん患者が抱える経済的な問題がいっそう浮き彫りになることでしょう。

 がん治療費の問題は、こうして殺人まで引き起こすほど、がん患者にとって時
間の余裕がない緊迫した問題なのです。解決までの時間をこれ以上延ばすことは
できません。

 よく効く、なおかつ副作用も軽微、など、多くのメリットを新しい抗がん剤は
提供しています。しかし一方で、薬代は高額、のみならず治療期間が長期にわた
ることは、患者の経済状況を圧迫し続け、多くの負担を強いています。国民の2
人に1人ががんにかかるとも言われる今日、「親子ともがん患者」「夫婦ともが
ん患者」というケースは、決して珍しくありません。がん患者の経済負担につい
て、がん患者だけではなく国民が共有し、どのような方法で軽減を図るのか。国
民一人一人が考えるべき時が来ているのです。
全く、悲惨出来事です。
 「お金の切れ目が命の切れ目」を地で行くような話ではありませんか!!
今日の午後外来に来た、関節リウマチの患者さんが見たようなお話をしていました。
最近、あるリウマチの患者さんに著効を示す生物学的製剤の使用にあたり、毎月高額の医療費の支払いを覚悟しなければならないこと、お金が続かなくなれば、効果的な薬物でも治療を諦めざるを得ないことなどを切々と述べていました。
今回指摘されている抗がん剤新薬「グリペック」に関しても高額な自己負担の実態があるとの事ですが、こちらの抗がん剤は、生命に直結するだけに事は深刻です。
一方で、「構造改革路線」から出された、「混合診療容認」要求は、もっと露骨に裕福な人は、自由に効果的な薬を使ってくださいといわんばかりのものでした。
国民皆保険制度下の日本では、薬剤も含め有効な治療法は、保険適応にするのが本来のスジではないでしょうか。
さらに、それも国民負担が少なくなるように、薬であれば、薬価を引き下げる努力も必要です。
リウマチ患者さんの言葉が心にしみた今日の外来診療でした。
鳩山内閣の姿勢が問われています。

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 病院と診療所の対立が「医療崩壊」に

 DPC対象病院へのコンサルティングなどを手掛けるグローバルヘルスコンサルティング・ジャパンは1024日、「オピニオンリーダーに問う日本の医療はどこへ進む?」と題してシンポジウムを開催した。

今後の医療費負担や配分などをテーマにしたパネルディスカッションでは、慶大大学院の田中滋教授が「医療システムを崩壊させようとする人たちが戦略を練るとしたら、一番良い方法は診療所と病院を対立させることだ」と述べ、病院と診療所が限られた医療費を取り合う構図が「医療崩壊」につながるとの認識を示した。

 田中氏は、病院と診療所間だけでなく、診療科や学会間で対立が起きた場合にも医療崩壊が進むとの認識を示した。その上で医療費の配分については、病院・診療科間などでなく、地域医療への貢献度の視点から考える必要があるとの考えを示した。
 

 一方、日本病院会の石井暎禧常任理事は、例えば入院料の配分を、「入院料」の項目の枠内で考える従来の手法を問題視し、まずは「どこにどのくらい資源を投入すべきか」から考えるべきだと主張した。

 また、社会保険診療報酬支払基金の中村秀一理事長は、社会保障費の自然増を毎年2200億円削減する政府方針が撤廃されたことを踏まえ、「医療費を増やすというポジティブな政策目標を決めてやってきたことはこれまでなかった。どういう部分に増やしていくかの議論が必要」と述べた。
 

 中村氏はまた、保険者側には、医療費が増えたことで医療サービスがどれだけ質向上したかを具体的に情報開示する必要があるとの認識を示した。

「保険者側も大変な状況」
 パネルディスカッションに先立ち、田中氏は「医療提供体制と社会保障制度社会共通資本としての医療を支える施策とは」と題して講演し、日本の医療費の現状を、医療提供側と財政側の視点から説明した。
 

 医療側の視点としては、今年の医療費対GDP比が米国の16%、フランスの11%に対して日本は8.1%に留まる一人当たりの医療費は、すべての年齢階層で減少しているなどの状況を指摘した。
 

 一方、財政側の視点として、国の今年度の一般会計で、税収46.1兆円に対し歳出が102.5兆円と見込まれる全国健康保険協会(協会けんぽ)が保険料率を来年度から引き上げれば中小企業の負担増につながるなどの状況を挙げ、「保険者側も大変な状況にある」と指摘。医療側が主張する保険料の引き上げが、実際には簡単ではないとの認識を示した。

2009/10/27 11:55   キャリアブレイン

今回の田中滋氏の指摘は、重要ではないでしょうか。

病院と診療所、勤務医と開業医、内科と外科などの診療科間、あるいは、学会などでの対立は、医療界の力を内部から弱めることにしかなりません。

もちろん、その中での節度ある議論や切磋琢磨は、力を強める方向に働くのですが、今回の「日医問題」のように、日医は開業医の集まりとだけで決め付けるのは正しくはありません。

日医の構成は、4割がいわゆる「勤務医」なのです。

問題は、そうした勤務医の意見が、日医の意思として反映されない仕組みになっているのが不正常なのです。

日医代議員会ので勤務医の構成が1~2割程度では、とても勤務医の意見を反映させているとは言えません。

勤務医である私自身も、医師会活動の中で勤務医であるが故の歯がゆい思いを何度も味わってきました。

こうしたことは、今回の事態で日医が反省し、自己変革しなければならない課題なのです。

日医唐沢会長の自発的辞任を前提に、日医自身が真に日本の医師を代表する「団体」に生まれ変わる最後のチャンスが来ているのではないでしょうか。  

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