「医療の機能強化には負担増必要」権丈・慶大教授

 慶大商学部の権丈善一教授は96日、「保健・医療・福祉サービス研究会」(東京都千代田区)が開いた「社会保障と報酬改定シンポジウム」で講演し、日本の赤字国債の累積発行額が戦時中の水準にまで近づく一方、租税社会保障負担の対GDP(国内総生産)比はOECD加盟国の中でも最低水準に位置すると指摘。医療の機能強化に必要な財源を確保するには、社会保障費における国民の負担増が必要だとの認識を表明した。

 権丈氏は、日本の国債発行額について、「他国が経験したことのない水準に到達してきている」と強調。マーケットの信頼をつなぎ留めるため、政府は財政規律への前向きな姿勢を示す必要があるとの考えを示した。

 一方で、租税社会保障負担の対GDP比は「OECD加盟国の中で下から4番目に低い」と指摘。「赤字国債の累積を緩和するための政策としては、負担を増やすことができる。もう一つは、支出を減らすことができる」と述べた上で、「幸いなことに日本では負担がとても低いので、まだ上げる余地はある」との見方を示した。

 講演で権丈氏は、巨額の累積債務社会保障の崩壊政府への不信3点を「日本が抱える三大巨壁」に位置付けた上で、こうした状況の中で社会保障機能の充実に必要な財源を確保するには、社会保障費における国民の負担増が必要だとの認識を示した。

 社会保障のうち医療財源については、消費税の引き上げが実現しても「医療にはそんなに回って来ない」と指摘。一方で、「医療保険料として徴収すれば、これは絶対に医療にしか使えない」と述べ、消費税よりもむしろ社会保険料を引き上げるべきだとの考えを表明した。

更新:2009/09/08 (キャリアブレイン)
 
上記した権丈教授の講演をもう少し詳しく紹介されているのがRisfaxです。

同教授の考え方は、

租税社会保障負担の対GDP(国内総生産)比はOECD加盟国の中でも最低水準に位置するので医療の機能強化に必要な財源を確保するには、社会保障費における国民の負担増で対応すべき

だが、消費税の引き上げが実現しても「医療にはそんなに回って来ない」ので、「医療保険料として徴収すれば、これは絶対に医療にしか使えない」と述べ、消費税よりもむしろ社会保険料を引き上げるべき――の2点に要約される。

ポイントは、後者()である。 
だが、理解はし難い。とくに、消費税の
き上げが実現しても「医療にはそんなに
回って来ない」という部分が。しかし、
そのような事態が発生するのは、
「総額が不足状態になった場合」
(#1)と「社会保障費の内訳配分を巡る(年金や介護との)競合が起きる場合」(
#2)とが重なった場合である、と見れば
少しは理解し易くなる。
 右上がりに増えて行く社会保障費に対して
は、消費税の場合には、かつて、経団連の
奥田会長が提言した「毎年1%引上げ」方式
も考えられるが、その場合でも、最小引上
げ幅は1%である。
しかし、医療保険なら、保険者ごとの、もっときめ細かい料率幅の改定が可能に
なる。
 だが、医療保険料の場合には、もう一つ
別なメリットもあるのだ。企業が負担する
保険料の折半負担が継続され、消費税へ切
り替えた場合より、国民の負担増は小さく
なるのだ。
 民主党は、今後4年間は消費税の引上げ
は行なわない(ただし、議論はする)とし
ているが、議論を行なう場合には、「企業
折半負担の社会保険料取り扱い」をどうす
るかを、消費税論議の基本論点に据えるよ
う求めたい。
自民党には、経団連との癒着関係から、
それは禁句であったかかも知れないが、
業団体献金の撤廃を謳っている民主党には、今回の権丈教授の発言を契機に、
十分に議論してもらいたい。(月光/09.9.10

権丈教授が、それまでの医療保障の財言論としての消費税増税論から一歩進んだ議論を展開しています。

権丈教授が講演の中で指摘しているように、消費税を社会保障の財源として徴収されるにしても、一度国家財政として徴収された税金が、充分社会保障分野に振り向けられる保障はありません。

現在の消費費税が創設された時、また、3%から5%へと増税された時にもその理由は、社会保障のためだったのです。

しかし、自公政権の「医療費削減政策」の下で社会保障費に回されることもなく、むしろ抑制さえされてきたのです。

また、「福祉目的税」なる聞こえの良いやり方で増税しても、忠実に実行小とすれば、国家財政の硬直化を招くことは明らかです。

税金の使い道は、「目的税」として徴収するのではなく、できるだけ「一般税」として徴収し、それを国民に委託された国会と政府が決めてゆくべきものではないでしょうか。

さて、今回、権丈教授は『企業が負担する保険料の折半負担』に注目しています。

氏も指摘しているように、社会保険の保険料の半分は企業が負担してしていますが、医療の充実のために用いる医療保険料の増額に、この企業負担を応分に位置づけることは、大切なことだと考えています。

今後4年間、消費税増税は凍結すると言う民主党のマニフェストがありますが、逆を言うとそれ以降は「消費税増税アリ」とでも言うことになる可能性があります。

医療・社会保障の「財言論」を、即「消費税増税」という短絡的な議論からは脱皮する必要がありそうです。

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