中央公論9月号で、山口二郎北海道大学教授と竹中平蔵慶応大学教授の徹底討論が掲載されています。http://yamaguchijiro.com/?eid=778
「構造改革」は日本の医療に傷を残したか
山口 政権交代を強く予感させる、まさに「五〇年に一度」の選挙がいよいよ始まりますね。今回の選挙を考えるにあたっては、各党・各議員が「これから何をやろうとしているのか」を整理することももちろん大切ですが、同時に、二〇〇五年の郵政選挙で選ばれた議員あるいは政権が「この四年間で何をしてきたか」に対する総括と評価も必要だと思うんです。
〇五年当時にはあれほど人気のあった自民党が、なぜ国民の支持をこれほどまでに失ってしまったのか。党の立てたリーダーたちが軒並み政権を放り出す様を見て、国民が不信感を募らせたのも大きな要因でしょう。だけど、私が竹中さんに申し上げたいのは、国民の自民党の政策に対する評価、もっといえば「構造改革」に対する評価が変わったのではないか、ということです。
社会保障費の抑制や地方財政の切り詰めといった「構造改革」を推し進めたことで、公共サービスの根底が崩れてしまった。今まさに国民の生活は底割れしています。このことも自民党に対する否定的な評価の要因になっていると思うんです。
竹中 まず、自民党が支持を失った原因は明確です。二〇〇六年九月に小泉さんが辞めた時点で、ある意味では政権交代しているんですよ。
〇六年九月までの政策と、それ以降の政策は方向性が全然違いますからね。別の政権になったわけですから、世論の風向きがガラリと変わるのも当然です。そして、私が社会科学者としてとても興味があるのは、なぜ山口先生のように政策の中身をきちんと理解している方でも、今おっしゃったような、現実とかけ離れた話をされるのか、ということです。
例を挙げましょう。「構造改革のせいで格差が拡大した」という話が出てきたときに、私はまったく相手にしませんでした。なぜなら、そんな主張は、経済学的に正当化されないからです。いいですか。ジニ係数(所得分配の不平等さを測る指標)で見ると、一九九〇年から、つまり小泉改革の一〇年も前から、高福祉国家とされるスウェーデンやフィンランドも含めて世界中の国で、格差はずっと拡大しています。これは日本も同じです。九〇年代に公共事業のバラマキをしていたときから格差は拡大し続けていた。それが小泉内閣の五年間で、ジニ係数から見える格差の拡大は止まるんですよ。つまり、「構造改革のせいで格差が拡大した」ではなくて、「構造改革のおかげで格差の拡大が止まった」んです。にもかかわらず、ワイドショーによる間違った刷り込みで、真実が捻じ曲げられてしまいました。 社会保障費についても、「小泉政権が社会保障費を削ったことで、社会保障がズタズタになった」と言われています。でも社会保障費は、今も大変な勢いで増え続けていますよ。つまり、何も対策を打たなければ毎年一兆円増えてしまうのを、二二〇〇億円削って約八〇〇〇億円の増加に抑える。これが小泉政権での削減案です。しかし、多くの人は、前年度比でマイナスにしているように勘違いしている。削減なんかしていません。・消費税を上げるのは仕方がない・日本では公務員を監視しきれない・「生活第一」を達成するためには、経済成長が必要だ・民主党は、社会保障を立て直せるか
その後、以下の様なやり取りがあります。
竹中「お金を払えば高度な医療を受けられる」という選択肢もあって良いはずです。
山口「命を金で買う社会」など認められません。国民全員で基礎医療を支えるべきです。
竹中氏は、「混合診療の何が悪い・・・そこで浮いたお金を「社会保障費」に廻せばいい」などと能天気なことを言う始末です。
そもそも、竹中氏には、医療とか人権など、人間の生存に関する視点や知識が完全に欠落しているといっても過言ではないようです。
すべて、お金と財政からの発想と理論です。(しかしそれ自体、この間の新自由主義路線の失敗で彼の理論そのものが破綻しているのですが・・・・)
新自由主義路線の終焉とともに、小泉純一郎と共に竹中平蔵も表舞台からの退場をお勧めいたします。
しかし、小泉・竹中氏が退場しても、社会保障を利潤追求の場に変えようとする勢力は依然として目的達成の機会を伺っています。安心することはできません!!!
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