一次判定で軽度に判定されても、二次判定で重度に―。今年4月からスタートした新要介護認定制度の影響が注目される中、ケアマネジャーで厚生労働省の「要介護認定の見直しに係る検証・検討会」の委員でもある結城康博・淑徳大准教授らは、要介護度の更新申請結果を分析し、6月30日、結果を公表した。結城准教授らは、一次判定では軽度に判定される傾向が見られたが、二次判定で覆されるケースが多かったと指摘。「極端な軽度化や重度化」はなかったとの見方を示している。
調査は、5月末から6月末にかけて、千葉、東京、鳥取、大分の4都県の計15自治体の更新申請者5049人の判定結果を、5月審査分を中心に調べたもの。
それによると、一次判定では申請時の要介護度より軽度に判定されるケースが43%を占めたが、二次判定を経ると、軽度化の割合は23%に減少した=グラフ=。一方、重度に判定される割合は、一次判定で20%、二次判定で22%と、「ほぼ同じ」だった。申請時の要介護度と「変わらず」と判定される率は、一次判定では37%だったが、二次判定では55%と高くなった。
この結果について、結城准教授らは「一次判定で軽度に判定されても、二次判定で重度に覆されている」と指摘。最終的には、極端な軽度化や重度化は見られなかったとしている。また全体的に、二次判定で重度に変更される割合が「新制度によって高くなる可能性が予測できる」としており、認定審査会の果たす役割が大きくなっていると指摘している。
また結城准教授は、新要介護認定制度では、訪問調査時に記載される「特記事項」が判定に大きな影響を与えるため、「訪問調査を行う認定調査員や、認定審査会の審査員の負担が大きくなっている」として、対応を講じる必要があると指摘している。
ただ、結城准教授らは調査について、あくまでケーススタディーであり、更新申請者のサンプル数も全国の更新者数と比べて少ないため、厚労省が全国規模で行っている調査の結果を待たなければ、詳細な分析・検証は難しいとの見方を示している。
新要介護認定をめぐっては、要介護度が一律に軽度に判定されるのではないかとの不安の声が市民団体や介護現場から上がっていた。4月2日には、小池晃参院議員(共産)が参院厚生労働委員会で、要介護認定に関する厚労省の「内部資料」を示し、厚労省が自治体に対し、要支援2と要介護1の割合を7対3にするよう指導していたのではないかと質問。介護保険の給付額を抑えるために、故意に要介護認定の基準を厳しくしたのではないかとただしていた。こうした批判を受け、厚労省は4月13日、新要介護認定について検証するため設置した「要介護認定の見直しに係る検証・検討会」の初会合を開き、新要介護認定で審査・判定された要介護度が以前の判定より軽くなった場合、申請者が希望すれば、新制度の検証期間中は以前の要介護度とする経過措置を示した。
■「非該当」や予防給付への移行、審査員が「無意識」に阻止?
結城准教授によると、申請時の要介護度によって、軽度化の割合が異なる傾向も見られた。
調査結果によると、申請時に要支援2、要介護2、要介護3だった人は、二次判定で軽度化した割合がそれぞれ34%、26%、27%で、「軽度に判定される傾向」があったが、要支援1からの軽度化は11%で、要介護1は19%。結城准教授は、要支援1より軽度に判定されると「非該当」に、要介護1より軽度に判定されると介護給付から予防給付の対象となるため、「審査員も無意識のうちに、慎重に判定をしたのではないか」と話している。要介護4、要介護5から軽度化する割合は、共に18%だった。
また結城准教授らは、要支援2や要介護2、要介護3といった人は在宅生活者が多い一方で、要介護4や要介護5などの重度者には施設生活者が多い傾向があると指摘。今後、「在宅と施設での認定調査結果を比較する必要がある」としている。
■「地域差を注視」
一方、一次判定と二次判定の結果に、ほとんど違いが見られない自治体が4か所あったという。いずれも首都圏以外の自治体だった。結城准教授らは「今後、全国規模のデータを見て、この地域差を注視すべき」としている。
新要介護認定基準制度での一次判定では、従来よりも軽症に判定される実態が明らかになりました。
私が実際に行っている認定審査でも同様の結果がでています。
やはり、以前から指摘されてきたとおり、厚労省がもくろんでいる介護等級の軽症化がうかがわれるところです。
一次判定で「軽症化」された等級を介護認定審査会で、調査表の特記事項と主治医意見書を詳細に検討し、申請者の実態に合わせて、等級を決定しています。
しかし、病状から明らかに重症にもかかわらず、どうしても一次判定で軽症化することが避けられない事例が多くあります。
また、これまでにほとんどなかった「非該当」の事例が10%ぐらい出ていることです。
介護保険料を徴収されながら、今まで介護保険制度下で療養していたものが、非該当で介護保険制度からはじかれるという事態にも全く納得できません。
一方、今回の新方式の導入による国民からの批判を懐柔?するためにとられた「経過措置」により、今回の新等級が実際の介護現場では全く意味のなさないものになっています。
厚労省が期限未定の「経過措置」をとり、実質的に旧方式と同じ等級を継続させるのであれば、国民から批判の多い「新方式」そのものを凍結するのがスジではないでしょうか。
そうでなければ、何のために時間と労力・莫大な費用をかけて、介護認定作業をしている意味が説明できません。
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