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  市長

(5月27日北海道新聞 卓上四季)
米国はどこへ行っても旅人を歓待してくれるが、南部のあの町は違っていた。よそ者のアジア人が何をしに来たのだ、といぶかしむように見られる。むき出しの猟銃を運転席に置いた小型トラックが、これ見よがしに目の前で止まった
さすがに気味が悪く、取材を終えるとすぐ帰った記憶がある。八年前に訪れた、ミシシッピ州フィラデルフィアだ。同名の大都市とは別で、人口八千人ほど、人種差別による殺人を描いた映画「ミシシッピー・バーニング」の舞台となった
黒人への選挙権が実質的に認められ始めた一九六四年、事件は現実に起きた。黒人の選挙人登録を援助するボランティア三人が殺害された。犯行には白人至上主義団体クー・クラックス・クラン(KKK)のほか、地元の警察幹部もかかわっていた
以来、根深い差別の町として知られた。そこに先週、黒人市長が生まれた。わずか四十六票差で当選したヤング氏は五十三歳。KKKの虐待にも遭ったから「この町に黒人市長とは、おとぎ話にも思い描けなかった」
事件のころ、白人専用だった小学校に、初の黒人児童の一人として入学した。みな白人だった同級生の冷たい視線を覚えている。だが選挙期間中、玄関の扉を乱暴に閉められたことは全くなかったという
頑迷に続いてきた差別も、いつか消え去る日が来る。「チェンジ」の、草の根への広がりである。

オバマ氏がアメリカ大統領に就任してから、いや、就任する過程でアメリカ社会の雰囲気がチェンジしてきたは間違いなさそうです。

本文に出てくる映画「ミシシッピー・バーニング」は、私は何度も拝見した秀作映画です。

これまで黒人のみならず、「有色人種」が受けてきた差別は計り知れません。

もちろん、アメリカには、差別に反対する多くの人々がいて、今日の「チェンジ」の伏流を作ってきたことも歴史の事実です。

そうした中で、今日のミシシッピ州フィラデルフィア市長の誕生でした。

わずか46票差での当選ではありましたが、現地の住民からすると「歴史的快挙」ではないでしょうか。

これからも、人種差別的逆流減少も十分予想されますが、KKKが幅を利かせた時代は、ぜひとも過去の遺物にしてほしいものです。

こうしてみると、現在は解決困難だと思われる課題、たとえば核廃絶などでも粘り強く立ち向かえば、必ず道が開けてくるという「王道」を示してくれたような気がしてなりません。

ヤング市長を実現させたミシシッピ州フィラデルフィア市民の皆様に感謝です。

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