(2009年5月25日朝日新聞)
北朝鮮が地下核実験を発表した25日、関係省庁は対応に追われた。オバマ米大統領の演説で国際的に核廃絶への機運が高まる中、4月のミサイル発射に次ぐ強行。国内の被爆者や核問題に取り組む人々は「なぜ、この時期に」と怒りの声を上げた。
日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)事務局次長の木戸季市さんは「冷や水を浴びせられたような心境だ」と憤った。今月中旬に米国で開かれた核不拡散条約再検討会議準備委員会に出席し、被爆体験を語ったばかりだった。「『核兵器のない世界を目指す』というオバマ大統領の演説もあり、核軍縮の流れを肌で感じて喜んでいた。核実験は世界の流れに逆行しており、絶対に許してはならない」と話した。
「長崎の証言の会」の森口貢事務局長も準備委に参加し、核廃絶に向けた胎動を実感したばかりだった。それだけに、「核廃絶への道が閉ざされたような気がする。核実験実施は理解に苦しむし、とても許せない」と言った。
ピースボート共同代表の川崎哲さんは正午ごろまで、外務省で「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」(ICNND)の共同議長を務める川口順子元外相と、北東アジアの核軍縮について意見交換をしていた。北朝鮮の核実験を聞いたのはその直後だった。
川崎さんは「予想されていたことが起こったという感じだ。北朝鮮をこれ以上エスカレートさせないために、米国が北朝鮮とハイレベルな対話をする必要がある。より早くしっかりした世界の核軍縮を進める制度をつくるべきだ」と言った。
16歳のときに被爆した広島県被団協事務局長の吉岡幸雄事務局長(79)は「極めて許し難い行為だ」と非難した。北朝鮮は、オバマ大統領の演説直前にも「人工衛星」を発射した前科がある、と指摘。「国際世論が核軍縮に向かっている時期に、なぜという思いだ。核廃絶を望む国際世論で根気よく北朝鮮を包囲し、核を手放させるしかない」と言った。
平岡敬・元広島市長は「地下実験だとしても放射能は漏れる。北朝鮮の民衆に被爆者が出ているということを心配している」。
全く理不尽なことを繰り返す北朝鮮です。
プラハで「オバマ宣言」により、核廃絶が国際世論の流れになろうとしている時に、敢えて地下核実験の実施を行う北朝鮮は、核廃絶への真っ向からの挑戦以外の何者でもありません。
北朝鮮自身が「一切の核兵器および現在の核計画を放棄」すると合意した2005年9月19日の「6ヶ国協議共同声明」をも反古にする乱暴な行動なのです。
しかし、冷静に考えると、先の「ミサイル騒動」と言い、今回の核実験の強行は、国際世論への「挑発」ともとらえることが出来るのではないでしょうか。
今回の「北朝鮮の暴挙」をとらえて、「日本も核武装を・・・」などという短絡的な意見を唱える政治家や評論家が必ずメディアに登場してきます。
実は、それも北朝鮮からすると「想定内」の反応なのかもしれません。
北朝鮮の核兵器開発と日本の核武装論議の高揚は、お互いに助け合い(?)ながら「核兵器開発スパイラル」を作り出すことになります。
このようなときこそ、「唯一の被爆国」である日本政府のなすべきことは、北朝鮮への厳しい批判と同時に、日本の非核3原則の徹底を基礎に、全世界に核廃絶への行動を起こすべきではないでしょうか。
「北東アジア非核兵器地帯構想」を提案している土山秀夫・元長崎大学長は、日本と韓国、北朝鮮に核兵器の開発・保有・配備などを禁じる一方、核兵器を持つ米・中・露に対しては、日本などなど3国への核攻撃を禁じると言う条約を6ヶ国で結ぶと言う構想を述べています。(朝日新聞5月24日、“耕論”)
こうした土山先生の見識と提案が、今こそ現実味を帯びてきた気がしてなりません。
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