海賊対策:ソマリア沖・海自派遣、見切り発車 想定外の遠征、撃沈容認論も
(毎日新聞 2009年1月18日 東京朝刊)
東アフリカ・ソマリア沖の海賊対策をめぐり、政府は当面、3例目となる海上警備行動の発令によって海上自衛隊を派遣することになった。ただ、特定の船、潜水艦の領海侵犯に対応した過去2例とは異なり、今回は遠洋への長期派遣になるのに加え、不特定の海賊から商船を護衛するのが任務。新たな部隊運営を迫られるが、政府・与党の議論は粗いままで、多くの課題を残した「見切り発車」になりそうだ。
海上警備行動を定めた自衛隊法82条は、地理的な制約を明記していない。しかし、北朝鮮や中国の領海侵犯への対応を想定してきた防衛省内には「長期の海外派遣を実施するには82条の条文はスカスカ」(首脳)との違和感が広がっている。
初の護衛任務、重装備の海賊を相手にする点など、異例ずくめの割に政府・与党内の議論が深まっていないことへの危機感もある。
インド海軍が昨年、海賊が乗り込んだ漁船を撃沈して人質が死亡したケースをめぐり、与党プロジェクトチームでは「自衛隊法でも可能」と容認する流れが一時でき、自衛官が過剰防衛に問われる恐れがあることを懸念した防衛省が軌道修正をはかる事態も起きた。
「護衛艦を襲う海賊などいない」との楽観論の下で派遣を急ぐ考えが支配的になっているためとみられるが、浜田靖一防衛相は「あらゆる事態を想定すると簡単にくみすることはできない」と反論し、慎重な態勢整備を求めている。
一方、海上警備行動の武器使用は、警察官職務執行法に準じて正当防衛と緊急避難に限定される。初の発令となった99年の能登半島沖の不審船では、海自護衛艦が警告射撃、P3C哨戒機が付近に爆弾を投下し、北朝鮮側まで追い出した。04年の中国の原子力潜水艦の際は領海を出た後の発令で、海自は発砲を回避した。
政権の舵取りを失いつつある麻生自公政権が、何を急いでソマリア沖への「自衛隊派遣」を急ぐのでしょうか。
海賊対策は、あくまでも海上保安庁による警察活動であることは、以前から指摘していました。
マラッカ海峡での海賊対策には、インドネシアに対する海上保安庁の指導援助が効をそうしました。
では、何故・・・・・「海上自衛隊の派遣なのでしょうか」それは、何でも口実をつけて、「自衛隊の海外派遣と、武器使用」の既成事実作りにあるのではないでしょうか。
政府が自衛隊の海外派兵の根拠としている「海上警備行動」も憲法をはねのけて、極限ぎりぎりまで拡大しょうとしているのです。
1) 地理的範囲:日本周辺を想定からアフリカ東部ソマリア沖まで拡大
2) 保護対象:日本人の人命および財産から①日本船籍②国内事業者が運行する関係船舶③外国船舶に乗船している日本人④外国船籍に搭載された日本の積荷
3) 活動主体:海上保安庁が第一義的に保護、自衛隊は補完的役割から海上自衛隊が前面に、海賊の逮捕・司法手続きを海保が補完
4) 武器使用:正当防衛・緊急避難の限定から相手の撃沈も可能となっています。
以上から分かるように、自衛隊の海外派兵と同時に相手が「海賊」とはいえ、先制的な武器使用に道を開くものです。
そうではなく、日本が第一にやるべきことは、海賊派生の根源にあるアフリカ・ソマリアの混乱を根本的な解決に踏み出すことです。
同時に、現在起きている「海賊」に対して、イエメンなどアフリカ東海岸のコーストガードを強化するために、マラッカ海峡の教訓を生かすべきではないでしょうか。
にもかかわらず、国内外政策で漂流している麻生自公内閣が防衛省でさえ尻込みする「海上自衛隊派遣」へ固執するのは、支持率低迷の中で、「何か成果を」との政局がらみの思惑がみえみえです。
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