派遣切られ東尋坊へ 履歴書の裏「これ以上は無理。…」
(2008年12月25日 朝日新聞)
クリスマスイブの24日。日本海にある断崖(だんがい)の景勝地・東尋坊(福井県坂井市)に、千葉県から鈍行電車を乗り継いできた一人の男性がいた。2週間ほど前、勤務先から突然「派遣切り」を告げられた。胸には両親にあてた遺書があった。地元のNPOに保護された男性は「助けてもらった恩返しをしたい」と明日への希望を語った。
「悩んでいるようだけど、お手伝いできますよ」。午前11時過ぎ、東尋坊そばの観覧タワーで疲れ切ったように座り込んでいた男性に、地元で自殺を思いとどまらせる活動を続けるNPO「心に響く文集・編集局」(茂=しげ=幸雄代表)の女性スタッフが声をかけた。「もう大丈夫。世話してやるから安心しなさい」。茂さんの一言にNPOの相談所で男性は泣き崩れた。
茂さんを通じて男性に身の上を聞かせてもらった。男性は30代で千葉県出身。独身だ。東京都内の大手家電店の物流倉庫で2年間働いていたが、今月7日、突然、人材派遣会社から契約の打ち切りと退寮を告げられた。 在来線を2日余り乗り継いでJR福井駅にたどり着いた。東尋坊までの約30キロほどを夜通し歩いた。足もとが明るくなって死に場所を探していると、朝焼けに映える海の美しさに息をのんだ。声を掛けられたのはためらって体を休めていた時だった。作業着にジャンパー姿。所持金は300円しかなかった。
5年ほど前に弟が事故死した。給料24万円のうち、残された弟の妻と子どもに毎月15万円を仕送りしてきた。今春の小学校入学を機に仕送りはやめたが、生活の蓄えは全くなかった。ネットカフェで暮らすようになった。そのカフェで財布を盗まれ、支払いができずに無銭飲食で警察に突き出された。父親に代金を立て替えてもらった。
同じ頃、弟と同学年だった親友が自分同様に派遣契約を打ち切られた。連絡が取れずに実家に電話をすると「死んだ」と聞かされた。理由を聞くと、遺族は泣き出した。心にぽっかり穴が開いた。
就職について地元の市役所などに相談したが、「本気で仕事を探しているのか」とあしらわれた。誰も親身に話を聞いてくれない――。言いようのない絶望感に包まれた。「死んだ方が楽かもしれない」。自殺者が多いと聞いていた東尋坊が頭に浮かび、足が向かった。 長い列車の移動中に遺書を書いた。所持していた紙は白紙の履歴書しかなかった。その裏にこう書いた。
「おやじ、おふくろ、本当にゴメン。最後の最後までめいわくをかけるけど、これが本当に最後だから。いろいろやってみたし、仕事もさがしたけど何をやってもうまくいかなかった。これ以上は無理。……」
今年6月、東京・秋葉原の連続殺傷事件の現場に偶然、居合わせた。走り込んできたトラックに目の前の男性がはね飛ばされたのを見て、119番通報した。逮捕された容疑者が派遣社員だったとニュースで知った。「自暴自棄になっていたのは同じ。一歩間違えば、彼になっていたかもしれない。最低限でも生活が得られるような、人を追い込まない社会であってほしい」。男性はそう話した。
県警坂井西署の統計では、東尋坊で年間25人前後が自殺している。派遣労働者への契約解除が全国で広がりを見せた11月、茂さんらNPOが保護したのは例年の3人前後を上回る6人。うち4人が職を失った派遣労働者だった。茂さんらは、地元の坂井市などに、東尋坊周辺のパトロールの強化や、保護者の生活支援を要望している。
女性スタッフから「来年はいい年にしないとね」と声をかけられた男性は、「はい」と小さな声で答えた。しばらく福井に滞在し、仕事を探すつもりだ。(田中章博)
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「政治が人を殺す」・・・・・このことが全国で顕在化してきました。
自殺の多い福井県・東尋坊で活動するNPO「心に響く文集・編集局」からの報告でした。
就職活動で何度も「不採用」になると、どんな気丈な人でも「自分に自信がなくなる」「私は、世の中に必要がないのかも」などと自己否定する気持ちが顔を出してきます。
しかし、今日の事態は、「派遣切り・住居追い出し」で、一気に生活困難に落とし込められてしまいます。
しかも、「契約途中」という法律違反まで平気で犯してです。
わずかの蓄えも、すぐになくなり、場合によっては「ホームレス」となって当面、雨風をしのぐ生活にならざるを得ない人々がさらに増えてきます。
そうした中で・・・・・他者との繋がりをもてなかった人の中で、何人かの人は「自殺」を考えても不思議ではありません。
それほど「派遣切り」で明日からの生活に光を見いだせない人にとっては、過酷な人生なのです。
これは、けっして派遣社員個人の責任と考えることはできないでしょう!!!
こういう状態になるまで、派遣社員を増やし続けた規制緩和を進めた歴代、自公政権の失政とそのもとで利益を増やし続けたき企業経営者たち・・・・
彼らのもとで、こうした自殺者が出てくると言うことは、「政治失敗や異常な企業利益の追求が、人を殺す」と言っても過言ではありません。
今からでも、政治が困難な国民に手をさしのべ、企業が普通の社会的責任を果たすように全力を注ぐべき時ではないでしょうか。
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ソマリア海賊:海自派遣 新法より早期行動 活動限定的、あつれきも
海賊による事件が多発するアフリカ・ソマリア周辺海域への海上自衛隊派遣にあたり、政府が新法ではなく、海上警備行動を発令する方針を固めたのは、早期派遣のために現実的と判断したためだ。
ただ、武器の使用などで他国の軍隊に比べ自衛隊に可能な活動は限定的。現地で関係国とあつれきが生じる可能性もはらんでいる。 24日の閣僚懇談会。ソマリア沖の海賊対策が話題になった。
金子一義国土交通相が「早急に対応する必要がある」と指摘。河村建夫官房長官も「早急に検討し、万全を期す必要がある」と語った。
閣僚懇談会でのやりとりは伏せられるのが通例だが、河村氏は記者会見で「海賊対策を早期に検討」と自ら発言したことを公表。各国が海賊対策に本腰を入れるなか、日本が参加しなければ「ただ乗り」批判を浴びかねないという懸念もあり、政府の焦りを象徴する河村氏の異例の発言公表だった。
ねじれ国会の下、憲法論議にも発展しかねない新法制定は極めて困難。そのため選択された海上警備行動の発令だが、これに基づき自衛艦が護衛できるのは、日本船籍か、他国船籍でも日本人が乗船している場合などに限られる。また、逃走する不審船が自衛艦の付近を航行しても、武器を使って強制的に停船させることは困難だ。仮に海賊を捕まえた場合に日本で裁判にかけるかなども問題となりそうだ。【古本陽荘】
以前から、ソマリア沖の海賊対策が問題になっていますが、今度、日本から海上自衛隊の派遣が現実味を帯びて、語られています。
イラクに派遣されていた陸上自衛隊に続き、23日には航空自衛隊が、帰国しました。
すでに、イラクへの自衛隊派遣は、4月に名古屋高等裁判所から「違憲判決」とも言える高裁判断がでています。
これに対して、あの多母神氏が「そんなの関係ね~」との発言以外、「自衛隊の違憲行動」について、政府からの公式発言はありません。
戦後初の自衛隊による本格的「海外派兵」について、その内容も含めて、国民の前に明らかにすべきです。
しかし、そんなことはお構いなしに、航空自衛隊帰国後、今度はソマリア海賊対策に「海上自衛隊出動」の議論です。
政府は、隙あらば、何かの理由をつけて、とにかく「自衛隊の海外派兵」の定着・実績作りを狙っているのとしか考えられません。
そもそも、海賊対策は、戦争を前提とした軍事力で対処知るのではなく、警察力で対応すべき「国際犯罪」です。
インドネシア:マラッカ海峡の海賊対策、日本支援で実 「ソマリア」の参考に
インドネシア・ジャカルタ沖で今月4日、日本の海上保安庁とインドネシア側関係機関による海賊対策訓練が行われた。インドネシア・スマトラ島とマレー半島に挟まれたマラッカ海峡はかつて世界最悪の海賊多発海域だったが、海峡の「利用国」である日本の対策支援もあり、近年、件数が大幅に減少した。
アフリカ東部ソマリア沖の海賊に対する国際社会の懸念が高まる中、マラッカでの取り組みが改めて注目されている。【ジャカルタ井田純】
訓練は、武装集団の船が日本の民間船舶を襲撃、負傷者が出たという想定で行われた。インドネシア側から海上保安庁への連絡で、付近を航行していた海保の巡視船「しきしま」が現場に向かい、インドネシア側機関の船と協力して「海賊船」を制圧、ヘリコプターで負傷者を救出するという内容だった。
今回の訓練に派遣された「しきしま」はもともとプルトニウム輸送船の護衛用で、開発時から対テロを想定した海保の中でも特殊な船。全長約150メートル、約6500トンと巡視船としては世界最大で、35ミリ連装機関砲と20ミリ機関砲をそれぞれ2基装備し、ヘリコプターも2機搭載できる。
訓練に先立って日本、インドネシアの報道関係者に船内取材が許可されたが、「メディアの乗船を認めること自体異例」(しきしま乗組員)とされ、速度など船の能力や乗組員数など細かな数字は秘密。船内での撮影は原則禁止で、船橋内部でもメーターなどの機器の一部は覆いで隠された状態だった。
欧州各国が本格的な制圧に乗り出しているソマリア沖の海賊対策に、日本からは海上自衛隊か海保の参加が検討されているが、現有船舶から海保が派遣する場合、能力的に「しきしま」が最有力とされる。
安全保障筋は「海賊は公海上の国際犯罪で、警察権の行使と考えれば海保の仕事。海自にはそうした捜査、法執行のノウハウがない」と話し、今回の訓練内容にも関心を寄せている。
一方、欧州もマラッカ海峡での日本の取り組みに注目している。日本が支援するインドネシア、マレーシア、シンガポールの沿岸3カ国の合同海上パトロールなどで、マラッカ海峡の海賊発生件数は、00年の年間75件から今年上半期には4件にまで減少した。
インドネシアに駐在する欧州の武官などは「3カ国と海域を利用する日本の協力の枠組みが、長期的にはソマリア周辺での活動の参考になる」とみている。
◇インドネシアの機関連携に課題
マラッカ海峡は、日本が輸入する原油のほとんどが通過する最重要のシーレーン(海上交通路)。日本が関係する船舶の航行安全のため、政府は70年代から支援を続けてきた。イ
ンドネシアは日本にとって海賊対策の最重要国で、国際協力機構(JICA)専門家として派遣される海上保安庁の要員も、昨年までの1人から3人に増員された。
インドネシア政府が現在取り組む課題は、日本の海上保安庁に相当する沿岸警備隊の創設で、日本の支援もここに主眼が置かれている。
日本では海保に集約されている海上治安、海難救助、災害対応などの役割が、インドネシアでは、海軍、海上警察、運輸省海運総局、海洋漁業省など多機関にまたがる。
権限の範囲もあいまいで、「各機関は腐敗と利権あさりを競っている状態」とも指摘される。 今回の訓練でも、関係機関の中で最大の実力を持つ海軍が土壇場で参加をキャンセル。それぞれの立場の違いが垣間見え、連携に課題を残した。
このように、その取り締まりの中心は、沿岸警備、日本では海上保安庁が第一次的にかかわるのが妥当な課題です。
それを飛び越して、一気に「海上自衛隊」の出番を論議する、麻生政府の浅はかさと、自衛隊海外派兵を熱望する意見・勢力の行動から目が離せません。
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