研修医278人 違法バイト…厚労省全国調査 04年度から4年 別病院で診療
大学卒業後の初期研修中に違法なアルバイト診療をしていた研修医が、臨床研修制度が義務化された2004年度から昨年度までに、研修医の所属する61病院、278人に上っていたことが8日、厚生労働省の調べで明らかになった。
経験の浅い研修医のアルバイト診療は、医療事故につながる危険性が高いことなどから、04年施行の改正医師法で禁止されている。
違法バイトの全国的な状況が判明したのは初めて。今回の結果は、保健所の定例検査で偶然見つかったケースや研修病院の自主報告を集めたもので、氷山の一角の可能性もある。
04年度に導入された臨床研修制度では、研修医は国の指定基準を満たした研修病院のプログラムに基づき、指導医のもとで研修、それ以外の診療はできない。
今回判明したのは、厚労省の地方厚生局が07年度中に把握したケース。それによると、違法バイトは04年度から07年度にかけ、近畿地方の39病院で161人、関東信越の19病院108人、九州の1病院5人、北海道の1病院3人、東北の1病院1人が確認された。
いずれも所属する研修医が、プログラムにない別の病院や診療所に出かけ、単独で当直などをしていた。病院の当直代は1日5万円程度が相場とされる。
違法バイトが確認された研修病院は、大学病院が16施設、一般病院が45施設だった。聖マリアンナ医大病院(川崎市)では、30人の大量違反があった。兵庫医大、大阪大などでも確認されている。厚労省は「研修病院側が組織的に関与したケースはない」としている。厚労省は違法バイトのあった研修病院に対し、研修医の管理徹底を指導。
08年度からは、研修医の定員を削減する罰則を科することにしたが、今のところ違反は確認していないという。07年度以前の違反に対しては罰則は適用されない。
制度創設の検討に携わった東大病院総合研修センター長の北村聖(きよし)教授は「制度本来の趣旨を無視したもので、極めて問題だ。病院側の管理にも問題がある。違反者を出した病院は、研修病院の指定を取り消すなど厳正な処分が必要だと思う」と指摘している。
臨床研修制度 専門に偏りがちだった従来の研修を見直し、総合的な診療の基礎を身につけることを目的に、卒業後2年間、内科、外科などを幅広く回る初期研修が04年度から義務化された。全国に2か年度分を合わせて約1万5000人の研修医がいる。
[解説]給与格差や医師不足 背景
研修医の違法アルバイトの背景には、処遇改善が不十分な研修病院や、医師不足のため、労働力としてアルバイト派遣を求める地域病院などの現状がある。
04年度に義務化された研修制度には、それまで低収入で酷使され、アルバイトで生活費を稼いできた研修医の処遇を改善し、研修に専念させる狙いもあった。
国は、給与の目安を月30万円程度とし、昨年度まで、病院に対し、研修医数に応じて教育指導費名目の補助金も交付してきた。ただ、実際の給与は病院の裁量に任され、格差が大きい。
医師不足に悩む地方では、月50万~60万円に加え宿舎を用意するところもある一方で、都市部では20万円に満たないところもある。
大量違反が発覚した聖マリアンナ医大病院では、給与は月19万円。病院側は「問題発覚を受け増額した」としているが、これでも「最低額の部類」(厚労省医事課)。
違法バイトを20~30回繰り返していた一部の研修医は「生活費が足りなかった」としているという。よい医者を育てることは、すべての国民にかかわる重要な課題だ。(医療情報部 高梨ゆき子)
現行の新臨床研修制度の下での研修医の「違法アルバイト」は、容認されるものではありません。
しかし、同時にそうした形で収入源を補わざるを得ない研修医の於かれている状況にも率直に目を向ける必要があるのではないでしょうか。
記事の中に出てくる「月収19万円」の給与だけで、研修医が臨床研修に専念できる訳がありません。
ましてや、それだけでどのようにして社会生活せよと言うのでしょうか・・・・・私には、先日お会いした「高学歴ワーキングプア」的な大学院生が二重写しになります。
彼は、研究や論文作成の合間を縫ってコンビニでアルバイトをしながら生計を立てていました。こうしたパターンは、今や当たり前になっているそうです。
国立大学の「独立行政法人化」は、研究現場でさえ、非正規雇用者やパートタイム労働者の比重が増加し、予算的に言っても新たに研究者の雇用の場を減らし続けています。
優秀で研究熱心な若手研究者がその能力を発揮する場が、狭められているのです。
40~50年前に勃発した、我々の先輩たちによる「インターン闘争」は、卒後1年間のインターン期間中の権利と経済的保障を求めて行われたものでした。
それから半世紀近く経つ今も、「研修医の経済的保障」の不十分さが続いているのですから・・・・・。医療と医師養成にかける国の考えの貧弱さには、立腹を通り越してしまいそうです。
今回指摘されているように、明らかにされた数よりも実態ははるかに多くの研修医が「アルバイト」で生計を維持していることが予想されます。
同時に、医師不足にあえぐ地域病院における現場の大変さも理解できないわけではありません。
厚労省は、そうしたことに配慮して罰則だけではなく、「バイトをしなくても研修に専念できる経済的な保障」を考えるべきなのです。
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