「若者の死」(8月29日 北海道新聞 卓上四季)
現地に行かなければ何も始まらない。若者は、アフガニスタンでの支援活動を望んだ理由を、志望動機にそう記していた▼日本の非政府組織(NGO)「ペシャワール会」の伊藤和也さん(31)が武装グループに拉致され、変わり果てた姿で見つかった。こんなことがあっていいのか-。異国の人々に役立ちたいという夢を、理不尽にも断ち切られた心情を思うと、怒りとやり切れなさがふつふつと込み上げてくる▼学生時代に農業を学び、その知識を生かしコメやサツマイモの栽培を指導した。現地の言葉を話し子供たちからは「カズヤ、カズヤ」と慕われた。拉致された時には大勢の村人が犯人グループを追いかけた▼その一つ一つのエピソードが、この五年をアフガンにかけた若者の姿を物語っている。伊藤さんは現場で懸命に生きた。人々の輪に溶け込んで、復興に尽くした▼この夏、一時帰国した同会現地代表の医師、中村哲さん(61)にお会いした。ほんの二週間前のことだ。そのとき中村さんは「治安は悪化するばかり。しかし引き下がるわけにはいかない。復興のモデルをつくりたい」と話していた▼拉致現場となったブディアライ村付近では用水路が開かれ、干ばつで砂漠化した地が沃野(よくや)によみがえった。伊藤さんら同会スタッフと農民の汗の結晶だ。再び田畑を干上がらせてはなるまい。それが志半ばで逝った若者の心だろう。
伊藤和也さんの死が、アフガン復興支援、NGO活動、ボランティア活動、国際支援などについてこれから大きな議論が巻き起こるものと思われます。
そうした中での伊藤和也さんが記したペシャワール会への入会・志望動機を読むにつけ胸の中に熱いものがこみ上げてきます。
弱者への思いやり、アフガンの子供達への溢れるような愛情、何よりも現地の人々の生活にとけ込み、苦楽を共にしてきた伊藤さんの姿が目に浮ぶようです。
そして、伊藤和也さんの「死」という重大事態にあっても、中村哲先生の言葉・・・・「しかし、引き下がるわけにはいかない・・・・」の中に、彼らの本当の意志を感じ取ることができました。
札幌の地からでもできる限りの支援を彼ら「ペシャワール会」へ!!
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