厚労省「通知」は医師の裁量権侵害
 医師が再診時に算定できる「外来管理加算」について、厚生労働省が出した医療機関の診療内容を細かく規定した「通知」に対し、神奈川県保険医協会822日までに、「医師の裁量権を侵害し、現場のモチベーションを極端に低下させる」として、通知の撤回を求める見解を発表した。

 「外来管理加算」については、4月の診療報酬改定で、その算定要件として「おおむね5分を超える診察(“5分ルール)」が導入された。
 

 厚労省は、“5分ルールに伴い、診療所全体の減収を約200億円と想定していたが、日本医師会や全国保険医団体連合会などの試算では800億円前後となっており、厚労省の予測と医療現場の実態が大幅に乖離(かいり)している。

 この“5分ルールに関し、厚労省は21日、「『外来管理加算』を算定するに当たっては、医師は丁寧な問診と視診、聴診、触診など詳細な身体観察を行い、患者に病状や療養上の注意点などを懇切丁寧に説明する」などの「通知」を示した。
 

 この中では、「(患者に)提供される診療内容の事例」として、「今日伺った話では、『前回処方した薬を飲んで、熱は下がったけれど、せきが続き、たんの切れが悪い』ということですね」「診察した結果、のどの腫れなどは良くなっているし、胸の音も問題ありません。前回に比べて、ずいぶん良くなっていますね」-など、医師が患者に伝えるべき内容をセリフ仕立てで例示している。
 

 その上で、“5分ルールについて、「患者が診察室に入室した時点を診察開始時間、退室した時点を診察終了時間とし、その間、一貫して医師が患者に問診、身体観察、療養上の指導を行っている場合の時間に限る」と規定している。

 同協会は、“5分ルール導入の4月以降、「患者の待ち時間の延長や労働時間の増加による医療者の過労などの問題が起きている」と指摘し、「医療の質や技術を時間で評価することは無理で、医療の実態を無視した診療報酬による経済評価は論外」と厳しく批判。診察についても、「その概念を勝手にねじ曲げた上、看護師の予診や待合室でのトリアージなどを無視して限定的に解釈し、チーム医療を否定する」と指摘している。

 診療内容の事例を細かく規定していることに対しては、「極めて異例で、診療報酬の歴史で初めて。診療報酬の算定についての通知に診療内容の規定を盛り込むこと自体がおかしく、だから、これまでに今回のような通知はなかった」と強く反発し、「通知は、医療機関の診療報酬の審査や個別指導の際の論拠で、これを基に医療者を縛り付けることは許されない。診療介入と言っても過言ではない」などと、通知の即時撤回を要求している。

 “5分ルールの影響については、同協会も神奈川県内の2826の診療所と181の中小病院(200床未満)を対象に実施。診療所では、58.4%で算定率(再診時に外来管理加算を算定できた割合)が減少し、平均減収額が約163万円に、中小病院では、72.8%で算定率が減少し、平均減収額が約336万円になっている。
更新:2008/08/22 11:03   キャリアブレイン

これまでいわゆる「5分ルール」は、医療現場から大きな不評を巻き起こしていました。

実際の診療現場での医療者と患者さんのやりとりはとうてい5分などと言う「時間」で計ることはできません。

そうしたことを無視して、医療費削減に走る政府・厚労省の官僚達が、医療費削減のためだけに考え出した「妙案?」でした。

その結果、日医や神奈川保険医協会の試算では800億円に上る医療機関の減収になっているのです。

これは、診療報酬を「5分以上だと増やす」のではなく「5分以下だと減らす」内容だったことは明らかです。

医療内容の向上のためには、各医療者が、患者さんと十分な時間をとりながらお互いが納得できるまで面談する時間を確保されることが最低限の保障です。

1)政府・厚労省は、「5分間」がどうかではなく、ゆとりある医師労働を保障するために、医師の大幅な増加をはかること。

2)そして、1人1人の患者さんと充分な時間をとって診療できるような、診療報酬の引き上げを行うべきではないでしょうか。

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