「戦争は人類に多くの利益をもたらしてくれた」。坂口安吾が逆説的に振り返る。民族や文化が交流し、科学と文明が進んだためだ。だが原爆で事態が一変した。「兵器の魔力が空想の限界を超すに至って…もはや、戦争をやってはならぬ」(戦争論)
▼武器があれば試したくなる。ベトナム戦争の当時、ニクソン米大統領がキッシンジャー補佐官と議論した。発電所や港への攻撃拡大を主張する補佐官に、大統領が言う。「わたしは、核爆弾を使いたい」
▼補佐官は驚いた。「それはあんまりです」。大統領は譲らない。「核爆弾だよ。心配なのか。君には大きなことを考えてほしい」。やりとりの録音テープが残っている。結局、核使用は断念した
▼先日はロシア軍幹部が「核攻撃の目標になる」とポーランドに警告した。ミサイル防衛施設の配備で米国と合意したことへの反発だ。いわく「こうした標的は真っ先に破壊される」
▼核保有国パキスタンでは、ムシャラフ大統領が辞任した。政情が揺らいでいる。百五十発とされる核を持つ国だ。核兵器や核技術は、きちんと管理されるのか。イスラム過激派などへの流出は大丈夫か。不安が膨らむ
▼ニクソン氏のような人物は、どこの国にも現れ得る。側近の制止を聞く保証はない。核廃絶を進めるしか道はない。「戦争は終わった…こりることを知らねばならぬ」。安吾の言葉は真実だ。
今日、広島での原水爆禁止世界大会へ行ってきた若い看護師さんから「核の恐怖」について聞く機会がありました。
核兵器の恐怖は、いっこうに減ってはいません。
それどころか、核兵器は増加の一途をたどっているではありませんか!!
一度戦争が起こると、その「勝利」のために可能な手段を駆使する思考が働きます。ベトナム戦争でのニクソンのようにです。
今回のロシアによる対ポーランドへの対応も将来へ不安の残す内容です。
核兵器廃絶の課題は、もはや誰にも反対のできないものです。
そして、その使用をも阻むために、戦争起こしてはなりません。
坂口安吾の言葉が光を帯びてきます。
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