能登半島の付け根にある富山県氷見市の中心部。古びた病院の外壁に真新しい「金沢医科大学氷見市民病院」の金文字が光る。市立病院の運営を同大に委託する「公設民営」体制は4月にスタートしたばかり。医大が直接、公立病院の立て直しに乗り出す全国初のケースだ。
「火中のクリより大変なものを拾ってもらった」。堂故茂(どうこ・しげる)市長は隣県からやって来た新たなパートナーに、経営効率化と医師確保という一石二鳥の効果を期待する。しかし、医師を派遣する側の"学閥"のあつれきは大きく、改革は冒頭から足踏みしている。
民営化前の病院は新医師臨床研修制度の影響で医師不足に見舞われていた。2004年に40人いた常勤医は次々に派遣元である地元の富山大などに引き揚げられ、06年4月には33人に。
さらに収益源の脳神経外科医の引き揚げ通告が追い打ちを掛けた。医師残留の陳情で大学の教授室へ何度も足を運んでいた堂故市長は「従来のような大学との連携はもはや限界」と判断、07年春に民営化を決める。半年後、能登半島全域をカバーする新しい病院経営を検討していた金沢医大を管理者に指定した。
ところが皮肉にも、医師確保を目指した改革が医師不足を加速した。富山大出身の医師ら20人が「金沢医大」と冠した病院名や、新人事制度に反発、新体制への移行と同時に退職してしまう。
富山大出身の加藤弘巳(かとう・ひろみ)前院長は「名称問題を話し合うはずの協議会も開かず、病院に尽くしてきた現場に赤字の責任だけ押し付けた」と怒りを隠さない。
金沢医大からの補充はあったが、常勤医は民営化前の数を下回り、脳神経外科も欠員のまま。民営化を嫌った看護師の退職も相次ぎ、一部の病棟は休止している。
金沢医大から赴任した高島茂樹(たかしま・しげき)院長は「医師の欠員は1年以内に解決する。実績を示し、看護師や住民の信頼を取り戻したい」と「生みの苦しみ」を強調するが、安定した医師確保のために必須の富山大との関係修復は見通しが立っていない。
入院中の男性(86)は「どこの医師だろうと関係ない。病院が残れば」と語った。新体制はこれから正念場を迎える。
▽新臨床研修制度
新臨床研修制度 免許取得後の医師に病院での研修を義務付ける制度。従来は出身大学での研修が通例だったが、2004年の制度改革後、症例の多い都市部の民間病院を研修先に選ぶ医師が増加。研修医を確保しづらくなった大学病院が地方の公立病院などに派遣していた医師を引き揚げる動きが相次ぎ、地方の医師不足の一因となった。(2008年8月19日 共同通信) ===========================
こうした実態を「学閥のあつれき」として、見ることは一面的ではないでしょうか。 医療界での「学閥」なるものは、今となっては過去の遺物になりつつあります。
医師不足・経営難を抱えた氷見市立病院の再建策として行われた金沢医科大学による「公設民営化」路線は、赤字公立病院再編の「積極例」として総務省が乗り気になっていたものです。
公立病院が赤字に陥る三重苦(医師不足・診療報酬引き下げ・地方交付税の減額)に手を付けないで、「民間に移行すれば経営が好転する」という、いまや時代遅れの「新?自由主義」的発想で強行されているところに問題があるのです。
経営第一主義が幅を利かせてくると、医療現場の意見が十分くみ取られず、病院運営も官僚主義的、上位下達のやり方横行してくるのではないでしょうか。
そういうことが、現場で苦労しながら働く医師・医療従事者から「希望と情熱」を抜き取り、結局は彼らを病院からの退職に追い込んでいるのです。
私は、富山大学と尾金沢医科大学の「学閥のあつれき」という見方では本当の解決の道に初ながらないと思います。
北海道でも、地域や働く医師の実情を無視して、経営的利益を中心にした公的医療機関の再編が成功せず、残されたのは、医師の退職と病院収益の減少だった事例があります。
しかし、よく考えてみると、こうした「公的病院の再編」が失敗して、結局は病院が破綻してゆくと、政府厚労省が狙う全国的な「病床削減」がジワリと実行されているものと考えられます。
医療現場を締め上げ、病院の中に「内紛」を起こさせ、医師には「苦渋の選択」を迫り、その結果病院がつぶれ、病床削減を達成してゆく・・・・狡猾な官僚たちが計画しそうなやり方です。
こんなことに負けて入られません!!
住民・自治体・医師・医療従事者たちが一緒になって、地域の実情に合わせた地域公立病院のあり方を、確立する時期ではないでしょうか。
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