倉敷市にある大原美術館は日本で初めて誕生した私立の西洋美術館だ。エル・グレコやモネらの傑作が並び全国にファンを持つ。一九三〇年の開館以来、入場者は優に三千万人を超す
▼つくったのは倉敷紡績の社長だった大原孫三郎。海外旅行がままならない時代、画学生や市民に美の神髄に触れてほしい、と考えた。その発想と実行力は社会事業家と呼ぶのにふさわしい
▼二十六歳で家督を継ぎ社長になる。一九〇六年、「女工哀史」の時代のことだ。まず手がけたのは毎日十二時間働く女性工員の待遇改善だった。大部屋詰め込み式の宿舎をやめ、代わりに小さな平屋で花壇つき宿舎を大量に建設した
▼診療所もつくった。やがて労働時間も短縮したが、温情主義や人道主義と呼ばれるのを嫌った。弱い立場にある労働者の人格を重んじる「人格主義」だと語っている
▼実業家としても一流だったようだ。積極果敢な合併などで、地方の一企業だった倉敷紡績を全国大手に育て上げた。会社と工員の間に入って中間利益をむさぼっていた飯場(はんば)制度も廃止した。いまで言えば派遣の廃止・正社員化に近い
▼非正規雇用が増え、五人に一人が年収二百万円以下の現代。本年度の最低賃金の引き上げも、時給七-十五円の幅にとどまる。「哀史」は昔の話ではない。大原のように働き手の人格を尊び社会変革の志を持つ経営者はどこかにいないか。==============================
今から100年前、「女工哀史」の時代に行った倉敷紡績の社長大原孫三郎氏の「英断」は、今日の市場原理至上主義の下で、「お金儲け」に血道をあげている企業経営者には、どのように映っているのだろうか。
非正規雇用が「見直し」されようとしている昨今、企業経営者は、「企業とは何か」「企業の社会的責任は何か」・・・・「労働とは何か」「労働者が暮らす社会とはどうあるべきか」などを真剣に考える時期に来ているのではないでしょうか。
働く人があっての企業。そこに働く人々が、労働に誇りと希望を持ち、明日の生活に安心感を持つことができるのを切実に求めていることは、いまや常識となっています。
一時、もてはやされた企業・職場での「成果主義」も労働者の働く意欲や企業へのロイヤリティーの低下で、見直しが語られ始めました。
そして、不安定雇用が蔓延している今日の社会では、明日への希望を持つことができず、自己の「存在意義」を確認し得ない若者が、「反社会的行動」に出ざるを得ない現象も続いています。
もちろんそうした行動に出ることには、まったく正統性はなく、絶対にみとめることはできません。
しかし、この間、非正規雇用での人件費切り下げと企業減税で、利潤を大幅に増やしてきた企業には、それなりの「社会的責任」のあることには、異存はないはずです。
また、それを容認してきた、歴代自公政権にも大きな責任のあることはいうまでもありません。
新自由主義と市場原理至上主義に凝り固まっている企業経営者は、今こそ、100年前の大原孫三郎氏の人となりを振り返るべきではないでしょうか。
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反ー貧困全国2008キャラバン~人間らしい生活と労働の保障を求めて、つながろう!
反ー貧困ネットワークをつむぐため、8月8日全国キャラバンの札幌集会がもたれました。札幌弁護士会、釧路弁護士会、札幌司法書士会が後援して、実行委員会が主催して開催されました。
第1部<働いても当たり前の暮らしができない・そもそも仕事がない>では・・・・
非正規雇用として働いている若者やホームレス経験者から、その過酷な実態が話されました。
また、規制緩和のもとで劣悪な労働条件が当たり前となっているタクシー労働者からは、タクシーそのものの安全性が危ない実態も報告されました。
第2部<セーフティーネットが機能していない 生活保護・障害者・多重債務問題>では・・・・・
生活保護家庭や障害者の方から、母子加算の廃止や「障害者自立支援法」による生活困窮の進行している深刻な実態が報告されました。
私は、この種の集会に参加して、それぞれの現場で苦闘している人々の口から始めて直接お話を聞くことができました。
「貧困」といわれても、自分の身の回りからは、なかなか感じることができない場合があります。
しかし、よく目を凝らしてみると、今は、表面的には、貧困とはいえないとはいえ、失業や病気をきっかけに、一気に「貧困」の中に放り込まれる危険性のあることがよく分かりました。
「自分は貧困とは言えない」とは考えずに、現在の政府・与党が進める社会福祉・医療・労働政策では、「何かのきっかけで、誰もが貧困になりうる」のだということに想像することが大切だと思いました。
そして、現在の「貧困」の実態をより多くの人が共有することの重要性もわかりました。
「貧困」の予防や「貧困」解消を考えてゆくと、どうしても労働のあり方、教育制度・内容のあり方、社会保障・労働政策のあり方など、現在の社会の変革への道筋を考えざるを得なくなってきます。
そうすると、「貧困」の問題は、現在「貧困」で困難な状況にある人たちのみならず、「貧困」とはいえない人々も力を合わせて社会の在りを考えてゆくことが重要になってきます。
もちろん、生活と密接な関係にある、人々の健康・や生命にかかわる仕事をしている、われわれ医師・医療従事者も全く無縁ではないのです。
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