栃木県の鹿沼労働基準監督署が、2002年6月に自殺した男性外科医(当時38歳)について労災を認定していたことがわかった。男性の遺族らが27日、明らかにした。
遺族や代理人の弁護士によると、男性は00年12月から勤務先の埼玉県内の市立病院での残業時間が毎月80時間を超えるなど長時間労働の状態にあった。
02年5月に栃木県内の民間病院に転勤を強いられ、内視鏡検査で患者の大腸に穴を開ける医療事故を起こした時にも、同僚や上司から十分な支援を得られなかった。
そのため、男性はうつ病となり、自殺に至ったという。代理人の川人博弁護士は「医師の数が決定的に不足している。この問題を解決しない限り、医師の過労死はなくならない」と指摘している。
2002年当時、医療現場ではすでに始まっていた「医師不足と長時間過密労働」が、男性外科医を自殺に追い込んでいました。
しかし、それが「労災」だと認定されるまでには、6年の歳月を必要としていました。
今では、「医師不足」が社会の共通認識になりつつありますが、当時はまだそうした状況ではありませんでした。
根本には、そういう状態を放置していた医療行政と労働環境でありますが、今から考えるともっと早くから世論つくりに到っていなかった自分に対しても厳しく反省しなければならないと感じています。
現在でも、「医師不足と長時間過密労働」は解決されるどころか、ますますその度合いが深刻化しているのが実態です。今では、大都市でも「救急医療」や「産科救急」が崩壊し始めています。
これは、医療全体の崩壊の序章に過ぎません。
医師・医療従事者と患者さん、国民の皆さんが気持ちをひとつにして、「医療費削減反対」 「国民の医療充実」 「医師を増やそう」の世論を高めるべきではないでしょうか。
4月からは、全国で各学会の年次総会が始まります。日本外科学会などすでに「医師不足」に対して、声明を発表して学会としての取り組みを始めているところがあります。
まだ、そうした動きのない学会でも、今年こそはそうした問題を取り上げて学会員と世論に訴えてほしいものです。
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高齢者医療制度は二年前に成立した医療制度改革関連法の具体化の一つで、その後各自治体は準備を進めてきた。スタート直前になり地方議会で相次いで見直しを求める意見書が採択された。新制度の内容がわかりにくく、それが最近ようやく知られてきて高齢者の不安が高まったことを受けてのものだ。
昨秋に保険料徴収の一部先送りが決まったこともあり、一部自治体ではシステムの変更が遅れ、保険料の年金からの天引きが間に合わないなど混乱も見られる。
新制度は国主導の現行の老人保健制度と違い、都道府県単位で運営され、医療費が高い都道府県ほど保険料は高くなる。高い都道府県が予防に力を入れ、医療費の伸びを抑制することが国の狙いだ。
高齢者は従来の国民健康保険に代わり新制度でも保険料を払う。医療費の一割で、収入が多いと負担増、低いと負担減になる。
問題の一つは、子どもの扶養家族の約二百万人の高齢者も七十五歳になると保険料を求められることだ。年齢の違う高齢者の夫妻が別々の制度に加入し、一方だけが保険料を払う事態が生じる。
保険料の「激変緩和」でことし十月までの半年間は負担はなく、その後も一年半は大幅に軽減される。こうした特例がなくなったあと保険料を負担できない高齢者が受診を控えることも懸念される。手遅れになるような最悪の事態があってはならない。きめ細かい負担方法の検討が必要だ。
保険料の負担割合は若年人口の比率の低下に応じて一割を超えて上がる仕組みが導入されている。
現役世代とのバランスをとるとはいえ、高齢者にとって将来、保険料がどこまで上がるかは大きな不安だ。将来、負担割合に上限を設けることなどを考えるべきだ。
新制度に問題が多いため、野党四党は今国会に廃止法案を提出している。とはいえ現行の医療制度には無駄が多く、このままでいいとも思えない。野党もぜひ改革への提言をしてもらいたい。
高齢者の増加に伴い、医療費の増大は今後も避けられない。無駄を省きつつ、不足する財源をどう賄うか。政府の歳出全体の中での優先順位の議論に与野党、国民が真剣に取り組むときである。
多くの国民や地方自治体の反対にもかかわらず、「医療費削減」のためだけに自民・公明政権が強行するものです。
この「制度」が持つ、欠陥や批判されるべきところは、数多く指摘されています。
75歳に線を引いて、その前後で医療内容に「格差」をつけることは、「75歳をすぎたら、医療はほどほどにしてください」というものです。つまり、早めに「鬼籍」にお入りくださいといわんばかりです。
臨床現場でも、75歳を過ぎてもお元気で十分い社会的役割を果たす方々が大勢いるのは当たり前ではないでしょうか。
また、徴収される保険料の多さと徴収額の上限の不透明さは、高齢者に将来不安をきたすことになります。
野党4党は、共同でこの制度の撤回を合意しています。
次期総選挙には、この制度への態度を公約の試金石にして、参議院同様に衆議院でも「与野党逆転」を果たしてほしいです。
そして、早い時期に「後期高齢者保険制度」の撤回を実現してほしいものです。
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六十三年前の沖縄戦。慶良間諸島で起きた住民の「集団自決(強制集団死)」への軍関与の史実について二十八日、司法が踏み込んだ判断を示した。被告の大江健三郎さんは、著書を「しっかり読んで下さった」と評価。
被告側支援者らは、涙を浮かべて喜び、元戦隊長ら原告は、顔をこわばらせた。被告側を支援してきた県内の関係者らは「判決は当然。ほっとした」「次は教科書の記述復活だ」と、一様に歓迎した。悲劇の舞台の一つ渡嘉敷島は、くしくも六十三回目の「あの日」。遺族らが犠牲者の名を刻んだ白玉之塔に手を合わせた。
「裁判所が私の『沖縄ノート』を正確に読んで下さった」「新しい証人の声をよく聞いてくれた」。判決の言い渡し後、大阪司法記者クラブで開かれた会見。作家の大江健三郎さん(73)は原告側の訴えを一蹴した司法判断について、落ち着いた表情でよどみなく言葉を連ねた。
「個人の名を挙げて、彼を罪人としたり、悪人としたりしていない」と著書の記述が元戦隊長個人を誹謗・中傷したものではないとあらためて強調した。
また、「裁判の背景に大きな政治的な動きがあった」と指摘。二〇〇三年の有事法制の成立、〇五年の「集団自決」訴訟の提起、〇七年の教科書検定で「集団自決」の記述から軍の強制性が削除された問題が、一連の流れの中で起きたと述べた。
当然といえば当たり前の「判決」でした。
しかし、安倍前内閣の元で、教育基本法が改悪され、憲法改定までもが日程に上げられようとしている今日の時勢で、なされた『勝訴』は、大きな意義を持つものです。
大江さんの「裁判所が著作をしっかり読んでくれた」というコメントが、大江さんの裁判に対する自信と誠実さが表れているように思われます。
原告側は、高裁へ上告するとのことですが、これからは、裁判上でのかかわりとともに、国民の中でも落ち着いた深い議論が大切だと思います。
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