昨日、札幌でNHKチーフプロデューサー春原雄策(すのはら ゆうさく)氏の講演を聞く機会がありました。  

春原氏は、NKHスペシャル「ワーキングプア」を作成した報道局のチーフプロデューサーをされている方です。 

講演内容は、「ワーキングプア」3部作の制作動機、制作過程、そして、番組のなかで報じられた人々のその後を、プライバシーに十分な配慮を配りながら報告してくれました。 

講演を聴いていて、NKHスペシャルを最初に見た時、その後、もう一度深夜の再放送でもう一度確認を内容で胸の締め付けら得る思い三度目に体験することになりました。 

そして、我が国の「ワーキングプア」は、自然発生的に出てきたたものではなく、作り出されてきたものであること。

特に、小泉内閣以来、強引に進められてきた「新自由主義」・「市場原理主義」に基づく政治・経済運営が「格差と貧困」をより深刻なものとしてきました。 

その結果、働いても・働いても、生活水準の上がらない、「ワーキングプア」とならざるを得ない人々が「増産」されてきたのです。 

全就労人口の1/3が、非正規雇用という現実が、多くの労働者に低賃金・無権利労働を「定着」させているのです。 大企業に集中する戦後日本の最長の「好景気」は、こうした非正規雇用と「ワーキングプア」を作り出して初めて実現されたものではないでしょうか。 

さて、いま問題なのはその「ワーキングプア」の増加が加速してきたことです。 

公称100万世帯の「生活保護家庭」でも、その背後に隠されている「生活保護」になれない「極貧家庭」の存在があります。 

現在、「生活保護」を受けるためには、預金や資産をゼロにしなければならないと同時に、家庭や個人のプライバシーもすべて明らかにしなければならないこともあります。

強いては、「人間としての尊厳」までも投げ捨てなければ「生活保護」を受けることができない場合もあるのが現実です。 

こうした、貧弱な社会保障政策にも「ワーキングプア」増加の一因があるように思われました。 そして、番組でも紹介された「ホームレス」問題は、一方で深刻な問題を提起していました。

始めは、経済的な困難で「ワーキングプア」そして「ホームレス」になって行くと、人や社会とのつながりが希薄になる「社会的な孤立」の状態になってきます。 

そこで提起された問題は、「働くことの意味・価値」についてでした。 ホームレスのかたが「働くことで、社会とのつながりを取り戻し、人間としての尊厳を回復させる」ことは、すべての人間に共通する普遍的な課題としてあり続けると思います。 

番組に登場したホームレスの岩井拓也(仮名)さんが、三鷹市でホームレス支援の仕事に従事して行く中で、人間としての「普通の感情」を取り戻し、「生まれてきてよかった・・・」と涙した場面は、私の心に深く刻み込まれました。 

春原雄策氏は、NHKスペシャル「拉致~家族 空白の25年」(2002年)「よど号と拉致」(2003年)「奥克彦大使イラクでの足跡」(2004年)「フリーター漂流記」、「一人団地の一室で」(2005年)「ワーキングプア」、「ワーキングプアⅡ」(2006年)「ワーキングプアⅢ」(2007年)など、これまでもNHKスペシャルを中心に、ドキュメンタリー番組を制作しています。 

最近のマスコミ報道にクエスチョンがつけられることの多い今日、春原雄策氏らのこれからのご活躍を願ってやみません。

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