去年12月に始まった認知症キャンペーン。
「歳だから仕方がない」、「絶望の病」といった“古い常識”を一掃するため、認知症は早期発見によって治療の可能性も広がっているという研究の最前線を伝えてきた。
しかし、NHKに寄せられた患者・家族たちの声からは、認知症の人々をめぐる「医療」の問題が、課題として浮かび上がってきた。
「年相応の物忘れと言われている間に症状が進行してしまった」、「どこに行けばいいのか?」という患者・家族の叫び。また、たとえ認知症と診断されても、在宅や施設での暮らしに医療がほとんど手をさしのべていないという実態。認知症は「診断までが医療、その後は介護」という意識が根強い中で、認知症の人々は必要な医療を受けられずにまさに“見過ごされている”のだ。
1月20日NHKスペシャルは、認知症をめぐる医療体制がテーマでした。
番組冒頭は、医療体制への評価というよりは、認知症にたいする診断と治療における患者さんとご家族の不満が続きました。まるで「医師バッシング番組」かのようでした。
確かに、「統合失調」と誤診されたり診断の遅れによる患者さんの苦痛は、痛いほど良くわかります。
だからこそ、多くの医療従事者は、患者さん家族のために「医学と医療の充実」に心を砕いているのが現状ではないでしょうか。
さて、今回の認知症に限らず、医療現場の矛盾の最大の原因は、「超多忙さ」にあります。
番組の中で「認知症専門医」の不足が指摘されていましたが、不足しているのはこの分野だけではありません。
産婦人科や小児科医、外科医や救急医療など、日本の医師全体が不足しているのは言うまでもありません。
こうした「日本の絶対的医師不足」を解決してゆく中で始めて、「認知症専門医」が充実してくるのではないでしょうか。
もちろん、現在地域医療のど真ん中にいる私たちも、さらに認知症に対する研鑽を深めることは、医療水準の向上のために必要なことです。
これは、「全国医師連盟」でも提起している「医師の自律性の向上」に通じるものと考えています。
「認知症医療」は、医師だけでは成り立たず、臨床心理士や介護現場の従事者、行政など病院と地域でのチームによる総合医療がときに求められる分野です。
一方、こうしたチーム医療を前進させるためには、その財政的な裏づけとなる診療報酬上の手当てが絶対的に必要です。
現在、部分的に行われている「先進的な経験」は、現場の自発的ボランティア精神に支えらているのが現状ではないでしょうか。
これでは、根本的に患者さんの願いに応える体制を作ることは困難です。
一方、番組内で紹介されていた、北海道砂川市立病院を中心とした「地域医療連携」の経験は、行政もかかわっている豊かな経験と思いました。
しかし、砂川市を機軸とした北海道中空知地域の経験は、地域の医療・介護をただ「認知症」だけでなく、総合的に展開しているものです。
大切なことは、行政と財政の裏づけを持った「地域医療連携」の充実です。(その詳細は、別な機会に報告します)
そしてまた、「老人保健施設」への入所者が、介護保険下での「定額医療」のために「認知症」の診断がついても十分な薬物療法ができない現状が報告されていました。
これは、ぎりぎりの経営を強いられている「老人保健施設」にさらに経営的な負担をかける「薬物療法=持ち出し医療」を強制しているからです。
今回取り上げられた「認知症医療」を充実させるためにも地域医療そのものを『崩壊から再生」へ進めるために国と行政の責任が重大なことは言うまでもありません。
こうして、「認知症の医療体制の充実」に大切なことは、その財政的な裏づけとなる「医療費抑制政策」の転換であることが明らかになってきました。
しかし、最後に出席していた舛添厚労大臣が「医療費など社会保障費の増額のために消費税の増税も含めて考えて・・・」と発言していました。
「医療・社会保障費増額要求」が社会の「合意」になりつつある現在、その財言論として「消費税増税」への是非が問われてくることなるのではないでしょうか。
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