「医療現場の犠牲、そろそろ限界」

 日本病院団体協議会(日病協)は10月15日、同協議会が実施した「病院経営の現況調査」報告から「病院医療の崩壊の実態が明らかになった」として、医療費の総枠拡大など4点を盛り込んだ要望を舛添要一厚生労働大臣に提出した。

日病協は同日、厚生労働省内で会見し、実務者会議の斉藤寿一委員長(日本病院会常任理事)が「医療現場の努力で日本の医療を支えてきたが、そろそろ限界」と語り、患者が満足できる医療を提供するには医療費の増額が不可欠との見方を改めて強調した。

 日病協が要望したのは、医療費の総枠拡大のほかに▽病院医療に対する診療報酬上の重点的評価 ▽産婦人科・小児科・救急医療等医療政策にかかわる公私の区別のない補助対象の拡大 ▽大幅な増員による勤務環境の改善―の3点。

 要望の中で日病協は今回の調査結果について、病院経営の悪化や医師・看護師不足の深刻化などから「病院医療崩壊の実態が明らかになった」と指摘。危機的な状況を早急に改善するため、2008年4月の診療報酬改定での「特段の配慮」も求めた。

 調査集計を担当した日病協「病院医療の実態ワーキンググループ」の猪口雄二座長(寿康会病院理事長)は会見で、診療報酬引き下げや医師・看護師不足の影響が絡みあって病院経営を危機的状況に追い込んでいるとの見方を示した。

 実務者会議の斉藤委員長は「日本の医療費の対GDP(国内総生産)比は先進7カ国では最低。そういう低医療費政策をずっとやってきた。医療現場の特別な努力で支えてきたが、そろそろ限界」と強調し、医療費増額の必要性を改めて強調した。

 また「奈良県で起きたたらいまわしは氷山の一角。日本中いつどこでこのようなことが起きてもまったく不思議はない」「どうすべきか国民に問いかけたい」などと述べ、今後は国民へのアピールにも注力する考えを示した。
舛添要一・厚生労働大臣は10月17日に開かれた参議院予算委員会で「次期の診療報酬改定で産科の診療報酬の見直しを確実に行っていく決意」と述べました。

それは、悪いことではありませんが、診療報酬の総枠抑制を前提にしている限り、産科医療に手厚くした分、他の分野で「マイナス改訂」にならざるを得ません。

今回、日病協が指摘しているように、「医療費の総枠の拡大」が、大前提ではないでしょうか。

舛添厚労相の口からこうした社会保障充実のための経済的保障を明確にしてほしいものです。

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 高齢者医療〝見直し〟の声全国波及

 来年4月から実施予定となっている「後期高齢者医療制度」の〝見直し〟を求める声が、全国に広がっている。10月16日までに、同制度に関する意見書を採択した自治体議会は200に上っており、今後も増加すると見られる。

同制度をめぐっては現在、政府・与党が「一部凍結」の方向で検討しており、全国各地に加え医療関連団体などにも波及している見直しへの動きが、どのような影響を与えるか注目される。

 中央社会保障推進協議会などの調べによると、同制度の見直しを求める意見書を採択したのは、全国1,800議会のうち200議会に上っている(10月16日現在、6県議会を含む)。

採択時期は、昨年の12月議会から今年の9月議会までで、24都道府県が回答。都道府県別では、長野県の35議会(県議会を含む)を最高に、岩手県の31議会(同)、沖縄県の23議会(同)、北海道の22議会などに上っている。まだ23府県が未回答のため、意見書採択の議会数は、今後さらに増えると見られる。

 こうした動きは自治体に止まらず、医療関連団体や後期高齢者医療広域連合にも及んでいる。日本医師会は9月19日、「後期高齢者の診療報酬のあり方について」と題する見解を発表。

全国保険医団体連合会も9月20日までに、舛添要一・厚生労働大臣や中央社会保険医療協議会(中医協)などに「後期高齢者医療の診療報酬体系の骨子(案)に対する要望書」を提出した。これらに加え、埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県の後期高齢者医療広域連合なども財政支援を求める緊急要望を出している。

 日医は、後期高齢者の特性として「後期高齢者の約3分の1が『独居』または、いわゆる『老々世帯』での暮らし。(国が進める)現在の在宅偏重の政策は危険を伴う」と指摘。厚生労働省の「総合科医構想」について、「医療の集約化を通じた医療費抑制を狙ったもの。日本の公的医療保険制度のすぐれた特徴は『国民皆保険体制』や『フリーアクセス』などだが、総合科医構想はフリーアクセスを揺るがす」とし「これは断じて認められない」と批判している。

 また、保団連は、同制度がフリーアクセスを否定するほか、「在宅や施設をめぐる現状を無視したまま、入院から在宅・居宅とへと診療報酬で誘導しようとしている」と指摘。同制度は、高齢者差別の老人診療報酬を是としている▽「医療から介護へ」と称して患者から必要な医療を奪う▽公的医療費抑制策から検討されており、「医療崩壊」をくい止める視点がない-などと反発している。

 さらに、埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県の後期高齢者医療広域連合は「政省令の大幅な提示時期の遅れなど、広域連合のみならず区市町村においても大きな不安を抱いている」と危惧。「広域連合が実施する保健(健診)事業について区市町村における特定健診と同様の財政支援を行う」ことなどを求めている。

 同制度では、対象者となる75歳以上の高齢者と65歳以上の一定程度の障害者が新たに保険料を支払うことになる。厚生労働省の推計によると、保険料は月平均6,200円で、毎月の年金が一定額以上ある場合には年金から天引きされる。保険料を滞納すると、国民健康保険と同様、保険証が取り上げられて資格証明書の発行など制裁の対象となる。

 政府・与党は、同制度をめぐり、75歳以上の一部からの新たな保険料徴収などの「凍結」を検討。与党のプロジェクトチームで調整される見込みだが、現段階では来年4月から6カ月間、先送りする案が有力視されている。
2007/10/17   キャリアブレイン
 「後期高齢者医療制度」の矛盾・国民要求とのギャップなどが日を追う毎に明らかになってきました。 

既に200を超える自治体からも「中止・見直し」の決議が上がり、さらに増加しそうな勢いです。 

本制度がもたらすと予想される「負の事態」は、対象となる患者さんをはじめ、実際に担当する医療機関や行政までもが大きな困難を抱えてしまうことも明らかになってきました。 

政府・与党は、「選挙対策」としてではなく、「国民の生命と健康を守る」ことを基本において、政策を検討すべきではないでしょうか。

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