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2008.03.03 17:48 |  研究  |  脳血管障害  |  脳血管内治療  |  侍脳外科医  | 推薦数 : 4

脳梗塞の治療

t-PAが、脳梗塞の治療として使えるようになり2年くらいたちました。この薬により、症状の改善を認めた方も多くいらっしゃると思います。脳梗塞発症から3時間以内という縛りがあり、治療の適応にならない方もいらっしゃったと思います。(6時間以内であれば、条件がそろえばまだ血管内治療が残されていますが)
ただ、使う方にとってみると、使うか使わないか迷う症例があります。診察時に、あまり症状が強くないラクナ梗塞です。一応、NIHSS 4点以下は治療適応外となっていますが、入院後症状の進行を認める症例もあります。そういうとき、t-PAを使っておけば、と思う事もありますし、やはり副作用のリスクを考えると、従来の治療でもよかったのか、と考えることもあります。
先日、t-PAの経験の豊富な先生と少しお話をしたところ、NIHSS 4点では、使った方がいいと思う、とおっしゃっていました。3点以下では、使うリスクと、従来の治療も十分効果ある旨をお話してt-PAは使わない、ということでした。
また、IC閉塞では使った方がいいという事でした。もちろん、NIHSS 23点以上の重症例では慎重投与となっていますが。投与後に劇的に改善する例も多数ありますし、それなりに脳梗塞になってしまった場合でも、長期的な予後はいい従来の治療よりいい、ともおっしゃっていました。
という事で、今後適応例には迷わず積極的に使っていこうと思っています。

t-PAの治療は,発症3時間以内という縛りがありますし、その他の脳梗塞治療薬も発症24時間以内などといういわば時間との戦いがあります。それと、逆とまではいいませんが、それに間に合わなかった場合に希望の持てる治療に、骨髄幹細胞移植というものがあります。
http://blog.m3.com/neurosurgeons/20071106/NHK_._


一度、当ブログでもとりあげました。この治療は、現在は従来の急性期の治療が終わった後(発症後2週間)に、骨髄細胞を採取し、培養し移植しますので少なくとも脳梗塞発症から5〜6週間経ってから開始となります。ですので、比較的時間との戦い、からは解放されていると思います。ただ、これを脳梗塞急性期に移植できれば、今よりさらなる治療効果が認められる可能性があります。現在、あらかじめ健康な時に骨髄幹細胞を採取し、培養し冷凍保存しておき、その方が将来脳梗塞になってしまった時に、急性期に移植を行うといった臨床性能試験も開始されています。(まだ、その治療を受けられた方はいないですが)

また、まだラットの研究段階ですが、血管新生遺伝子を組み込んだ骨髄幹細胞を移植すると、更なる治療効果があるという報告が昨年ありました。

今後、さらにいろいろな治療が出てくると思われます。まずは、脳梗塞にならないよう予防する事がなにより大事ですが、不幸にもなってしまった場合、その後遺症がなるべく小さくと、どんなにいい事でしょうか。

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以前より、大豆イソフラボンの過剰摂取と発ガンの危険性がいわれていた。厚生労働省も「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」というHPを立ち上げていたくらいである。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/h0202-1a.html

今日の朝日新聞夕刊に以下の記事があった。とりすぎはよくないが、日本人の40歳以上の女性は毎日適度の大豆食品をとると、脳卒中心筋梗塞の予防には良いことがついに証明された(今までも外来で指導はしておりましたが)。

女性の大豆摂取、脳梗塞・心筋梗塞防ぐ 厚労省調査

http://s03.megalodon.jp/2007-1129-1805-06/www.asahi.com/kansai/news/OSK200711290042.html

豆腐や納豆、みそなど大豆製品をよく食べる女性は、脳梗塞(こうそく)や心筋梗塞になりにくいことが、厚生労働省研究班の大規模追跡調査で分かった。閉経後の女性に特に効果がある。大豆に含まれる複数成分の効果に加え、一緒に野菜や海藻などを食べる献立に なりやすいためらしい。27日発行の米医学誌「サーキュレーション」に掲載された。研究班は、40~59歳で心臓病やがんにかかっていない男女計4万 462人(男女比1対1)を対象に、90~02年の13年間、健康状態を追跡した。そのデータを基に、大豆製品を1日に食べる量別に5群に分けて、脳梗塞 と心筋梗塞の発症率との関係を分析した。その結果、一番よく食べる群の女性は、脳梗塞や心筋梗塞になる危険性が、一番食べない群の女性に比べ0.39倍と低かった。さらに、女性の半数を占める閉経後の人に対象を絞ると、危険性が0.25倍と大幅に低くなった。男性では、食べる人も食べない人も差がなかった。一番よく食べる群が1日に食べる大豆製品の量は、納豆を1パックまたは豆腐3分の1丁程度。大 豆は、女性ホルモンと似た働きをするイソフラボンを多く含む。ビタミンEなども豊富だ。分析した国立循環器病センター(大阪府吹田市)の小久保喜弘医長は 「単体の成分ではなく、複数の成分が効いているとみられる。また、みそ汁には、野菜などいろんな具材を入れるなど、大豆製品を食べる時の食習慣が総合的に 好影響を与えている」とみている。

Association of dietary intake of soy, beans, and isoflavones with risk of cerebral and myocardial infarctions in Japanese populations: the Japan Public Health Center-based (JPHC) study cohort I.
Kokubo Y, Iso H, Ishihara J, Okada K, Inoue M, Tsugane S; JPHC Study Group.
Circulation. 2007 Nov 27;116(22):2553-62.


女性の皆さん!豆腐、納豆をたべて脳卒中予防ですよ!

選曲に悩んで、、、 豆腐、、トンフ、、トンプウ、、、東風!

YMO - 東風 (TONG POO)('79LIVE)
http://youtube.com/watch?v=ER0ckwGIejY&feature=related

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脳梗塞急性期iv tPAが日本でも認可になり約2年経過しますが、出血の合併症が日本では多い印象がありますがいかがでしょうか。岩手医大脳外科 小川 彰教授の書いた論文がStrokeに掲載されています。

Randomized trial of intraarterial infusion of urokinase within 6 hours of middle cerebral artery stroke: the middle cerebral artery embolism local fibrinolytic intervention trial (MELT) Japan.  Ogawa A, Mori E, Minematsu K, Taki W, Takahashi A, Nemoto S, Miyamoto S, Sasaki M, Inoue T; MELT Japan Study Group.
Stroke. 2007 Oct;38(10):2633-9. Epub 2007 Aug 16.
http://stroke.ahajournals.org/cgi/content/full/38/10/2633...

このMELT studyは症例が集まらず、またstudyの途中でtPA静注が保険認可されてしまったために登録が打ち切りになりました。 このstudyの結果がよいのは、t-PA予後不良である内頚動脈閉塞群が入っておらず、中大脳動脈閉塞群に限っているためです。現在J-MUSICの第二層試験が始まっており、これは閉塞血管を明らかにした上でiv. tPAを行うようになっています。これにより閉塞血管別のiv. tPAの成績がでますので、後日MELTと比較できるでしょう。

さて、t-PAの静注は禁忌項目に該当する患者、ワーファリン使用中には当然使えません。t-PAの静注は血管内治療までの繋ぎと言いますか、CTで梗塞なし、出血なし、3時間以内で投与しながら血管内施設に搬送して改善すれば良いですが、改善しなければ6時間以内なら血管内でPTA(ウロキナーゼは使用せず)、後方循環であれば10時間以内でもアメリカではやっていました。

日本ではまだ呼ばれていませんが、適応ありと考えれば私は血管内を第1選択でやると思います。動注で効果が無ければ直ちにPTA(経皮的血管形成術、つまりバルーン形成術のみでステントは使用しない)をまず考えます。アメリカなら頭蓋内ステントの使用でしょう。

iv. tPA 対 ia. UKに関しては、まだtPA/UKの動注自体が日本では保険認可されていないために、これからの検討課題です。しかし、strokeに載った日本オリジナルのstudyですから一挙に動注療法が花開くかも?ですね。

===以下日経ネットから抜粋===
<脳梗塞の血管内治療法、回復率2倍に・57施設が共同研究>
 脳梗塞(こうそく)患者の脳の血栓にカテーテルで血栓溶解剤を注入し、血流を回復させる新たな治療法は、社会復帰できるまで回復する患者の割合が従来の薬物治療の約2倍に高まるとの臨床試験結果を、全国57施設が参加する研究グループが3日、発表した。記者会見した主任研究者の小川彰・岩手医科大学教授は「今後、早期治療では血管内治療が標準になっていくと思う」と述べた。
 臨床試験には岩手医大のほか、東北大学、国立循環器病センターなど全国の大学や病院が参加。脳に血液を送る「中大脳動脈」が血栓でふさがって脳梗塞になり、20021月から0510月にかけて各施設に運ばれた患者を対象にした。発症から6時間以内で脳の損傷がほとんど始まっていない段階の患者で、家族の同意が得られた114人を対象とした。
 患者を57人ずつ二組に分け、一方には足の付け根からカテーテルを入れ、脳の動脈の詰まっている部分に直接、ウロキナーゼという血栓溶解剤を注入する新治療を行った。もう一方はむくみを取ったり脳の血液の循環を改善したりする従来の薬物治療を行った。

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2007.09.23 10:24 |  脳血管内治療  |  侍脳外科医  | 推薦数 : 4

もやもや病と動脈瘤の合併

難病に指定されているもやもや病という名称が市民権を得るのに貢献された歌手徳永英明さんが2003年227日の徹子の部屋に出演された時の内容がインターネット上で公開されています.Tetsuko's Room Dictionary
この中で、徳永英明さんが語っているのは、自分がもやもや病であること、手術を受けていないこと、左内頚動脈が閉塞していること、右側は85-90%の狭窄性病変であること、症状は頭痛や右の脳の症状:知覚異常(左半身の症状)であること、薬は飲んでいたが止めたこと、ボイストレーニングをするとしびれがでることがあるなど、です
これは下記の<小宮山先生のHP>から引用させて頂きました。

http://www003.upp.so-net.ne.jp/moyamoya/

大阪市立総合医療センター脳神経外科 小宮山雅樹 

もやもや病に関する情報は小宮山先生のHPに全てあると言ってもいいほどよくまとまっています。さて、日本人のもやもや病とアメリカ人のもやもや病に違いはあるでしょうか?私はもやもや病で脳出血症例の中に脳動脈瘤を合併している症例がアメリカの方が多い印象があります。日本では3%と言われていますが、アメリカではどうでしょうか?もっと多いはずです。これに関する資料が呈示できず申し訳ありません。もちろんアメリカ人という定義も非常に曖昧で、多民族国家ですから人種別に検討してみるとおもしろい結果が出るのではと期待しています。 

脳動脈瘤は、もやもや血管(脈絡叢動脈やレンズ核線状体動脈など)に出血の後に出来た末梢性の動脈瘤[A]と後方循環に増加した血流によって出来た脳動脈瘤[B]と、もやもや病とは関係なしに、一般的に好発する部位に出来る脳動脈瘤[C]の3タイプに分類できます.

動脈瘤の部位、大きさ、上記の[A][B][C]の分類によって治療が異なり、その難易度も異なります.出血の原因になっている場合は、再出血を予防する目的で積極的な治療が望まれます.[A]の末梢性動脈瘤の場合は、この動脈瘤に直接治療を行う場合もありますが、それ以外に、脳血管内手術で、もやもや血管ごと閉塞したり、通常の直接血管吻合術を行い、もやもや血管への血流の負担を減らし、動脈瘤の消失を待ったりすることがあります.また、自然に消失する場合もあるようです.

[B][C]の動脈瘤は外科的な開頭術によりクリッピングを行うか、脳血管内治療によりコイル塞栓術を行います.ただ、開頭術によるクリッピングは、一般の脳動脈瘤手術よりももやもや病の場合、もやもや血管が動脈瘤を露出するときに邪魔になり手術は非常に難しいとされます.近年進歩が著しい血管内治療が可能な症例では、こちらが選択される方が多いと思います.

 

 小宮山先生が書かれているようにもやもや病の脳動脈瘤合併症例は血管内治療のよい適応となります。末梢性の動脈瘤[A]=偽性動脈瘤pseudoaneurysmですが、この動脈瘤を養っている血管こそ正にもやもや血管と呼ばれる細い血管です。マイクロカテーテルという細いプラスティックのチューブをこのもやもや血管まで誘導して液体塞栓物質(n-BCA)を注入します。当然、患者さんが検査、治療中に動くと大変ですから全身麻酔下の治療になります。 

日本では経済的負担を軽くするために、「特定疾患治療研究事業」が行われています.この対象疾患のひとつがもやもや病・ウィリス動脈輪閉塞症です.もやもや病の診断は、カテーテルによる脳血管撮影なしで、MRI・MRAを用いて診断が可能ですし、MRIMRAのみで公的援助を申請することが可能です.ただし上記の脳動脈瘤の合併MRIMRAだけでは診断をつけるのが困難、或いは見逃す可能性があるのも事実です。もやもや病疑いの脳出血症例こそ、私はカテーテルによる脳血管撮影が必要と考えますし、患者さんには上記を説明して積極的にお勧めします。

実はもやもや病の脳出血症例で再出血をおこすと予後が悪化します。初回の出血時に確定診断と脳動脈瘤の合併を念頭に置いて脳血管撮影をお勧めする最大の理由です。もちろん脳虚血発症のもやもや病に関しては血行再建術を検討していない症例でMRIMRAだけで診断可能と判断されれば、カテーテルを使った脳血管撮影は不要でしょう。

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