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t-PAが、脳梗塞の治療として使えるようになり2年くらいたちました。この薬により、症状の改善を認めた方も多くいらっしゃると思います。脳梗塞発症から3時間以内という縛りがあり、治療の適応にならない方もいらっしゃったと思います。(6時間以内であれば、条件がそろえばまだ血管内治療が残されていますが)
ただ、使う方にとってみると、使うか使わないか迷う症例があります。診察時に、あまり症状が強くないラクナ梗塞です。一応、NIHSS 4点以下は治療適応外となっていますが、入院後症状の進行を認める症例もあります。そういうとき、t-PAを使っておけば、と思う事もありますし、やはり副作用のリスクを考えると、従来の治療でもよかったのか、と考えることもあります。
先日、t-PAの経験の豊富な先生と少しお話をしたところ、NIHSS 4点では、使った方がいいと思う、とおっしゃっていました。3点以下では、使うリスクと、従来の治療も十分効果ある旨をお話してt-PAは使わない、ということでした。
また、IC閉塞では使った方がいいという事でした。もちろん、NIHSS 23点以上の重症例では慎重投与となっていますが。投与後に劇的に改善する例も多数ありますし、それなりに脳梗塞になってしまった場合でも、長期的な予後はいい従来の治療よりいい、ともおっしゃっていました。
という事で、今後適応例には迷わず積極的に使っていこうと思っています。
t-PAの治療は,発症3時間以内という縛りがありますし、その他の脳梗塞治療薬も発症24時間以内などといういわば時間との戦いがあります。それと、逆とまではいいませんが、それに間に合わなかった場合に希望の持てる治療に、骨髄幹細胞移植というものがあります。
http://blog.m3.com/neurosurgeons/20071106/NHK_._
一度、当ブログでもとりあげました。この治療は、現在は従来の急性期の治療が終わった後(発症後2週間)に、骨髄細胞を採取し、培養し移植しますので少なくとも脳梗塞発症から5〜6週間経ってから開始となります。ですので、比較的時間との戦い、からは解放されていると思います。ただ、これを脳梗塞急性期に移植できれば、今よりさらなる治療効果が認められる可能性があります。現在、あらかじめ健康な時に骨髄幹細胞を採取し、培養し冷凍保存しておき、その方が将来脳梗塞になってしまった時に、急性期に移植を行うといった臨床性能試験も開始されています。(まだ、その治療を受けられた方はいないですが)
また、まだラットの研究段階ですが、血管新生遺伝子を組み込んだ骨髄幹細胞を移植すると、更なる治療効果があるという報告が昨年ありました。
今後、さらにいろいろな治療が出てくると思われます。まずは、脳梗塞にならないよう予防する事がなにより大事ですが、不幸にもなってしまった場合、その後遺症がなるべく小さくと、どんなにいい事でしょうか。
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MRIの撮影条件の一つにT2スターというものがあります。今ではけっこう有名になり、脳ドックなどでも行われる施設もけっこうあると思います。
出血が起こると、血液中のヘモグロビンがいろいろな段階を経て最終的にヘモジデリンというものになり落ち着きます。このヘモジデリンですが、出血後(ここでは脳ということにします)wash outされていくのですが、ある程度は残ってしまいます。どのくらいの期間残っているかですが、僕が経験したかぎりでは、22年前の脳出血においてもT2スターでしっかりヘモジデリンが黒く映ってました。被殻出血だったのですが、出血巣を縁取るように変縁に残ってました。(実際の画像が見つからず提示できず、です)
ということで、ほぼ半永久的に過去の出血はT2スターで捉えられます。
テレビでよく、MRIで「隠れ脳梗塞」といったものが言われています。T2スターでは、「隠れ脳出血」といったものが発見出来ます。いわゆる無症候性微小出血です。これは、多い人は何十個もあります。もちろん無症状です。そして、この無症候性微小出血が多いと、将来脳卒中の危険が高くなるといわれています。数もそうですし、無症候性微小出血の場所も関係があるようです。
この、微小出血ですが微小血管の壊死などによって起こっていると思われます。
高血圧、糖尿病などが関与していることは当然であります。とくに、高血圧が一番の危険因子であると考えられます。ということで、T2スターで微小出血が多い方においては特に血圧の厳格なコントロールが必要であると思います。(脳梗塞、脳出血ともに起こりやすくなると考えられます)
これからは僕の個人的な考えなのですが、シロスタゾールという薬があります。いわゆる抗血小板剤の一つで、脳梗塞後の患者さんに今後の脳梗塞再発予防のために処方する薬の一つです。この薬は血小板凝集抑制作用に加え、血管内皮修復作用もあるといわれています。この修復作用により、今後微小出血を起こすような血管を修復し補強する作用があるのではないかと考えられています。矛盾するようですが、こうした微小出血なども予防するのではないだろうか、というのが個人的考えです。ラクナ梗塞で、T2スターにおいて微小出血が多い方には、シロスタゾールを投与し、厳格な血圧管理をする事で、今後の脳梗塞、そして脳出血の予防になるのでは、と思ってます。
医者になって2年目に働いた病院の部長が、T2スターを熱心に研究されている関係で、多くのT2スターの画像と患者さんを見て、上のような事を考えました。
ちなみに、僕の考えた事に全くエビデンスはなく、実際自分が経験した限りでも、その考えがあってるなあ、という実感もないです。
脳梗塞、脳出血ともに突然起こるものであり、患者さんご本人、ご家族ともに、「どうして?」という方がけっこうおられます。明らかな主幹動脈の狭窄例などを除くと、完全に脳卒中を予防する方法は難しいでしょうが、なるべく起こりにくくする方法、また危険因子などがわかっていくといいのですが、と思っています。
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年を経るごとに朝目覚めるのが早くなる。普段、私は23時30分ごろ就寝、6時ころ起床の生活を送っている。病院の泊まりの時はその限りではないが、以下の2つの論文を読むと、自分のためだけでなく家族のためにも、可能な限り1日7時間の睡眠をとるようにしたい。
日本人11万人の睡眠時間の研究で、7時間(6・5-7・4時間)の人が死亡率が最も低く、それより長くても、短くても死亡率が高くなることが約10年間 の追跡調査で分かった。睡眠時間が長い人でも短い人でも7時間の人に比べると死亡しやすく、その程度は、4時間未満(4.4時間まで)の睡眠時間では、男 性で1.62倍、女性で1.60倍、また10時間以上(9.5時間以上)の場合には男性で1.73倍、女性で1.92倍。
http://www.med.nagoya-u.ac.jp/yobo/jacc/reports/tamakoshi_suimin/index.html
自治医大の11,325人のコホート研究でも、男性の4時間以下、女性の9時間以上の睡眠時間が死亡しやすい結果を認めている。脳血管、心臓疾患死をみてみると、上写真のように男性では7-9時間、女性では7-8時間の睡眠時間が一番死亡率が低い結果になっている。
Sleep Duration and Mortality in Japan: the Jichi Medical School Cohort Study
Yoko Amagai, Shizukiyo Ishikawa, Tadao Gotoh, Yuriko Doi, Kazunori Kayaba, Yosikazu Nakamura, Eiji Kajii
Journal of Epidemiology, Vol. 14 (2004) , No. 4 pp.124-128
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jea/14/4/124/_pdf
一日7時間の睡眠で長生きしましょう!
ななのつぶやき「犠牲」
http://blog.m3.com/nana/20071120/1
オフコース / 眠れぬ夜
http://www.youtube.com/watch?v=wuUXTwz6csQ&feature=related
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北日本の上空に大陸から強い寒気が流れ込んだ影響で、冬型の気圧配置となり、北日本では大雪に、関東でも12月上旬並みの冷え込みとなった。
脳卒中死亡に関して日本では冬に多いとされている。久山町研究では、脳卒中発症のピークは2月であり、脳内出血と脳梗塞はそれぞれ3月、1月であり、クモ膜下出血は発症のピークが見られなかった。脳内出血の月別発症と気温との負の相関及び日較差との有意な正相関が見られ、脳梗塞では月別発症と気温との負の相関が認められるとのこと。
低温影響のメカニズムとして
1)血圧の変化:低温により血圧が上昇することで脳卒中の危険性が高 まることが推測されている。寒冷に曝露されると、末端部の血管が収縮し、血圧が高くなる。急激な寒冷刺激により血圧が上昇することは脳内出血の危険性を高 くする。室内の気温が4℃下がると、心血管疾患死亡のリスクが5%上がるという。
2)血液粘度の変化。低温で血液の粘度が高くなる。
3)血液の流速の変化。低温で血液の流速が遅くなる。
4)血清フィブリノゲンレベルの変化。低温で血清フィブリノゲンのレベルが高くなる。
2)−4)は脳梗塞発症のリスクを高くする。
5)低温で感染が起きやすい。感染が原因となって脳卒中が発症する危険性も高くなる。
が考えられている。
以下は、この時期の患者さんへの説明です。
「冬 には寒冷暴露に注意してください.寒冷が血圧を上げることは証明されており心血管病による死亡は冬季に増加し,暖房や防寒の不十分なものほど高くなるとい われています.入浴も温度の変化に注意して,入浴温度は38 -40℃,一日のうち体温が上昇し血圧が安定する夕方に,入浴時間は短めで半身浴がいいです.冷えた体でいきなり熱い湯に入らず,脱衣所,風呂場の保温に 注意してください.」
冬には気温の変化に注意して脳卒中予防だ!
小泉今日子 - 木枯らしに抱かれて
http://www.youtube.com/watch?v=nu9BO5WmY6Q
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もともと高血圧があるがために,その人には脳出血、脳梗塞の起きる危険性がある。以前は脳卒中になったとしてもそれはもともと本人の病気だから会社は関係ないというのが従来の考え方でした。しかし自然経過の範囲を超えて,仕事が引き金になって脳卒中になった場合には労災と認定するとのこと。
厚生労働省は「過労死」の新しい認定基準を全国の労働基準監督署に通達しました。現在は、脳・心臓疾患に倒れる前の1週間程度の仕事の負担を主に調べたのに対し、今後は「疲労の蓄積」を認めて調査を6カ月間にまで広げます。
時間外労働時間の目安を定め、長期間の過重業務における業務の過重性の評価にあたって、労働時間が「疲労の蓄積をもたらす最も重要な要因と考えられる」とし、その評価の目安を次の通り定めました。
1.「発症前1か月間におおむね100時間以上」、「発症前2か月ないし6か月間におおむね80時間以上」の時間外労働時間(週40時間を超える労働時間)があれば、業務との関連性が強いと評価する。
2. 発症前1か月ないし6か月間の時間外労働時間がおおむね45時間を超える場合は、それが長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まると評価する。
3. 発症前1か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね45時間を超える時間外労働が認められない場合は、業務と発症の関連性が弱いと評価でき、労働時間以外の負荷要因による身体的、精神的負荷が特に過重と認められるか否かが重要となる。
http://www6.plala.or.jp/manbow/overwork/index.html
ちなみに医師は平均で66.4時間/週(±18.0)働いているそうです。
医師需給に係る医師の勤務状況調査より(厚生労働省医政局医事課 医師の需給に関する検討会)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/02/s0208-12b.html
週26時間以上の時間外勤務ですから、1か月間におおむね100時間以上の時間外労働時間は軽く超えています。「紺屋の白袴」では困ります。誰も疲労困憊の医師に自分の命を預けたいとは思いません。
「働きすぎは悪です。」
労働基準法を遵守して脳卒中予防だ!
帰ってきたヨッパライ フォーククルセイダーズ
http://youtube.com/watch?v=uYOx3_P1sqY
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NHKスペシャル 「脳こうそく驚異の回復・眠れる再生力を生かす新治療の挑戦」 11月5日(月) 22:00~22:50 NHK総合
NHKスペシャル◇脳梗塞(こうそく)や心筋梗塞など、さまざまな病気の治療を根本から変えると期待されている再生医療への取り組みを伝える。これまで人間は、足を失っても再生できるイモリのような能力は進化の過程で失ったものと考えられてきた。しかし今世紀に入り、人間にも秘められた再生力があることが分かってきた。ことし1月、札幌医大付属病院脳神経外科は、脳梗塞で傷ついた神経を患者自身の細胞で再生させるという日本初の治療法の臨床試験を開始。患者の骨髄にある幹細胞を取り出して培養し、脳の神経を再生させる試みを行った。臨床試験に挑んだ脳梗塞患者を8カ月にわたって取材。左半身に運動まひがあった患者が、目覚ましい回復を遂げている様子を伝える。また、同様の方法で心筋梗塞の再生治療に挑んだドイツの取り組みを追う。
私も見ました。投与5時間後のMRI(FLAIR)で脳梗塞巣縮小は正直、眉唾ものでした。しかし8例ともに症状の改善が早期にみられています。この臨床治験が論文になるまで注目します。
宝金教授が今後、癌化する可能性もあり2~3年は注意深く観察する必要があるとコメントされました。
心筋梗塞の場合はステントで再開通後に骨髄幹細胞を培養せずに直接カテから注入でしたが、これは脳には応用できないでしょうね。再灌流障害は心筋、脳でも問題になりますが特に脳の場合、出血すると症状が増悪しますし危険でしょう。
このテレビを見た脳梗塞患者からの問い合わせが札幌医大脳外科に殺到しそうです。まだ完全再生というよりはレギュラー選手に代わって補欠の細胞が出場してきて補充しているレベルと考えた方がいいでしょう。しかし、この研究には夢があります。
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10月31日は「Trick or treat」:Halloween 日 本では最近認知されてきたが、英語圏では大イベント。ケルト人の収穫感謝祭がカトリックに取り入れられたものとされている。ケルト人の1年の終りは10月 31日、この夜は死者の霊が家族を訪ねたり、精霊や魔女が出てくると信じられ、これらから身を守る為に仮面を被り、魔除けの焚き火を焚いていたことに由来 する。固定リンク | コメント (0) | トラックバック (1)
脳神経外科医不足でt-PAが使えない
という記事がありました。
t-PAに関しては以前の拙ブログエントリー
脳卒中とは?
http://blog.m3.com/neurosurgeons/20071013/1
脈に左右差→解離→XtPA
http://blog.m3.com/neurosurgeons/20071017/_tPAxをご参照ください。
産科・小児科もさることながら脳外科志望者数の減少は深刻で、
今年は後期研修で脳外科を選択したのは全国で70人。
実に一大学一人をきっています。
このような状況ですから,
脳卒中医療の担い手は今後減り行く一方と考えられます。
行政・医療従事者・国民それぞれが、
脳卒中医療がどうあるべきか?誰が担うべきか?など
今後の脳卒中医療をどうするか真剣に考える時期ではないでしょうか?
お産難民は取り上げられますが、
脳卒中棄民に対してはみな冷淡です。
少子高齢化で将来的な税収増が望めない今、
脳卒中医療(≒高齢者医療)の切り捨ては仕方のない事なのか?
情報操作が加えられているように感じるのは気のせいでしょうか?
以下は、以前ジャーナルクラブで出た、
脳梗塞急性期の治療の話題の論文です。
まだまだ脳梗塞急性期の治療は過渡期であり、
今後どうなっていくか、目が離せません。
未来への希望を持ちつつ。
Stroke. 2006 Jul;37(7):1805-9. Epub 2006 Jun 8.
Intravenous versus combined (intravenous and intra-arterial) thrombolysis in acute ischemic stroke: a transcranial color-coded duplex sonography--guided pilot study.Sekoranja L, Loulidi J, Yilmaz H, Lovblad K, Temperli P, Comelli M, Sztajzel RF.
Department of Internal Medicine, University Hospital and Medical School Geneva, Switzerland.
Stroke. 2005 Jan;36(1):66-73. Epub 2004 Nov 29.
The Desmoteplase in Acute Ischemic Stroke Trial (DIAS): a phase II MRI-based 9-hour window acute stroke thrombolysis trial with intravenous desmoteplase.Hacke W, Albers G, Al-Rawi Y, Bogousslavsky J, Davalos A, Eliasziw M, Fischer M, Furlan A, Kaste M, Lees KR, Soehngen M, Warach S; DIAS Study Group.
Department of Neurology, University of Heidelberg, Im Neuenheimer Feld 400, 69120 Heidelberg, Germany.
Stroke. 2006 May;37(5):1227-31. Epub 2006 Mar 30.
Dose Escalation of Desmoteplase for Acute Ischemic Stroke (DEDAS): evidence of safety and efficacy 3 to 9 hours after stroke onset.Furlan AJ, Eyding D, Albers GW, Al-Rawi Y, Lees KR, Rowley HA, Sachara C, Soehngen M, Warach S, Hacke W; DEDAS Investigators.
Department of Neurology, The Cleveland Clinic, Cleveland, OH 44195, USA.
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禁煙は脳卒中の罹患率および死亡率の低下に有用であり,脳卒中発症リスクは禁煙後2年以内に急速に 減少し5年以内に非喫煙者と同じレベルになります。脳卒中の予防における薬物および外科治療は一般の方々が思っているほどは効用が少なくかつリスクを伴います。薬を飲みながら喫煙といったまったく無駄ともいえるようなことがないように、日常のひとつひとつの自己努力が脳卒中予防には重要です。
ほかの侍脳外科医さんも、もちろん非喫煙者ですよね。
Yukadan - Smokin' Boogie 1976
http://www.youtube.com/watch?v=q3ny00BtAUE
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