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内頚動脈―海綿静脈洞ロウと言いますと眼科、耳鼻科からの紹介が多い疾患で高齢の女性に多い特徴があります。英語ではCarotid-cavernous fistulaでCCFと略されることが多く、CCFと言えば眼球突出、結膜充血、視力低下、耳鳴り、眼球運動の障害による複視、眼窩部痛、痴呆等の症状で発見されます。
通常は毛細血管を通して血液は静脈に戻ってきますが動脈から静脈、静脈洞へのシャントが出来ますと、眼球から或いは脳からの静脈還流が障害され鬱血状態になります。外傷後に出来たシャントの場合は症状が急速に進行し、脳血管内治療の対象となります。最近視力低下を来していない症例、脳表への静脈にドレナージされていないCCFの症例ではまず頚動脈の用手的圧迫をトライしてみる価値があります。
Treatment of cavernous sinus dural arteriovenous fistulae by external manual carotid compression. Kai Y, Hamada J, Morioka M, et al. Neurosurgery 60:253-258, 2007
熊本大学脳神経外科甲斐 豊先生のグループが今年2月にNeurosurgeryというアメリカの雑誌に発表されています。 さて、頚動脈を自分の手で圧迫すると言ってもどうやってやりますか?甲斐先生の論文にも最大で数分までとしか記載されていません。教科書によっては5分とか10分なんて書いていますが、10分も圧迫するって手が痺れてしまいます。
1. 両側にシャントがある症例ですと一側を1回につき1~2分、一日10回が目安です。最低3ヶ月は続けましょう。
2. 右の頚動脈を圧迫する時は反対側の左手で圧迫します。これは右側の頚動脈領域に脳血流が減少して脳虚血になると左上肢の麻痺で自然に左手の力が緩みます。
3. 仰臥位で頚部を正中位、右を圧迫する時は頭を左側へ向けて圧迫してもよいのです。爪跡がつかないように爪はちゃんと切っておきましょうw
4. 座位の場合、テーブルに右肘をついて右手で左頚動脈を圧迫して体を前方へ傾けて自分の体重で圧迫する。これですとテレビを見ながら気軽に出来ます。
5. 寝てやるか、座ってやるかは患者さんの好みもあり、いろいろと試してみるとよいでしょう。
6. 頚動脈の横を圧迫して完全に頚動脈を押さえきれていない、胸鎖乳突筋を圧迫していて頚動脈から外れた箇所を押さえているってことがあります。逆に内側に向かい過ぎて気道を圧迫していることもあります。外来で医師が確認する必要があります。
7. 甲斐先生の報告では23例中8例で完全消失が得られています。特に発症から治療開始までの期間が短い症例ほど効果があり、治療開始から4ヶ月以内に消失がみられています。
今日はここまでです。次回はなぜ効くのか?どうやって治療効果を判定するのか?治療が不十分な場合は?について書いてみます。
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