脳外科の手術といえば、ひと昔前は髪をごっそり切っていたと思います。まあ、丸坊主まではいかないにしても、皮膚切開の部位とその周辺はきっちりバリカンで切っていたと思います。(カミソリでそり上げる方もいたのではないでしょうか)
僕が脳外科として働きだした5年くらい前からは、多くの手術は髪の毛を切らずにやっていました。手術前に髪の毛をヒビテンスプレーなどで洗って濡らし、皮膚切開予定の線に沿って髪をわけていきました。どうしても分け目が作れないような短髪の方は、バリカンで幅5ミリ程度皮膚切開のラインにそってそらせてもらいました。
もともと、坊主の方以外で髪の毛をバッサリ切るのは、外傷などの緊急手術の時くらいでした。
髪の毛を切る切らないは、脳外科の手術の結果には全く影響しませんが、受ける側は退院後の事を考えて切らないでほしいでしょうし、手術をする方としてはまあ、髪を切った方がやりやすいです。(といっても、脳外科の手術のメインは皮膚を切って、骨開けてからですから、その時は髪の毛なんて全く関係ないのですが。)
要は、最後に閉頭の時に髪の毛が術野に出てきたりして、邪魔であるし感染源となる危険性があり好まれないというわけです。
しかし、邪魔というか煩わしいのは事実ですが、感染源となるというのは最近否定的のようです。
この前当直に行った先の病院では、全例完全無悌毛で手術をしているとのことでした。たまたま急性硬膜外血腫の緊急手術に入ったのですが、それすら髪の毛を全く切りませんでした。ヒビテンスプレーで髪の毛全体を消毒し、皮膚切開にそって軽く髪の分け目を作ってやってました。髪の毛は蛋白だから傷口に入っても吸収される、と言っていました。実際、髪の毛を切らないからといって感染症が増えたという事はないようです。
最近では、バリカンで剃るのはいいにしても、カミソリで剃るのは感染症を増やすという事でやらないです。小さい傷が増えて感染しやすくなるそうです。(昔はカミソリで剃って、小さい傷を作ると上の先生に「へたくそ」と怒られてました。)
時代とともにというか、様々な検証の結果でいろいろ常識が少しずつ変わっているようです。手術前の手洗いでブラッシングはよくない、とか同じく術前の手洗いの水は滅菌水でなく普通の水道水でもよい、とかです。
まあ、話は戻ってそのうち髪の毛は全く切らないのが主流になるのでしょうか。
もし、脳外科医が脳の手術を受ける時は、有無を言わせず丸坊主にさせられることでしょう。
僕自身はもし脳の手術をする時は潔く丸坊主にします。
他の脳外科医の先生方はいかがでしょうか。
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