今 年は例年に比べ、インフルエンザの流行がはやいということで、昨日インフルエンザワクチン接種を受けた。この時期、脳梗塞慢性期の患者さんには、ワクチ ン接種によるインフルエンザ予防を外来で指導している。インフルエンザ感染での高熱に伴う脱水が脳梗塞再発の引き金と考えていた故だが、インフルエ ンザワクチン接種自体に脳梗塞発症を予防する効果があるようだ。
Lavalle'e P, Perchaud V, Gautier-Bertrand M, Grabli D, Amarenco P.
Association between influenza vaccination and reduced risk of brain infarction.
Stroke. 2002 Feb;33(2):513-8. Erratum in: Stroke 2002 Apr;33(4):1171.
インフルエンザワクチンが脳梗塞も予防か、仏で報告
Nikkei BPnet 2002年2月13日
http://s01.megalodon.jp/2007-1114-1642-00/www.nikkeibp.co.jp/archives/169/169383.html
インフルエンザワクチンを受けると、インフルエンザだけでなく、脳梗塞も予防できる可能性が出てきた。フランスで60歳以上の高齢者を対象に行われた研究で、脳梗塞を起こした人では、インフルエンザワクチンの接種率が低いことがわかったためだ。
脳梗塞予防にワクチンが“効く”理由は不明だが、脳梗塞の発症には何らかの感染症が関与しているとの説があり、研究グループは「インフルエンザを予防することで感染症にもかかりにくくなったためでは」と説明している。研究結果は、Stroke誌2月号に掲載された。
この研究を行ったのは、フランスDenis Diderot大学附属Bichat病院のPhilippaLavallee氏ら。Lavallee氏らは、脳梗塞や心筋梗塞などの「動脈硬化性疾患」 で、クラミジアなどの感染症による炎症状態が続くことが、発作の引き金になるとの証拠が揃いつつあることに注目。インフルエンザの流行シーズンに、脳梗塞 (24時間以上脳の虚血状態が持続)で病院に運ばれてきた高齢者90人と、年齢や性別、高血圧などの病歴などをマッチさせた一般市民180人とで、インフ ルエンザワクチンの接種率を比較した。
すると、一般高齢者のワクチン接種率が59.4%だったのに対し、脳梗塞を起こした人のワクチン接種率は46.7%で、一般よりもはるかに少ないことが判明。統計学的に検討すると、インフルエンザワクチンを受けた人では、受けなかった人よりも脳梗塞を起こす確率が2分の1になることがわかった。予防効果は、比較的若い人(60~75歳)で高かったという。
わが国では毎年、8万人以上の人が脳梗塞で亡くなっており、入院・通院中の人も含めると患者数は約100万人と考えられている。昨年11月の予防接種法 改正(関連トピックス参照)で、原則として65歳以上の人では、これまでよりも安くインフルエンザの予防接種を受けられるようになった。予防接種は毎年 10~12月ごろに行われるので、脳梗塞が気になる人は、ワクチンを受けることを検討してみてはどうだろうか。
この論文のあと、インフルエンザワクチンで脳梗塞予防効果を示す、以下の2つの論文が発表されており、その有用性は確かであろう。
Grau AJ, Fischer B, Barth C, Ling P, Lichy C, Buggle F.
Influenza vaccination is associated with a reduced risk of stroke.
Stroke. 2005 Jul;36(7):1501-6. Epub 2005 Jun 9.
Nichol KL, Nordin J, Mullooly J, Lask R, Fillbrandt K, Iwane M.
Influenza vaccination and reduction in hospitalizations for cardiac disease and stroke among the elderly.
N Engl J Med. 2003 Apr 3;348(14):1322-32.
できることは何でもやる。インフルエンザワクチン接種で脳梗塞予防だ!
今夜はこちらでは雪が降るのでこの曲を
井上陽水 石川セリ 『 氷の世界 』
http://youtube.com/watch?v=FotbgP1zqqY
固定リンク
|
コメント (3)
|
トラックバック (0)
トラックバック
この記事のトラックバック URL
http://blog.m3.com/neurosurgeons/20071114/1/trackback
コメント
コメント一覧
サイトカインの中には血管内皮障害を惹起するものもあり、DICの引き金になることもあります。元々、ベースに動脈硬化性変化があるところで、サイトカインストームによる内皮障害が加わると、梗塞を起こしやすくなるのは容易に想像できます。
問題は、このサイトカインストームそのものの詳細が未だに不明なことと、単一のサイトカインを抑制する治療は実験レベルですらうまくいっておらず、望み薄であることです。
サイトカインネットワークの詳細な機能の解明が待たれます。
~田舎の一般外科医さん
コメントありがとうございます。
脳梗塞モデルでも免疫抑制剤が脳梗塞体積を減少させることも知られております。
インフルエンザワクチンによる、あるサイトカインのup regulationが、脳梗塞の発症にかかわるICAM、VCAMやIL6などのサイトカインを抑制の方向へ導くのででしょうかね?
また、教えてくださいね。
侍脳外科医#2
~ぺがさす さん
コメントありがとうございます。
動脈硬化病変はいまや炎症疾患ですから、免疫機能をうまくコントロールできれば、発症は抑えることは可能かもしれませんね。
アスピリンの作用自体が、抗血小板に加えCOX阻害作用が結構効いているとも言われておりますから。
また、よろしくお願いしますね。
侍脳外科医#2
お二人の雰囲気、いいですね。
いつごろのものでしょうか。
気に入って何度も聞いています。
~ヒロコさん
コメント有難うございます。
たまたま、「氷の世界」を探していたら引っかかりました。
おそらく、「夜更かしライブ缶 石川セリコンサート」(2003年、NHK衛星第2)
からのものかと思います。
これからも宜しくお願いしますね。
侍脳外科医#2
コメントを書く