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2007.09.23 10:24 |  脳血管内治療  |  侍脳外科医  | 推薦数 : 5

もやもや病と動脈瘤の合併

難病に指定されているもやもや病という名称が市民権を得るのに貢献された歌手徳永英明さんが2003年227日の徹子の部屋に出演された時の内容がインターネット上で公開されています.Tetsuko's Room Dictionary
この中で、徳永英明さんが語っているのは、自分がもやもや病であること、手術を受けていないこと、左内頚動脈が閉塞していること、右側は85-90%の狭窄性病変であること、症状は頭痛や右の脳の症状:知覚異常(左半身の症状)であること、薬は飲んでいたが止めたこと、ボイストレーニングをするとしびれがでることがあるなど、です
これは下記の<小宮山先生のHP>から引用させて頂きました。

http://www003.upp.so-net.ne.jp/moyamoya/

大阪市立総合医療センター脳神経外科 小宮山雅樹 

もやもや病に関する情報は小宮山先生のHPに全てあると言ってもいいほどよくまとまっています。さて、日本人のもやもや病とアメリカ人のもやもや病に違いはあるでしょうか?私はもやもや病で脳出血症例の中に脳動脈瘤を合併している症例がアメリカの方が多い印象があります。日本では3%と言われていますが、アメリカではどうでしょうか?もっと多いはずです。これに関する資料が呈示できず申し訳ありません。もちろんアメリカ人という定義も非常に曖昧で、多民族国家ですから人種別に検討してみるとおもしろい結果が出るのではと期待しています。 

脳動脈瘤は、もやもや血管(脈絡叢動脈やレンズ核線状体動脈など)に出血の後に出来た末梢性の動脈瘤[A]と後方循環に増加した血流によって出来た脳動脈瘤[B]と、もやもや病とは関係なしに、一般的に好発する部位に出来る脳動脈瘤[C]の3タイプに分類できます.

動脈瘤の部位、大きさ、上記の[A][B][C]の分類によって治療が異なり、その難易度も異なります.出血の原因になっている場合は、再出血を予防する目的で積極的な治療が望まれます.[A]の末梢性動脈瘤の場合は、この動脈瘤に直接治療を行う場合もありますが、それ以外に、脳血管内手術で、もやもや血管ごと閉塞したり、通常の直接血管吻合術を行い、もやもや血管への血流の負担を減らし、動脈瘤の消失を待ったりすることがあります.また、自然に消失する場合もあるようです.

[B][C]の動脈瘤は外科的な開頭術によりクリッピングを行うか、脳血管内治療によりコイル塞栓術を行います.ただ、開頭術によるクリッピングは、一般の脳動脈瘤手術よりももやもや病の場合、もやもや血管が動脈瘤を露出するときに邪魔になり手術は非常に難しいとされます.近年進歩が著しい血管内治療が可能な症例では、こちらが選択される方が多いと思います.

 

 小宮山先生が書かれているようにもやもや病の脳動脈瘤合併症例は血管内治療のよい適応となります。末梢性の動脈瘤[A]=偽性動脈瘤pseudoaneurysmですが、この動脈瘤を養っている血管こそ正にもやもや血管と呼ばれる細い血管です。マイクロカテーテルという細いプラスティックのチューブをこのもやもや血管まで誘導して液体塞栓物質(n-BCA)を注入します。当然、患者さんが検査、治療中に動くと大変ですから全身麻酔下の治療になります。 

日本では経済的負担を軽くするために、「特定疾患治療研究事業」が行われています.この対象疾患のひとつがもやもや病・ウィリス動脈輪閉塞症です.もやもや病の診断は、カテーテルによる脳血管撮影なしで、MRI・MRAを用いて診断が可能ですし、MRIMRAのみで公的援助を申請することが可能です.ただし上記の脳動脈瘤の合併MRIMRAだけでは診断をつけるのが困難、或いは見逃す可能性があるのも事実です。もやもや病疑いの脳出血症例こそ、私はカテーテルによる脳血管撮影が必要と考えますし、患者さんには上記を説明して積極的にお勧めします。

実はもやもや病の脳出血症例で再出血をおこすと予後が悪化します。初回の出血時に確定診断と脳動脈瘤の合併を念頭に置いて脳血管撮影をお勧めする最大の理由です。もちろん脳虚血発症のもやもや病に関しては血行再建術を検討していない症例でMRIMRAだけで診断可能と判断されれば、カテーテルを使った脳血管撮影は不要でしょう。

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