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 Every rose has its thorn.「綺麗な薔薇には棘がある」という諺は有名で誰でもご存知かと思います。外見で人は評価できない例えで使われている場合が多いのではないでしょうか。

 さて我々医者族のカルテの記載に関しては、その字の汚さは世の想像を超えるものであることは周知の事実ではないでしょうか。これから見れば医者族はいかにも横着至極の評価を戴く事になりかねません。

 現にアメリカのある州においては、カルテの記載は第3者にも判読できるように義務付けられたと聞き及んでいます。

 ところがこれはある小児科医院のお話で、例によって先生の字はミミズが這ったような凄い字であります。中に極僅かではありますが、とても先生の字とは思えない字で、それはそれは綺麗な字で、しかも丁寧に患者さんの言われたことが事細かに記載されたものがあったのであります。 

 診断は、この医院では異様な不安神経症とか心身症になっておりまして、額は少ないのですが、保険請求から一部負担金の受領も通常のとおり成されていたので、一応その字について感心してお伺いしたのであります。

 予想通りこれは先生の奥様の字でありまして、奥様は臨床心理士の資格をお持ちとのことでありました。

 診療に来たお子様の親が何かと相談を持ちかけて時間が掛かって仕方が無いので、別室において奥様に後をお任せして、お得意のカウンセリングということになるケースでありました。

 この手間を保険診療扱いで、レセを作成して提出していたのでありますが、先生は全く関与していないことになりますから、これは問題ではないでしょうか。

 一部の例外はありますが医業は医者しか行えない事になっていますので、これはひょっとして医師法違反に問われても仕方が無いのではないでしょうか?

 カルテの字が特別に綺麗であったことから、とんだ事態が発覚したという、可笑しなお話でありますが、笑い話では済まされないところかと存じます。

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