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2008.05.22 06:30 |  診療  |  生活 / くらし  |  なな  | 推薦数 : 21

真夜中の電話

深夜、病院からではない携帯の呼び出し音。

 

「ふぁい、もしもし」

「あ、ななちゃん、俺・・・」

 

電話の相手は産婦人科医局の同期、沖田くん(仮名)。

「ああ。おきたくん。どしたの?」

「・・・ななちゃん、あのさ・・・」

「うん?」

「・・・俺って、顔、でかいかな」

「・・・。う、うーん、そおねえ。ま、首も太いんだから、いんじゃない」

「あ、そか。そだよな。ははは・・・」

「ははは」

「・・・・・」

「で、相談は何?」

「・・・最近さ、動悸するんだよね」

「へえ」

「それから、脈飛んだり。夜中に喉渇いて、目が醒めたり。

 あとね、ピザとナッツとフライドチキン食ったら、吐いちゃった」

「・・・」

「血液検査したらさ、肝酵素全部3桁だった。エコーあてらた、真っ白だったし」

「え・・・」

「でね、ななちゃん俺、思うんだけれど、

 無罪判決が出て、控訴されるくらいなら、あの地検の庭に麻の実まいてこようかと思って」

「あ、麻の実?」

「うんそう。で、生えて来た頃に、警察に通報する。

 あのさ、どうせ俺、もう肝臓も身体もぼろぼろだし、

 毎週5連直とかでくたくただし、

 このまま生きて産婦人科医やるより、地検をとっちめた方が

 多くの生命を助けられるんじゃないかと思うんだよ」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

ここで、目が醒めました。 

あ、なんだ、夢か・・・

 

 

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2008.01.31 18:21 |  診療  |  生活 / くらし  |  なな  | 推薦数 : 34

「ありがとう」のひと言

一日の元気の素、朝ごはんはしっかり食べます。

目覚ましシャワーを浴びた後、夕べのスープを温めながら、コーヒーを入れ、

サンドイッチを作り、フルーツを飾ります。

サンドイッチをひと口食べたところで、病院からの呼び出しです。

お産の最中に赤ちゃんの心音が下がってきたので、来てほしいとのこと。

入れたてのコーヒーもフルーツもテーブルの上に放置して

髪の毛は湿ったまま、寒い戸外に飛び出します。

 

赤ちゃんは、元気に生まれました。

一番ほっとする瞬間です。

 

外来で担当していた妊婦さんではないので、分娩室で初めてお会いした方です。

しかし、むずかしいお産になって、一番早く駆けつけられる上級医師として私が呼ばれ、

無事にお産になったことは、感じ取って下さったようです。

産婦さんの笑顔を見届けて分娩室を出ると

ご主人がドアの外まで来て、丁寧に頭を下げながら、お礼を言って下さいました。

「先生、ありがとうございました。」

 

このお産に立ち会ったことに対して、病院から出る報酬はゼロ円ですが、

ご主人の真摯な「ありがとう」の言葉に、心の報酬をたっぷりと頂戴しました。

医師なら、きっとこんな経験があると思います。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

私のところにも、研修医が来ています。

当然、手術にも入ります。

上級医師がやってしまえば、正確に早く終わるのは言うまでもありませんが、

それでは後達が育ちません。

若手のドクターにも執刀させるのが、医学の宿命です。

研修医に執刀させると、これまで私を育てて下さった産婦人科の師匠たちが

いかに忍耐強かったか、思い知ります(苦笑)。

指導するには、つい手を出してしまいそうになるのをグッと抑えて、見守らないとなりません。

 

自分で執刀するよりもはるかに緊張し、時間もかかり、opeを終えます。

さすがにぐったりしながら病棟に戻ると、執刀した研修医が待っていました。

私を見るなり立ち上がり、

「なな先生、今日はご指導ありがとうございました。」

・・・ああ、私が師匠から受け継いだものを、渡すことができたんだ。

疲れも、吹き飛びます。

指導者を経験すると、自分も成長します。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

opeやお産で、帰りが遅くなってしまうこともあります。

朝から混雑する外来をやって、時間があればお昼を飲み込んで、

そのままopeに入って、終わる頃には外は真っ暗。

今までだったらそのまま病院に泊まっちゃったり、

コンビニで何か買って帰って、食べるなり眠ったりしていましたが、

結婚してからはそうは行きません。

外来やopeをした勢いをそのままキープして、

わーっと食材を買って大急ぎで帰宅して、夕食の仕度です。

もちろん、そんなに手の込んだものはできませんが、

それでもなるべく夫がキャッと喜びそうな、栄養のあるものを、と考えながら。

 

夫の帰宅を待って、一緒に食事をします。

至福の時間です。

しかし食事を始めると、もうそれまでの勢いをキープできずに、ぐったりして食べ切れないことも(笑)。

そんな時でも、夫が

「おいしかったよ。ありがとう」

と言ってくれると、さあ、また美味しいものを作らなくちゃ!と思います。

主婦はこうして明日も頑張れる?!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「ありがとう」のひと言に、

産婦人科医として、一人の人間として

毎日パワーをもらっています。

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2007.12.24 10:20 |  生活 / くらし  |  恋愛 / 結婚  |  なな  | 推薦数 : 41

半生の孤独

人生の半分が、独り暮らしでした。

 

この季節が一番、一人であることを感じる季節です。

町に行けば、カップルばかり。

レストランに行くと、幸せそうな家族連れであふれ返っています。

デパートの地下に買い物に行くと、

洗練された男女がシャンパンやチーズ、バケットと両手いっぱいに買い物をしているのを尻目に

私が買うのは、サラダ100gに小ぶりのチキン1ピースと、明らかに一人分の食料です。

 

ですが、一人を寂しいと思ったことは、ありませんでした。

金魚鉢の中の金魚が、鉢の中の世界が全てであるのと同じように

一人の世界しか知らず、それを当然と思いながら快適に暮らしていました。

 

どこに行くのも一人で平気でした。

動物園が好きなのですが、他のお客さんは99%が家族連れかカップル、女の子のグループです。

そんな中で、一人で好きな動物を見て、うっとりしていました。

ちょっと敷居の高いレストランも平気。

前もって、女性一人で行くことを告げておくと、

それなりに気を配って、もてなしてくれます。

一人で飲みに行くのも全然OK。

うちから歩いて5分のところに、静かなバーがあるのですが、

コートのポケットにお札一枚で、一人でふらりと飲みに行っては

「男前!」と冷やかされて、楽しんでいました(笑)。

 

このままずっと一人であることに、多少の不安を感じながらも

この生活はこの生活で良いだろう、と満足していました。

 

そんな中、地道に働く私に、誰かがご褒美をくれました。

やさしさという、人として一番大切な能力に天才的に恵まれた

素晴らしい男性に出会いました。

 

秋の晴れた日、私たちは結婚しました。

 

結婚して初めて、見えて来たものがあります。

家族がいるって、こんなに温かいことなのだ。

一人ではないって、素晴らしい。

人生の中で接した、好意を持てる他人を大切にできるとは、

なんて豊かなことなのだろう。

 

こんな当たり前のことの意味に気づく、ということが

年齢を重ねる、ということなのかも知れません。

 

 

このブログに接して下さった全ての方に、最上級の幸せを!

メリー・クリスマス。

 

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2007.12.10 06:07 |  診療  |  生活 / くらし  |  なな  | 推薦数 : 32

タクシーの車内で語る、産科医療の現状

タクシーに乗った時、朗らかな運転手さんと、話が弾むことがあります。

時節柄、年末年始の勤務のお話になると、私の職業に話題が移ります。

 

「産婦人科の先生なんですか。最近は減っていて、大変なんでしょう? 

 この前もテレビでやってましたよ」

・・・う〜ん、随分一般に認知されるようになったのね、うふふ。

「でも、最近は赤ちゃんも減っているから、そうでもない?」

「いえ、お産は産婦人科医の仕事の、ごく一部なんですよ。他にも不妊治療や、生理不順、子宮筋腫、

 子宮や卵巣のがん、更年期障害の治療なんかも産婦人科医の仕事なんです」

「へえっ、そうなんだ。がんも産婦人科の先生が診るんですね〜」

・・・そうなんですそうなんです。

「でもさ、そんな一生懸命働いている先生もいるかと思えば、ほら、たらい回しとかあるし」

・・・出たっ!

「たらい回しって、本当は全然ちがうんですよ。本当に引き受けられなくって、泣く泣く断るんです」

「ええっ? そうなの」

「そうですよー、断る方だって、痛くて、辛くて、たまらないんです。

 でも、手術中に ”今から救急車で行きます” って言われても、

 来てもらって、手術終わるまで待っててもらったり、手術を途中で止めちゃったりするわけ、

 行きませんから。心の中で ”ごめんね〜”って言いながら、断るんです。

 で、手術が終わると、あの妊婦さんと赤ちゃん、どうなったかな、ってとっても気になるんですけれど、

 忙しいとわかっている救急隊に、電話して ”どうなりましたか?” って聞くわけにもいかないし」

「ふ〜ん・・・全然知らなかったよ。ほら、新聞にはすごく悪いことみたいに、書いてあるからね。

 何でもちゃんと聞いてみないと、わからないもんだね」

・・・少しは産科医療の現状を一般に伝える、助けになったかな。 

 

その運転手さんは定年退職後の方で、朝6時から夕方まで業務をした後、

90歳を越えるお母様の、介護をなさっているそうです。

現役の仕事を全うしながら尚、真摯に生きる年長者の姿に、感動。

 

降り際、運転手さんは私にしっかり身体を休めるように、と

私は運転手さんに、お母様を大切になさって下さい、と言い合って、別れました。

心温まる時間でした。

 

 

 

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2007.11.25 21:12 |  生活 / くらし  |  なな  | 推薦数 : 13

愛犬・りんのこと

Profile写真の犬は、目の中に入れても痛くないほどかわいがっていた愛犬・りんです。

普通に育てたのに、なんだか不思議な子でした。

  

首に鈴をつけていますね。

あまりにおとなしくて、いるかいないか、わからないからです。

庭に放し飼いになっていたのですが、

「りん、りーん!」と呼んでも、なかなか来ないのです。

で、「いないのかな」と思って引き上げると、

私がいなくなった頃にやってきて、私を探すらしいので(笑)。

 

後ろ足が片方、先天的に萎縮していて、3本足で歩いていました。

そのため前足が非常に強く、犬のくせに木に登れるのです。

犬が木の枝に止まっている光景は、おとぎの国のワンシーンのようでした。

また、草の上に座って、空を見上げてため息をついていたことも(笑)。

それから、えさを使って躾けようとしても

「おあずけ!」などと言おうものなら

「あっそ」と向こうへ行ってしまうので、一切躾けができませんでした。

 

大学に入学すると同時に親元から離れ、りんとも離れたのですが、

幼少期に毎日彼女に頬ずりしていた私を、決して忘れることはありませんでした。

 

医師国家試験の直前のことです。

両親が旅行で、数日家をあけることになりました。

りんは以前ペットホテルに預けた時、寂しがって一晩鳴き通しで迷惑をかけたのだそうで、

うちでお留守番させざるを得ませんでした。

しかし、寂しがりやのりんがうちで一人でお留守番しているのかと思うと、

いてもたってもいられず、

国家試験の勉強はそっちのけにして、実家に帰ってしまいました。

 

実家から500メートルくらいのバス停に降り立ち、

数歩歩いたところで、犬の騒ぎ声に気づきました。

りんが鳴いています。

普段、いるかいないかわからないくらいおとなしい子なのに、

この時ばかりはきゃんきゃん鳴いて、犬のように尻尾を振っていました。

 

普段は「犬は外」の我が家ですが、この時はりんと私と2人きり。

うちにあげて、国家試験の勉強に励みました。

りんはその間、ずっと私の足元に丸まって寝ているのですが、

他の用事で席を立っても寝たままなのに、

「さ、そろそろ勉強やめようかな」と思って立つと

何を感じ取るのか、首をあげて、尻尾をヘタ、ヘタと振るのです。

 

今、こんなに大勢の方々に見られていると知ったら、

恥ずかしがって、私の腕に顔をうずめて丸まってしまうでしょう(笑)。

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2007.10.09 17:50 |  診療  |  生活 / くらし  |  なな  | 推薦数 : 7

産婦人科医の特権

10年前、中学校からの友達・奈美のお産に立ち会いました。

卒後ずっと交流があったわけではないのですが、

奈美の妊娠中、たまたま私が彼女の家の近くの病院に勤務していて、

偶然の再会を果たした縁でした。

 

陣痛の最中、夜通しご主人と2人で奈美を励まし続けました。

大丈夫だよ、と静かにささやく、いいご主人、

心配かけまいと、無理やり笑顔で応える奈美。

産婦人科部長室では、大丈夫ですから、と言っても

いやほら、ななのお友達のお産だし、僕も参加したいし、と

恩師井上先生が待機して下さっていました。

 

無事に産まれたのは、元気な女の子です。

お産の後は、後産が残らないことを確認するため、

上腕の中ほどまで子宮の中に手を入れます。

この時、お産で疲労した顔に、奈美が微笑を刻みながら言いました。

「これでもう、ななに恥ずかしいことなんて、何にもなくなっちゃったね」

 

そんな思い出深いお産でしたが、

この時産まれた女の子・真樹ちゃんは

独身で子供のいない私にとっては、大切な宝ものです。

もう、かわいくって仕方ありません(笑)。

毎年、真樹ちゃんのお誕生日に、プレゼントを贈っています。

花模様とかハート柄とか、ピンクとかキラキラしたものとか、

女の子らしい、夢のあるプレゼントを選ぶのに、こちらがうきうきしています。

去年は服を贈ったのですが、選ぶ時に店員さんに向かって

「私が取り上げた、友達の子のプレゼントなんですよ~」と言ったりして、

完全に親バカ丸出しです(笑)。

 

プレゼントを贈ると、お礼のメッセージを送ってくれます。

乳児の頃は、奈美が真樹ちゃんの写真を撮って、送ってくれました。

3歳くらいになると、真樹ちゃんがクレヨンでお手紙を書いてくれるようになります。

最近は、学校のことや習い事のことを書いたお手紙をくれるようになりました。

実は、新生児の頃からの写真と2人からのメッセージを、全て保存してあります。

ご両親の愛情をたっぷり注がれて育っている真樹ちゃんですが、

彼女が大人になったら、

真樹ちゃんは、こんなに愛されて育ったのよ、と

知らせてあげたいと思っています。

 

今年も、真樹ちゃんのお誕生日が近づいてきました。

まだひと月近くあるのに、もうそわそわし出している私。

こういうのを「何バカ」と言うのでしょうね(笑)。

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2007.09.08 23:48 |  生活 / くらし  |  なな  | 推薦数 : 5

なんにもしない夏休み

1週間、夏休みを取っていました。

年末年始も、お盆もない私たちですが、

夏休みだけは死守する慣習があります。

 

毎年夏休みを過ごす、隠れ家に行って来ました。

のんびりとお風呂に入って、

お腹がすいたらご飯を食べて、

眠くなったら眠って。

 

あとは、空を見ていました。

戸外に椅子を運んで、

流れる雲を、ただぼんやりと、眺めていました。

緑いっぱいの森の中、

聞こえるのは、鳥の声と、虫の声だけ。

 

自分がどこにいるのか、何をしているのかも忘れ、

過去や未来からも切り離されたような、

空っぽな時間。

 

またしばらく、頑張れそうです。

 

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2007.06.09 17:34 |  診療  |  生活 / くらし  |  なな  | 推薦数 : 16

理想を追える日々

今日は当直、という日の夕方、「お産の時、来て下さいますか?」

とおっしゃっていた妊婦さんが、陣痛が始まって入院してきました。

丁度よかった、私が病院にいる夜にお産になってくれそう、と思っていたら、

妊婦健診で診ていた、大学産婦人科医局の後輩ドクター・海野先生(仮名)の奥様が、

破水入院されてきました。

あえて私のところを選んでくれた、後輩の奥様ですから

当然お産も立ち会う気でいましたので、これも丁度いいタイミングです。

 

海野先生の奥様は、お母様に付き添われていらっしゃいました。

そのうち、海野先生もやってきました。

しかしLDR(お産が始まった産婦さんが過ごす部屋)は、ご家族一人分のスペースしかありません。

自分を慕ってくれる後輩には甘い私、

「海野くん、私の代わりに当直しない?」とそそのかしました。

そうすれば、海野くんはLDRの隣にある当直室が使えるし、

大学院生で無給の海野くん、赤ちゃんが生まれたら何かともの要りのはず。

同じ病院で一泊するなら、当直料が入ったほうがいいでしょう。

私の意図を感じ取って喜んでくれる海野くんの笑顔に、こちらもほくそ笑みます。

 

しばらくお産になりそうにないので、医局にある自分の机に戻って、

たまっていたデスクワークを片付けます。

たまに2つのLDRをのぞきに行きながら、仕事が一段落したのが深夜2時過ぎ。

ちょっと眠ろうかな、と思ったところで、はっと気づきました。

「あ、私の寝る場所、ないんだ・・・」

医局のソファはあいていないかと見に行くと、

内分泌内科の先生と思われる白い塊が、転がっていました(笑)。

よいとしして医局で寝よう、なんていうドクターが他にもいたことに、ちょっと、ほっ。

 

仕方なく机に戻って、うつ伏せになること小一時間。

「お産の時、来て下さいますか?」の産婦さんが、無事お産になりました。

さらにほどなくして、海野先生の奥様も、ご出産。

海野先生が取り上げました。

見たこともないような、海野先生の、愛おし気な表情。

クーパーの持ち方から教えた後輩の奥様のお産は、また格別の嬉しさがあります。

 

気がつけば、夜が白々と明けていました。

私の病院は時間外手当てが出ないので、これ、ゼロ円です。

最近、産婦人科医は減っていますので、仕事は増える一方、

この数時間後に始まる外来は、激混みです。

 

いつまでこんな風に、理想を追っていられるだろう・・・

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2007.06.02 21:31 |  研究  |  生活 / くらし  |  なな  | 推薦数 : 10

大学院について(3)(ななのこと)

「なな」は、本名ではありません。 本名は全然ちがう名前です。

院生時代に、研究所で直接指導をしてくれたしゅう先生(仮名)が贈ってくれた、

ハムスターの女の子の名前です。

 

無類の動物好きの私、独り暮らしが長いのに

飼ったペットはななだけです。

本当はとってもとってもペットがほしかったのですが、

ペットと2人暮らしをしていて、その子に死なれた時の悲嘆を思うと、

恐ろしくて到底飼えなかったのです。

ところが、そんな気持ちはつゆ知らないしゅう先生が

きっと私が喜ぶだろうと、ペットショップで目が合ったハムスターを

思いつきで買って来てしまったのでした。

 

しかし一度会ってしまうと、その瞬間ななに心を奪われました。

「行ってきます」と「ただいま」のあいさつは当たり前。

休日、ショッピングに出かけて、自分のものは何も買わずに帰って来ても

ひまわりのタネやハムスターのおやつだけは、買って帰りました。

「ハムスターの飼い方」という本を読んだら、

「ハムスターはひとりが好きです。構うと却ってストレスになります」とあったため、

徹底して「見るだけ」でした。

ハムスター用のケージに、わらで編んだ鳥の巣を入れてあり、

そこが彼女のお気に入りの場でした。

ハムスターは大抵寝ていますので、

鳥の巣からのぞかせる、2cm足らずの寝顔を

いくらでも眺めてはうっとりとしていました。

本当はあのふわふわの毛に触れたいのですが、

ななが嫌がるのではかわいそう。

かわいさのあまり触れることもできず、

なんだか報われない恋をしているようで、たまらない気持ちでした(笑)。

 

そのうち、日中は離れていることが淋しくなって、

研究室の机の下にも、ハムスターのケージを買って置きました。

小さなバックに鳥の巣ごとななを入れ、自転車の前のかごに入れて、

研究所と自宅を往復する毎日でした。

かくして、ハムスターと一緒に通学する、立派な「ヘンな院生」になっていました・・・

 

ななが死んで、5年たちます。

でも、あれ以上かわいがることはできなかったと思うので、悔いはありません。

 

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2007.05.31 19:05 |  研究  |  生活 / くらし  |  なな  | 推薦数 : 6

大学院について(1)

大学の研究所で院生生活を送りました。

いわゆる秀才とはこういうものか、と目からうろこが落ちる毎日でした(笑)。

大半は正常な人ですが、みんなとても個性的でした。

 

ペットの亀を、部屋で放し飼いにしている人。

シャンプーがないからと食器洗いで洗髪して、皮膚病になった人。

何故か部屋で敷布団を紛失したという人。

髪の毛に、ゆうべ枕にしたという新聞紙の一部をつけたまま研究所に来る人。

 

ある日のことです。

24,5歳の男子学生Oくんから、薬品瓶を目の前に突き出されました。

僕には開けられないので、開けて下さい、というのです。

私は、女性です。

見た目力が強そうかというと、全くその逆です。

びっくりして、

「えっ、そんな、Oくんに開けられないもの、私に開けられるわけがないじゃない」

と言うと、平然と

「僕は力がありませんから」。

ジャムの瓶のふたでも開かなくて困ろうものなら、

オレがオレがと兄たちが瓶を奪い合うような家庭で育った私には、

男性観が変わるような衝撃でした。

 

それでも、普通の若い男性らしいところもありました。

ある日、前日の合コンでかわいい女の子と意気投合したのに、

携帯番号を聞きそこなった、と嘆いていたMくん。

みんながいろんなアイディアを出して、Mくんをなぐさめます。

昨日の合コンは○○女子大で、僕の彼女がいる大学だから、調べてやるよ。

僕が、幹事だった女の子に聞いてやろうか。

いや、それはわざと教えなかったんだろうから、脈がない、あきらめろ。

ちなみに私のアドバイスは

「そんなの、適当にかけていればそのうち本人にかかるんじゃない」。

真面目に考えて下さい~~~~と苦情を受けました(笑)。

 

それなりに、楽しい日々でした。

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