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2008.07.30 18:15 |  診療  |  医療事故  |  なな  | 推薦数 : 19

医療事故を起こした後輩に伝えたいこと

術中損傷・再開腹をしてしまったと聞きました。

患者さんに後遺障害が残らなくて、幸いでした。

上級ドクターと入ったopeとは言え、執刀医だったのですから、責任を感じるでしょう。

 

苦しい最中と思いますが、今、やるべきことがあります。

 

まずは、患者さんに真摯に向き合って下さい。

もしかしたら、訪室を拒まれるかも知れないけれど、

それでも毎日、患者さんの状態を診察し、気持ちを受け止めましょう。

経緯を詳細に説明し、丁寧に謝って下さい。

人間ですから、逃げたい気持ちになるかも知れませんが、逃げちゃだめ。

先生が持つ全ての能力を駆使して、患者さんの気持ちを想像して下さい。 

 

それから、何故そうなってしまったのか、しっかり分析しましょう。

2度と同じことを繰り返さないためにも、記録しておくのがコツです。

類似の事故報告があるはずですから、文献検索もして下さい。

今読むと、とても頭に残ると思います。

 

落ち込まないで、と言っても無理ですよね。

ですが、100%安全確実な手技は、あり得ません。

このことを肝に銘じて、常に謙虚な姿勢で手術をしましょう。

患者さんにご迷惑をおかけしながら若手が成長していく、という構造が、

苦しいのですが、医学の宿命です。

この意味からも、患者さんに対する敬意を忘れてはなりません。

 

この状況で先生がどう行動するか、皆が見ています。

患者さんも、スタッフも、上級ドクターも。

もちろん私も、見守っていますよ。

先生なら、きっと大丈夫。

思い切り落ち込んで、適当なところで帰って来て下さいね・・・

  ・

  ・

  ・ 

・・・と言ってあげたいのですが、えらそで照れくさくて、言えません。

 

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2008.07.23 20:27 |  生活 / くらし  |  なな  | 推薦数 : 16

那由多の刻

産婦人科医の友人・郁子(仮名)から、久しぶりに電話がきた。

郁子は、数年前に心折れて現場を立ち去ってしまった、元・熱い産婦人科医だ。

子育てをしながらたまに当直バイトをして、幸せに暮らしている。

 

「ななちゃんとこ、当直がいなくて困ってるんだって?」

「そーなの。え、郁子、来てくれるの♪」

「じゃなくて、P先生が、よかったら行こうかって、言ってるの」

「・・・・・」

 

P先生もずっと前に立ち去った先生で、バイトで暮らしている。

他の病院に勤務していた時にも、当直に来てくれていたが、

実は、患者さんに非礼を働いて大泣きさせる、とんでもないトラブルを起こして

当直を辞めてもらった経緯がある。

 

正直、ためらう。

「ん~とね、人事が仕切ってるから、そっちに電話してもらった方が早いんだけれど」

「それがね、連絡したら、担当者がなんか頼りない感じだったんだって。

 今からP先生の携帯番号言うから、電話してよ」

「う~ん、実は当直探し業務はもう事務に任せて

 私はタッチしないようにしようと思っているので・・・」

「でもさ、そんなんじゃダメだよ。事務の仕事だ、とか言ってたら。

 私がななちゃんの病院にいた時は、やってたんだよ」

 

もう5年以上前の話だ。

我々だって去年まで、いえ先月までやっていた。

産婦人科医療の置かれた状況は、去年とですら全然違う。

 

「うん、まあ、他にもいろいろ事情があってね」

「困っているらしいから、と思ったのに。

 P先生だって、すごく行きたいってわけじゃなくて、
 
 ななちゃんを助けてあげようと思って言ってくれたんだよ。

 そんなんじゃ、みんな助けてあげらんないよ」

 

郁子の言う通りだ。 

でも、傷つく。

かと言って、P先生と親しい郁子に、前任地での事件を話すわけには行かない。

 

「はは。うちの病院も、内情は大変でね」

「そうなんだ。ま、愚痴ならいくらでも聞くからさ」

「ありがと」

 

そして、言われた。

「妊娠は?」

「え」

「妊娠。希望はないの?」

 

友人というのは、いつまでも友人ではないのだ。

十余年間、産科医療の最前線で突っ走って来た私と

妊娠・出産を経て、ほぼ主婦として暮らしている彼女とでは

目に映っているものが、違わないわけがない。

 

残念だけれど、郁子とは距離を置こう。

縁があるのなら、いつかまた、交差するのだから。

 

そう割り切ってみたものの、心は晴れない。

うん、うん、と黙って聞いてくれるやさしい夫と

「那由多の刻」という、おいしい水のようにおいしい焼酎を飲るが、

その日は全く酔えなかった。

 

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2008.07.17 18:33 |  医療事故  |  その他(医療関連)  |  なな  | 推薦数 : 34

ななのつぶやき・2歳

福島県立大野病院事件が起きるまでは、私は眠っていました。

 

インターネットの使用目的は、電子メールと文献検索だけ。

テレビは見ないし、新聞はたまに読む程度、

医学関係も専門分野の勉強ばかりで、医療問題とか、法律や裁判とか、

全く無縁の世界でした。

地方の基幹病院から、産科閉鎖と共に撤退して来ましたが、

「こういうこともあるかな」くらいの認識でした。

当直がひと月15回を超えるようになっても、夜間に呼ばれる回数が増えても、

患者さんと向き合っていさえすれば幸せで、

仕事量が増えたことに、何の疑問も感じていませんでした。

辞めていく産婦人科医の仲間たちを見ても、

「今どきこんなきつい仕事、流行らないのよね~やっぱり」

くらいにしか思っていませんでした。

きっと10年後も同じように産婦人科医をやっていて、

少しずつ成長して、患者さんからもスタッフからも、もっと頼りにされるようになって、

年々幸せに産婦人科医療ができるようになるのだと、信じて疑っていませんでした。

 

平成18年2月18日、大野病院事件が起きました。

あまりに不合理な逮捕。

連日のように出される、医学系学会からの抗議声明。

100を超えた抗議声明に対抗するかのような、福島県警本部長賞授与。

 

たぎるような怒りに、私は目を醒ましました。

 

この異常な事件に接して、私がしたことは、インターネットでの検索でした。

調べてみると、情報の嵐です。

m3掲示板、医療系ブログ、HP、あちこちに峻烈な文章が掲げられています。

「私にも、何かできないだろうか」

そんな時、ふと「m3ブログ」をのぞいたら・・・

個性豊かなブログが、いくつも輝いていました。

東京日和、産科医療のこれから、がんばれあかがま、天国へのビザ、

さあ 立ち上がろう、マイアミの青い空、医者のホンネを綴りたい、やぶ医師のつぶやき・・・

惹きこまれるように読みました。

一気に、世界が広がります。

「私も書いてみよう。そしていつか、大野病院事件に対して峻烈な意見を書くんだ!」

そう思いながら、ひとまず患者さんたちのことを綴り出したら、綴り出したら、

止まらなくなってしまいました。

その間にも、「大野病院事件に対する峻烈な意見」は、

他の先生方がものすごいものをどんどんお書きになって、

言うことなんか、あっという間になくなって、そしてとうとう機会を逸しました(笑)。

 

一昨日、2歳を迎えた「ななのつぶやき」です。

当初の目的とは全然かけ離れてしまったものの、それなりの役割は存在するのかな、と

無理やり納得しています。

 

今日まで支えて下さった方々に、心からの感謝を込めて。

 

http://www.honey.ne.jp/~yosyan/fukushima/

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2008.07.10 18:20 |   |  なな  | 推薦数 : 23

早朝の分娩ラッシュ

早朝、分娩が何件も重なったために、病院に呼ばれました。

深夜帯は助産師2人、医師1人ですので、

同じような時間帯に3件以上お産が重なると、対応し切れないことがあります。

結局その日は、4人のお産と、破水入院が重なりました。

朝になって、通常業務が始まる頃には全て無事に終了し、ほっとします。

朝からよく働いて、いい気分です(笑)。

 

これが通常業務中だったら、と思うと、実はぞっとするのです。

以前は今より産婦人科医がいましたので、「分娩当番」を置くことができました。

今は産婦人科医が不足して、分娩当番を置くことができなくなり、

全員がフル回転で外来やopeをやっていますので、

通常業務中にお産があると、外来や、場合によってはopeを抜けなければなりません。

外来は滞るし、opeも中断せざるを得ませんので、

1件でもお産があると大変なのに、4件もあったら

患者さんに多大な迷惑をおかけしてしまいます。

体力的にはきつくても、時間外にお産があった方が、はるかに楽なのです。

以前聞いた、「産婦人科医たちの都合に合わせて、平日の昼間にお産になるように

 薬を使ってコントロールしているのだろう」という話を思い出し、

現実とのギャップに、苦笑します。

 

早朝病院に駆けつけてお産を取っても、完全にただ働きですが、

病棟に現れた私の姿を見て、助産師が

「あああっ、なな先生~~!!」です(笑)。

あれを見たら、もうなんにも要りません。

 また、「打てば響く」関係は大切、

この話を師長にそのまま話ました。

そしたら、さらに師長が助産師たちに話してくれたらしく、

「先生、おかげで師長に誉められましたよ。ありがとう!」

 

いろんな形で多くの人に支えられながら、産科医療ができているのだと感じます。

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2008.07.06 11:12 |  診療  |  なな  | 推薦数 : 20

絶滅危惧種の保護の仕方

院内の産婦人科医の中でも、当直ができる人員は限られていますので、

当直は主として非常勤のドクターにお願いしてきました。

しかし8月の当直は、例年なら今頃にはとうに埋まっているのですが、

今年は半分以上空きがあります。

近年の、産婦人科医減少による影響です。

 

大学医局に応援を頼もうと思ったのですが、

次々と産婦人科医が辞めて、あちこちの病院から撤退している現状では、

とてもお願いすることはできません。

 

このままではうちの病院も分娩取り扱い中止?

2人目3人目と産んでくれる、いい病院なのに。

 

この窮状を病院管理職に訴えたところ、

非常勤当直料を上げてくれるという返事が、翌日すぐに返って来ました。

しかも、「近隣の病院との当直医招聘競争に勝てるように」と、破格の値上げです。

更に人員募集にも、早速乗り出してくれました。

やった♪

 

非常勤医の賃上げですから、私自身には1円も増えませんが、

絶滅しそうな産科医を保護しようという病院の姿勢が、心に響きます。

何よりも、今来てくれている当直の先生たちを大事にできるのが嬉しいし、

若手ドクターの筒味くん(仮名)も、「もっと分娩を増やしましょう」と、明るい表情です。

士気がぐんと上がります。

 

現場の声に耳を傾け、すぐに対策を練る。

魚心あれば水心です。

概して単純な産科医を保護するのは、案外簡単なのかも知れません(笑)

 

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