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お産やopeをしているイメージの強い産婦人科医ですが、
婦人科癌の患者さんの治療も、我々の領域です。
癌患者さんの場合、「緩和ケア」と言って
手術や抗癌剤投与などの積極的治療は行わず、
痛みや苦しみを和らげることを主眼としたケアをお受けになっている方も
いらっしゃいます。
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昌子さん(仮名)は、緩和ケアをお受けになっている患者さんです。
70歳近いたおやかな女性で、ご主人は稀に見る愛妻家、
ほとんどの時間を病室で、ご夫婦一緒に過ごされていました。
ご自分の運命を受け入れている患者さんには、
ご自分の運命を受け入れている方にしかない、澄んだオーラがあります。
昌子さんもそうでした。
とても仲のいいご夫婦で、訪室するとお2人で大歓迎して下さいます。
回診というより、ほとんどが他愛のないおしゃべりで、
むしろ私の方が穏やかな気持ちを分けて頂いていました。
しかし、昌子さんと2人になると
「先生、私、主人より先に死ねて嬉しいんです」
と、少しだけ心の内をこぼされます。
今思うと、ご主人に心配をかけまいと、懸命だったのかも知れません。
次第に、昌子さんは弱って来ました。
しかし、ベッドから起きられなくなっても、笑顔を絶やしません。
そればかりか、ご自分は吐き気に苦しんでいても、
「あなた、ちゃんとお食事、して下さい」とおっしゃっています。
夫婦って、すごい。
鎮痛剤の副作用で、ほとんど眠っているようになった頃です。
寝顔だけ見て、そっと出て行こうとしたら、昌子さんが目を覚ましました。
「あ、先生・・・」
そう言ったきり、また眠ってしまったかな、と思ったら
「先生は、生まれ変わったら、何になりたいですか」
一瞬、言葉につまりましたが
「そうですね、やっぱり、産婦人科医になるかなー。
昌子さんは? 生まれ変わったら、何になりますか」
「私は・・・もう一度女に生まれて、今の主人と出会って、結婚したいですね」
感動に喉が詰まって、お返事ができませんでした。
数日後、昌子さんは眠るように亡くなりました。
男泣きに泣くご主人に、看取られながら。
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「人は、泣きながら生まれて、笑いながら迎えられる。
そして、笑いながら死んで、泣きながら見送られる。」
こんな言葉を、聞いたことがあります。
その両方に寄り添えるのは、唯一、産婦人科医だけだと思うのです。